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2007 Tokyo Motor Show Special

「この地球で、いつまでもモビリティを楽しむために」をテーマに展示されたコンセプトカーのデザイナーが想いを語る。

#1

PUYOエクステリア篇

(株)本田技術研究所 四輪開発センター デザイン開発室 第1ブロック
クリエイティブ・チーフデザイナー 箕輪元明

  • 「柔らかさ」「ゆらぎ」でかたちにする、人とクルマの新たな関係
    生きもののように柔らかいボディ、伸び縮みやゆらぎで情報を感じさせるインターフェイス……。既存の概念にとらわれずに発想することで、クルマはより「人の気持ちに寄り添う」存在となるのではないか。さらには街の風景までを優しいものに変えていけるのではないか──そんな発想が、これまでにないクルマの造形を生み出した。燃料電池という最先端技術を利用し、「個」が自由に移動するためのモビリティのデザインを再定義するチャレンジ。
  • 燃料電池はクルマのデザインを変える①
    私は、Hondaの燃料電池車である、「FCX concept」のデザイン開発を手掛けたあと、燃料電池をパワープラントに据えることを想定したコンセプトカーである「PUYO」のデザイン開発に携わりました。
    この燃料電池という技術は、水素と酸素を結合させて水が生成される時に発生する電気で走るクルマのことで、排気ガスはゼロ、出すのは水だけ、という究極のクリーンカーのことです。
  • 燃料電池はクルマのデザインを変える②
    しかしいくらこの技術が、現在のクルマの百年の歴史を塗り替えるような大変優れたモノであったとしても、いかにも「環境車」的な面白みの無いデザインにはしたくありませんでした。よって「FCX concept」では、燃料電池車らしいボンネットフードのないフルキャビンフォルムで先進感を表現しながらも、セダンが持つクルマのエレガントさやダイナミックを融合したデザインを目指しました。
  • 燃料電池はクルマのデザインを変える③
    また「PUYO」の場合も、エンジンがないという燃料電池車の最も大きな特徴をいかし、2800mmという大変短い全長でありながら、大人4人がしっかり乗れる超高効率なフルキャビンパッケージをはじめとし、それ以外にも、安全、爽快な360度全方位パノラミックキャビン、子供からお年寄りまで誰もが乗り降りしやすい大型ウイングアップドア、さらには抜群の取り回し性能、4輪インホイルモーターによる定置旋回機能など、新しい楽しさに満ちたデザインを目指しました。
  • モビリティとしてどこまで人に近く優しくなれるか①
    エクステリアデザインは人にそして環境にも優しい角のないハコ型フォルム「シームレスソフトボックス」をテーマにデザインを展開しました。具体的にはまずモビリティとして本当に必要なモノ以外を極限まで削ぎ落とした、街の景観をもきれいに出来るくらいの超ミニマルなデザインとしました。
  • モビリティとしてどこまで人に近く優しくなれるか②
    しかしそれだけだと機能だけの無味乾燥なクルマになってしまいます。そのようなデザインでありながらも、つぶらな顔、短いが踏ん張った足、プルンと張ったおしり等最小限のデザイン要素で、クルマというよりもどちらかというとペットのように可愛らしく親近感を持っていただけるようなデザインを目指しました。
  • モビリティとしてどこまで人に近く優しくなれるか③
    そのような今までのクルマにはないような親近感をより感じていただきたい、という思いから柔らかいボディー素材という発想が生まれました。
    ちょっとの衝突だったら傷がつかないとか、万が一の軽い接触だったら安心であるような乗る人やまわりの人に対する安全安心感に加え、人や生物の皮膚感覚に近い柔らかく温かみのある素材にすることによって、思わず触れたり、撫でたくなるような効果を狙いました。
  • モビリティとしてどこまで人に近く優しくなれるか④
    またさらに、加速しているときは赤、停車すると光が消えるなど、ボディを光らせてクルマの状態を知らせることで、人とクルマの新しいインタラクティブな関係を表現するなど、モビリティーとしてどこまで人に近く優しくなれるか、ということに挑戦しました。
  • モビリティとしてどこまで人に近く優しくなれるか⑤
    「PUYO」というネーミングもボディーにさわった感触を日本語の擬音として表したものです。新しい機種を開発する場合には、本来ちゃんとした開発コードネームがあるのですが、開発チームのみんなが「プヨ」という愛称で呼んでくれていましたので、より人に近く優しい存在のクルマのネーミングとして最適なのではと考え、「PUYO」とさせていただきました。
  • クルマが自分の感情に寄り添ってくれる①
    今の日本における「かわいさ」に関しては、自分なりに色々な人に話を聞いたり調査をしたことがあり、現在一つの自論を持っています。それは、例えば昔の「かわいさ」というのは愛らしいキャラクターがずっと笑っているような「かわいさ」であったものに対して、今の人の求める「かわいさ」とはそのときの自分の感情に合わせてくれる「かわいさ」ではないのか。自分が悲しいときは一緒に悲しんでくれ、うれしいときには一緒に喜んでくれるような「かわいさ」ではないのか。ということです。
  • クルマが自分の感情に寄り添ってくれる②
    「PUYO」をデザインするにあたっては、従来の押し付けがましい「かわいさ」ではなく、時と場合によっていろいろな感情を持つ人に対してクルマが拠りそってくれるような、ニュートラルな「かわいさ」を意識してデザインを進めました。
  • 可愛らしいデザインの中にもHondaらしさを①
    特にフロント廻りは、光が浮き上がるヘッドライトのつぶらな表情と、口を一文字に結んだような微妙に前に盛り上がったフロントバンパーによって、そのような可愛さを目指しました。
    ただし一方でHondaとしてのクルマらしさという点にもこだわってデザインを進めてきました。
  • 可愛らしいデザインの中にもHondaらしさを②
    例えばサイドパネル全体は、キャビンスペースを最大としながらも、下部を絞り込むことによって、13インチという大変小さいタイヤでありながらも、ちゃんと地面を踏ん張るしっかりした盛り上がりを持ったフェンダー造形にこだわったデザインをしました。さらに、ウェストラインを前傾させたり、タイヤの位置も意識的に前にずらすことによって、ミニマルなデザイン要素でありながらも動きのあるフォルムとしています。
  • 可愛らしいデザインの中にもHondaらしさを③
    一方リアは、テールゲートの開口ラインとリアコンビライトを一体化したデザインとし、張りのあるテールゲート面とあわせて「PUYO」独特の特徴を表現しました。更に、ボディー全体は基本的にはソフトでやわらかい素材となっていますが、クルマを支える安心感のあるしっかりした下半身を表現するため、ドアカットラインから下の部分はアルミの素材を採用しています。
  • 可愛らしいデザインの中にもHondaらしさを④
    この「PUYO」は環境のさらにその先にあるモビリティーのひとつの方向性として、街を走るだけで皆様の気持ちを軽やかにして楽しさを広げられるような、人とクルマの未来を明るくしていけるような、そのような提案を目指してデザイン開発を進めて来ました。
     
