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デザイナーズ・トーク-Honda製品のデザインに込められたこだわり

モンキー

 
ちっちゃさ、かわいさ、シンプルさは「絵」だけでは生み出せない ちっちゃいこと、かわいいこと、シンプルなこと。この3つがなければ「モンキー」ではない。しかし、環境性能を高めるためのモデルチェンジを行うにあたって、これを守りきるには大きな壁があった。 バイクの仲間ではあるが、もはや独立した存在ですらある「モンキー」という乗り物を、これからの時代にも走らせていくために。自らもこの不思議な乗り物に魅せられたデザイナーが「絵」ではなく「現物」のデザインで挑んだ。 (株)本田技術研究所 二輪 R&Dセンター モンキー デザイン担当 西本 晃彦
私が今回デザインを担当した「モンキー」は、とても不思議なバイクです。
相手がベテランライダーでも、まるで初めてバイクに乗ったときのようにニンマリさせてしまう。さらに「バイクなんてよくわからない」という人の警戒心を解いて、笑顔にさせてしまう……。
どこからどう見てもバイクですが、モンキーでしかできない体験をさせてくれる「バイクのカタチをした別の乗りもの」だとさえ言うことができると思っています。
「仕事のためのバイク」「楽しむためのバイク」という違いこそあれ、ちょうどスーパーカブが「どこを走っていても何の違和感もない、仕事の道具としてのバイク」という独自の存在になったのと、同じように。
さて、今回モンキーが迎えたフルモデルチェンジは、なんと1978年以来30年ぶり。テーマは、「これからもずっと走り続けるためのモデルチェンジ」です。
フューエルインジェクションを採用した新エンジンの搭載にともなう苦労などもありましたが、この苦労は進んででもする必要があったと思っています。バイクは「走る」ための製品ですが、そのスタートラインに立つためには人に、社会に受け入れられなければならないからです。
今回は、このモンキーのフルモデルチェンジに関するエピソードをお話ししながら、私たちが小さなボディにぎっしり込めたこだわりや、Hondaのバイクをデザインしていく過程についてご紹介していきたいと思います。
モンキー誕生からの歩み
「コンパクト」「シンプル」「かわいい」
どんなデザインにすれば、フルモデルチェンジをしても、モンキーがモンキーという乗りものでいられるのだろう?なぜモンキーという乗りものは、バイクに乗る人からも、そうでない人からも、愛されるのだろう?それを知るために、開発チームはもちろん、社内にいるモンキーオーナーにも「モンキーとは?」と投げかけていきました。人の数だけ「モンキー像」はありましたが、その「核」となるものを抽出したときに出てきた言葉は「コンパクト」「シンプル」「かわいい」という3つ。なるほど、モンキーを表すにふさわしい言葉です。
それが開発の指標となり、チームが動き始めました。
まず、最初の「コンパクト」。コンパクトなバイクは他にもありますが、モンキーのコンパクトさは、他の「コンパクト」とは意味合いが違います。老若男女誰もが、ひと目見るなり「わッ、ちっこぉ~い!!」と思えるくらいの、インパクトのある小ささがモンキーには必要なのです。遊園地「多摩テック」で生まれた、子ども向けの遊具がルーツですからね。
次に、「シンプル」。モンキーは、その歴史の中で常に「パーツがどれかひとつでも欠けてしまったら、バイクとして成り立たない」ほど、ギリギリの構成でつくられてきました。デザインの上で「余計なモノがついている」と思われてしまったら、これもモンキーとは違ったものになってしまいます。
最後の「かわいい」。これこそ、モンキーのキャラクターを決定づけるものでしょう。これまでに色々なバイクのデザインをしてきましたが、少なくともバイクに対して「かわいい」などという言葉を使ったのは、モンキーを置いて他に例がありません。
「こうするといいね。かわいいよ」
「それをやってしまったら、かわいくないのでは?」
いい歳をした大人たちが、そんな言葉を交わしながら開発する……。
こんなところでも、モンキーは「モンキー」という独立したジャンルの乗りものなのだと感じますね。「モンキーという独自の世界」をつくりだすために、デザイナーである私が何をめざすべきなのかが、だんだんとはっきりしてきました。
ここからようやく「デザイン」がスタートします。
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そのままのスペースには、もう収まらない
デザインコンセプトの継承。それはつまり、「デザインを大きく変えない」ことを意味します。私は今回デザインをするにあたり、今までティアドロップ型だったタンクを、モンキーのデビュー当初のタンク形状をイメージさせる台形に変更しました。エンジンまわりのボリュームが増えた分、バランスを取るためにはその方が、より「コンパクト」で「かわいく」見えるからです。
スケッチを描いたのはわずか数枚。それでデザインの方向性は決まりました。スケッチの段階でコンセプトの継承が実現できてるし、「なんだ、簡単そうじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ところがそうは行かないのです。開発を行っている途中の段階の写真を、お目にかけましょう。残念ながら、この段階では「コンパクト」で「シンプル」、そして「かわいい」ことで愛されてきたモンキーの姿は、見る影もありません。
これまでとは勝手が異なる最大の理由は、最初にもお話ししたようにモンキーがフューエルインジェクション、「PGM-FI」を採用した新エンジンを搭載したことにあります。従来のキャブレターによる燃料供給に比べ、混合気の空燃比をきめ細かく調整できるため、排気ガスがクリーンになり、燃料消費も低減することが可能。これからもモンキーが愛され続けるために必要不可欠なものです。反面、新たにフューエルポンプやインジェクター、ECUなど、これまでは存在しなかったものが必要になってきます。
コンパクトな車体にそれらを収めようとすればシンプルにはならず、見た目をシンプルにしようとすれば、車体は大きくなってしまう……という問題をはらんでしまうわけです。
どうでしょうか。もしかすると「デザイナー」という言葉から想像される仕事とは、少し違っているかも知れません。実は、バイクのデザイナーにとってもっと大切な仕事は、これからお話しする「デザインを実現するための方法を考える」こと。「絵を描きました。あとはヨロシク!」では、絶対に済まされないということなのです。
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