MENU
HONDA
検索

STORY #01 デザイナー4人が紡ぐ開発ストーリー。

バイクをより身近に、より気軽に。
『Rentoto』から始まる
新しいライフスタイル。

Hondaのバイクデザイナー4人が中心となり、ライディングギアブランド『Rentoto』を立ち上げました。 ライディング時の機能をしっかり備えながら、性別を問わず、タウンユースとしても使えるデザイン性の高さがポイントです。『Rentoto』が誕生した背景には、どのようなストーリーがあるのでしょうか。

「ゆるい」
ライディングギアをつくりたい

― 2018年春より販売が開始される『Rentoto』のコンセプトをお聞かせください。

齋藤美波(以下、齋藤):コンセプトは「Rento」。フィンランド語で「気楽な、堅苦しくない、さりげない」といった意味を表しています。日常に『Rentoto』のライディングギアを「ちょい足し」する事で、バイクをもっと気軽に楽しんでいただきたい、という想いを込めて「to」をプラスしました。

荒井さつき(以下、荒井):「Rento」にバイクをプラスしたロゴのデザインで、その想いを表現しています。半円を描く上部のラインはメーターの針をイメージ、下部はタイヤの跡をモチーフにしているんですよ。

金子かおり(以下、金子):『Rentoto』のテーマは「ゆるい」なんですね。これまでのライディングギアというと、峠を攻めるようなライダーを意識したハードなデザインのものばかり。でもライトユーザーは、バイクに乗ることが目的ではなく、バイクで移動した先での滞在を目的にすることが多いんです。

齋藤美波

齋藤美波

スタイリングデザイナー

TACTのカラーリング、RC213V-S バイクカバーデザイン、アジア機種のカラーリングを手掛け、現在はオフロードカテゴリーのスタイリングデザインやカラーリングデザインを担当

齋藤:バイクに乗って、お買い物へ行く、カフェでお茶をする、ピクニックをする、温泉に入る、とかですね。そういったユーザー層は、バイクを降りてライディングウェアを着たままでも、街に溶け込めるようなデザインの服を求めているんですよ。

齋藤美波

齋藤美波

スタイリングデザイナー

TACTのカラーリング、RC213V-S バイクカバーデザイン、アジア機種のカラーリングを手掛け、現在はオフロードカテゴリーのスタイリングデザインやカラーリングデザインを担当

金子:まさに私たちがそうなんです。私もバイクを所有していますが、最近あまり乗っていないんですね。着る服がないということも、理由のひとつです……。

荒井:モノからコトに入る人って、けっこう多いじゃないですか。「このウェア、格好いいな」から「バイクに乗ってみようかな」と思ってほしい。そうやってバイクユーザーを増やしていきたいという狙いもあるんです。だからとにかくシルエットを「シュッ」とさせたかったんですよね(笑)。

西村 舞(以下、西村):「あのガチガチのウェアを着ないといけないのか……」って、抵抗感を覚える人は少なからずいると思います。そんな方々へ向けて敷居を下げてあげたいなと。私たちだって「一般的なライディングウェアを着てバイクに乗れ」といわれたら、正直かなりハードル高いですよ(笑)。

齋藤:『Rentoto』を入り口に、バイクに対しておしゃれな印象を抱いてもらい、より身近な世界になっていけばいいなと考えています。

ライディング機能を備えながら、
街中に溶け込むデザインに

― どのようなことを意識しながら、デザインをされたのですか?