     

    #2

    PUYOインテリア篇

    (株)本田技術研究所 四輪開発センター デザイン開発室 第1ブロック 
    インテリアデザイン担当 大北 卓也

    • 「柔らかさ」「ゆらぎ」でかたちにする、人とクルマの新たな関係
      生きもののように柔らかいボディ、伸び縮みやゆらぎで情報を感じさせるインターフェイス……。既存の概念にとらわれずに発想することで、クルマはより「人の気持ちに寄り添う」存在となるのではないか。さらには街の風景までを優しいものに変えていけるのではないか──そんな発想が、これまでにないクルマの造形を生み出した。燃料電池という最先端技術を利用し、「個」が自由に移動するためのモビリティのデザインを再定義するチャレンジ。
    • やさしいコックピット
      インテリアでは、まず使う人に対する優しさをどのように表現するか考え、身近な[布]の持つ半透明さ伸縮性など素材を生かした「シルクフィール」というテーマでデザインしました。
      このクルマの操作はハンドルの代わりにジョイスティックを採用することで、コミューターとしての手軽さを表現、またハンドルが半透明の布インパネ上からなくなり、運転席から見える視界のよさを実現し、路地裏など見えずらい場所も安心して運転できるようになってます。
    • 新しい操作
      エクステリアが柔らかくラウンドした形状なので、インテリアもラウンド感を強調しながらエッジのない爽快で優しい空間を心がけ構成しました。 その中でも、NAVI画面を使う操作系は、布越しに表示し必要な時だけ布が伸びながら出てきて必要ない時は布の奥に隠れる。その動き自体が今までの冷たいメカを操作するのではなく、生物と会話しているような温かさを狙いました。
    • 人の感覚にやさしいデザイン①
      フロントシートには半透明のシリコン素材を使用し人の素肌感覚に近い触り心地を出し、後ろに座った人にとって圧迫の無いものにしたかったからです。形状も何処となく身体を感じさせる形にして自分を守るパートナーというイメージを持たせ、後ろの人からは肩をたたきたくなるような存在を意識しました。
    • 人の感覚にやさしいデザイン②
      また、メーター内の残走行距離計をフラスコ形状にして、その中の液体量で残距離を表現しました。液体を用いたのは、燃料電池車が排出するものが水だけというところに由来しています。既存のメーターには無い液体独特の揺らぎが、人に優しい感覚もたらしてくれると考えました。さらに、エアコンのアウトレットを布越しにして直接目に入らないようにして、光の色で温度を表現して直接的でない表示を考えました。
    • 既成概念に捕われないデザイン①
      仕事の経験を積んでいくに従って、「クルマとはこういうものです」と自分から縛ってしまいがちになりますが、既成概念に捕らわれず、時には無茶なことでもお客様の心の奥底にある気持ちを素直に表現する事が大事だと思います。
      初代オデッセイやステップワゴンも当時としてはクルマと人の新しい関係を提案していたと思いますし、自分もこれからそういったデザインをしたいと考えています。
    • 既成概念に捕われないデザイン②
      そのためには、常にチャレンジしていく事が重要だと思います。私がHondaに入ったのも、そうしたチャレンジが許される会社だと考えたからです。今回のPUYOのデザインはまさにチャレンジでした。人とクルマの新しい関係、そこから生まれる新しい生活を提案できたのではないかと思います。
       