齋藤:私たちの中にある「ゆるい」という共通認識を目指し、色、カタチ、素材を選び、着心地を追求していきました。

荒井:2018年のトレンドカラーを並べ、そこから『Rentoto』らしい色をピックアップしていったんです。各アイテムで使用している色は、すべてこの中から選んでいるんですよ。

西村:シルエットも「ゆるい」が基準ですね。現行のライディングウェアはタイトなつくりが多いので、身体のラインが出ないようにしています。バイク以外のシチュエーションでも着られるデザインにしたくて。

金子:普段着のようにしたかったんです。私はこれまでアウトドアブランドのウインドブレーカーやスノーボードウェアを着ていたんですけど、やはりバイク用としては足りない機能がたくさんあるんですよ。

齋藤:一番はプロテクションの性能ですよね。転倒した時のことを考えると、ウェアにもグローブにも必要な要素です。あとは操縦姿勢を考慮した背中や袖の丈の長さ。これらは安全のためにも、とても大切なんですね。『Rentoto』は安全性とファッション性を兼ね備えた、これまでにないライディングギアブランドに仕上がっています。

― それぞれのアイテムの特徴について教えてください。

齋藤:まずは『AWライディングカバーオール』。いわゆるプロテクターつき防水ジャケットです。肩と肘にプロテクターが装備されていて、背中の丈は一般的なアウタージャケットより約20cm長めの仕様。袖口と裾からの風の侵入を防ぐガードを採用し、止水ファスナー付き左胸ポケット内には小銭や駐車券入れ等にも使える間仕切りがあり、5.5インチサイズのスマートフォンも楽に入る深さになっています。透湿防水素材、袖のマーブル柄のベルクロタブがアクセントですね。

西村:フードを収納するとエリの高いジャケットのようになるので、メットを被った時の隙間がなくなり、風の侵入を軽減できるのもポイントです。

齋藤:『WPコンパクトセットアップ』はレインウェアです。バイク用のカッパって、基本的にダサいんですよ(笑)。ものすごくゆったりしたシルエットで、シャカシャカした素材だったり。

西村 :特に背が低い方だと、パンツの裾が巻き込まれそうで危険なんですね。これは操縦姿勢を踏まえて余裕のあるサイズ感を保ちながら、細身のシルエットを実現しています。パンツの裾はファスナーで開閉でき、靴を履いたままでも着脱しやすいんですよ。

荒井:質感の高いストレッチ素材で、雨が入りにくいようファスナーは二重に被せています。上下まとめて付属のポーチに収納すれば、とてもコンパクト。

金子かおり

金子かおり

スタイリングデザイナー

フォルツァ125、SH125、アジア・ヨーロッパ機種のカラーリングデザイン、スタイリングデザインを手掛け、現在はコミューターカテゴリーのスタイリングデザインを担当

金子:『ゴートスキンレザーグローブ』は人差し指と中指など部分的に二重構造にしていて、破れにくい構造にしています。転倒時も考慮して手の平にはクッションを入れています。また、手の平側は蒸れにくいよう、パンチングレザーを採用しています。『シフトチェンジガード』は、付けたまま街を歩いても違和感のないデザインにこだわりました。何もつけないと靴が汚れたり痛んでしまいますし、バイク用の靴を用意するのも大変ですよね。シフトチェンジガードをつけることでスニーカーなど、普段履いている靴でもバイクに乗ることができます。

金子かおり

金子かおり

スタイリングデザイナー

フォルツァ125、SH125、アジア・ヨーロッパ機種のカラーリングデザイン、スタイリングデザインを手掛け、現在はコミューターカテゴリーのスタイリングデザインを担当

西村:『WPソフトラゲッジ』はフルフェイスのヘルメットも余裕で収納できる防水大型バッグです。アジャスト機構にして、荷物の量に合わせて調整できるようにしました。2018年のトレンドであるナチュラルカラーのウッドパターンを、テキスタイルに落とし込んでいます。

荒井:バイクはもちろん、旅行やキャンプなど、さまざまなシーンで活用できるバッグにしたかったんです。底は硬い発泡素材ですので、地面に直に置いても問題ありません。

大きな学びとなった
社内を説得していくプロセス

― ライディングギアの開発とバイクの開発、クリエイティブを生み出すうえでの視点に違いはありましたか?