       

      #3

      CR-Z エクステリア篇

      (株)本田技術研究所 四輪開発センター デザイン開発室 第1ブロック
      エクステリアデザイン担当 森川鉄司

      • エコだけじゃないハイブリッドカー」の造形を提案する
        ハイブリッドカーといえば、低燃費を徹底的に追求したエコカーというイメージが浸透していた2007年、Hondaは「走る楽しさ」によってハイブリッドカーの可能性を広げるためのデザイン提案を行った。ハイブリッド技術によって環境負荷を抑えながら、ダイナミックなエクステリアで走るよろこびを表現。インテリアにはカジュアルな表現も取り入れ、誰もが痛快な走りを楽しめる「ハイブリッド・ライトウェイトスポーツ」のデザイン提案を行った。
      • ハイブリッドの可能性を広げる
        Hondaは、今回の東京モータショーで(earth conscious technology:これからもこの地球でモビリティを楽しむために)というテーマのもと、様々な提案を行いました。
        そのなかでCR-Zは、ハイブリッドカーにおけるさらなる可能性を提案したのです。「ハイブリッドライトウェイトスポーツ)というジャンルを称え、新価値創造へ挑戦したのです。
      • 運転する楽しさを表現した ハイブリッドカーデザイン①
        CR-Zのデザインをするにあたり、Hondaらしいハイブリッドライトウェイトスポーツは何かと考えました。現在のハイブリッド車はスタイリングでも高い燃費効率や環境性能をしっかりとお客様へ訴求していると思います。対してCR-Zは、ハイブリッドという、環境に対するダメージを最小限に抑えた上で走る楽しさと運転する喜びを加えたデザインプロポーザルです。
      • 運転する楽しさを表現した ハイブリッドカーデザイン②
        Hondaはお客様からスポーティーというイメージを持っていただいていますので、その期待に応えられる造形を目指しました。お客様に「これこそHondaらしい一台」と感じていただければ幸いです。
      • フューチャリスティック&ダイナミックがデザインの特徴①
        エクステリアのスタイリングコンセプトは「フューチャリスティック&ダイナミック」としました。
        大胆にウェッジしたボディの前進感と、ダイナミックにツイストした面変化による先進感がスタイリングの大きな特徴です。そして、フロントグリルから一気にリアまで突き抜ける造形と軽快感あるサイドの切り欠きがよりその特徴を強調しています。
      • フューチャリスティック&ダイナミックがデザインの特徴②
        また、LEDなどの先進技術を用いたヘッドライトやサブライトなどの灯体類、視認性を考慮したチューブ型リアコンビランプ等の機能を集約したリア周りの造形、概念にとらわれることなくデザインされたサイドミラーやアルミホイール等、ディテールにもこだわりました。これらを、“遠くない未来”という時間スケールを想定しデザインしました。
      • Hondaイズムに憧れて
        私が学生の頃から、シビックやアコードなどHondaは独創的なクルマをつくるメーカーだと感じていました。さらにオデッセイのようなクルマが登場するなど、「Hondaとは自由な発想をする会社である」と。子供ながらにHondaイズムにときめいたのです。そこで自分でHonda車をデザインしたいという夢を持ち、美術を学び現在に至ります。お客様がこのクルマにHondaイズムを感じていただけたら幸せに思います。
      • お客様に期待される商品で未来を創造する。それがHonda①
        デザイナーとしてCR-ZのスタイリングにHondaのメッセージをしっかりと込めたい。
        これが私の想いです。
        常にお客様視点に立ち、期待される存在であるためにHondaに何が求められているのか。私達一人ひとりが日々この気持ちを持ちながら毎日に望んでいますが、CR-Zも例外ではありません。
      • お客様に期待される商品で未来を創造する。それがHonda ②
        ハイブリッドライトウェイトスポーツというクルマがお客様の求める新価値の一つであると願い、今回のデザインプロポーザルをしました。今まで様々なクルマでスポーティーな走りを楽しんでこられた方はもちろん、ミニバンで育った世代の人々もCR-Zを見て「こんな楽しみ方があるのだな」と興味を持っていただけたらと思います。
         
         

        #4

        CR-Z インテリア篇

        (株)本田技術研究所 四輪開発センター デザイン開発室 第4ブロック
        インテリアデザイン担当 清水陽祐

        • 今までにないコクピット感覚①
          スポーツカーですから、ドライバーを主役とした囲まれ感のあるコクピットデザインは非常に大切です。しかし、従来のスポーツカーのように、乗り手を選ぶようなストイックなコクピットではなく、誰もが気楽に運転を楽しむことができるような感覚のコクピットにすることを心がけました。
        • 今までにないコクピット感覚②
          具体的には、空間をメッシュ素材やフレームを剥き出しにしたデザインで構成し、従来のスポーツカーにはなかった開放感や軽快感を演出し、クルマと人との接点となるメーターや操作パネルなどには、運転の楽しさやハイブリッドスポーツの未来感を演出する、ガラスのオブジェのような先進的インターフェイスをデザインすることで、クルマとの新しい一体感を演出しています。
        • 今までにないコクピット感覚③
          シートも、形状としてはドライバーの体を包み込むバケットシートタイプですが、素材にメッシュを用い、これまでにないライトな感覚を実現しています。見た目だけでなく、座り心地もこれまでにない感覚で、従来のようなバックスキンのバケットシートに座ったときと違う開放感が生まれます。素材を変えることで、こんなにも座ったときの感覚が変わってくるのかと自分でも驚いています。
        • 情報ハブとしてのクルマの新たな価値もイメージ①
          インテリアデザインで特にこだわったのは、先ほども少し触れましたが、ガラスのオブジェのような先進的なインターフェイスです。
          先進技術を透明な素材で内包することによって、象徴的に表現しました。そしてその中をさまざまな情報が光の帯となって、可視化され、駆け巡ることで、直感的に使える使いやすさや、操作する楽しさを表現しています。
        • 情報ハブとしてのクルマの新たな価値もイメージ②
          たとえば、エアコンの動作状況など車内の環境を光で表現するなど、可視化された情報でクルマとつながっていくというスタイルです。
          また、コンソールにオーディオや携帯電話との接続を想定したシステムが入っているのですが、それらの動作状況も光で表現されるイメージです。
        • 情報ハブとしてのクルマの新たな価値もイメージ③
          これから、個人の情報端末がすごく高機能化していくと思いますが、そうしたとき、このクルマのコンソールが情報ハブのような役割を果たすことで、クルマと人の新しい関わり方が生まれるんじゃないかと考えています。
        • リビング感覚のやわらかさ①
          走りを楽しむスポーツカーのコクピットですが、インパネやドアの下部に間接照明を設けたり、各部のディテールをやわらかくデザインしたり、メッシュの布地などリビングにあるような身近な素材を用いることにより、リラックスできる場所にしたいと考えました。
        • リビング感覚のやわらかさ②
          ステアリングは従来のスポーツカー同等のデザインにして、運転を楽しむクルマであることをしっかりと主張。でもコクピット全体としては、リビング感覚のやわらかさ、心地よさを持っている。誰もが走りを楽しめるスポーツカーのインテリアとしてのデザインを提案しています。
        • 新しいライフスタイルを提案できるクルマ①
          単にスタイリングのための先進感のあるデザインではなく、人とクルマの関係までを考えに入れ、使う人にとって新しいライフスタイルや楽しい使い方、新たな感動が生まれるようなバックグラウンドをデザインしたい。インテリアをデザインするにあたり、そうしたことを常に考えています。
        • 新しいライフスタイルを提案できるクルマ②
          僕は、2003年に入社して、CR-Vのデザインに携わったあと、2005年に六本木のアドバンスデザインスタジオに移って先行デザインの開発に携わり、今回のCR-Zのデザインを担当させていただきました。
          Hondaは、クルマだけでなく、バイクや、芝刈り機などの汎用製品や、F1やジェット機、ロボットなどさまざまな製品を手掛けています。
        • 新しいライフスタイルを提案できるクルマ③
          そうした中で、Hondaらしいデザインとは何かというと、新しいことへの挑戦であり、Hondaの製品を手にすることで、新しい生活がより新しくなったり、豊かになったり、より快適になったりする製品をデザインすることだと思います。そうした価値へのチャレンジです。CR-Zも、Hondaのデザイナーとして、新しいスポーツカーの価値に挑むデザインだと考えています。
           
           

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