金子:使う頭は全然違いましたね。

荒井:ライディングギアは大きなくくりでいうとアパレルの分野になりますから、自分たちの生活に近いんです。

齋藤:バイクは自分とは別の価値観を持ったユーザーになりきって物事を考えるので、提案するデザインと好みは異なるんですね。でも『Rentoto』は、バイクユーザーを増やしたいという思惑があるにしろ、自分たちがほしいものが発想の起点。その感覚の違いはありました。

西村:デザインするうえで、インスピレーションの源は同じなんですよ。バイクだから、アパレルだからと、固執しないのがいいんです。

齋藤:だから「モーターショー」や「ギフトショー」、「インテリアライフスタイル」など、見本市にはジャンルを問わずみんなで足を運んでいます。

荒井:情報収集する観点が違うだけで、常にアンテナは張っていますね。無意識に、ですけど。

齋藤:たまに「今日は『黒い色の物』を意識して見よう」という日があったり、バイクのフォルムを常に考えていたり、ネタは普段の生活のどこにでも存在しているんです。開発するスパンが違うだけで、視点に違いは無いです。

― 『Rentoto』のプロジェクトを進めるうえで、大変だったこととは?

斎藤:いまとなっては、大変だったことも全部が面白かったなって思えるんです。でもやっぱり、「ゆるい」というテーマやライトユーザーをターゲットとするというコンセプトを、ロジカルに説明するのが難しかったですね。Hondaとしても初めての試みですし、社内を説得するのに苦労を重ねました……。

西村:いろんなことを調べましたし、データを提出するためにさまざまな数字も算出。「ゆるい」のイメージを共有できるよう、ありとあらゆる事例を挙げていったりとか。

齋藤:“モノづくり”だけでなく、“コトづくり”がいまの世の中の風潮なんですよ、とかもね。

荒井:ロールプレイングゲームみたいだったんですよ。魔物を倒しては新たな魔物が現れ、私たちのレベルもどんどん上がっていくというか(笑)。

齋藤:社内の壁がすごかったよね(笑)。それを、ひとつずつ、倒していく。きっと議論になるものこそ意味があるんですよね。説得材料を集め、理論立てていくプロセスは、自分たちを納得させる意味も含んでいました。それらはブランドを強固なものとするためにも、必要なこと。論理的に人を説得するのは少し苦手だったんですけど、その経験がバイクの開発にも生かされていると感じています。

西村 舞

西村 舞

カラーリングデザイナー

CBR250RRとVFR800Xのデザインのプロジェクトリーダーを務める他、50周年記念モンキーのカラーリングデザインを担当

西村:『Rentoto』用にデザインしたグラフィックのパターンをバイクに応用したり、『Rentoto』のプロジェクトを進める中でバイクの開発における着想を得たり、なんてことも多々ありますよ。

西村 舞

西村 舞

カラーリングデザイナー

CBR250RRとVFR800Xのデザインのプロジェクトリーダーを務める他、50周年記念モンキーのカラーリングデザインを担当

金子:アイディアや視野の幅が、より広がりましたね。

西村:私たちが開発の手を離れた後も、同じコンセプトで続いていくブランドに育てていけたらいいなと思っているんです。

齋藤:関わる人が代わっても、続いていくのがブランドの正しい姿。コンセプトの立案から商品の企画・デザイン、販促活動など、ブランドづくりの0から10まで携われたこのプロジェクトは、私たちにとってとてもいい経験となりました。だから後輩にも経験させてあげたいんです。

「無いものはつくる」という志が
新たな価値を創出する

― もともとこのプロジェクトは、どのような経緯でスタートしたのでしょうか?

西村:2015年にデザイン室内で行われた、ボトムアップ提案企画がきっかけです。ボトムアップ提案では車体だけでなく、洋品や店舗の提案まで、多岐に渡った企画が持ち上がっています。

齋藤:私たちが使いたいと思える既存のバイク用品がなかったので、「こんなのが欲しいね」と企画を提出しました。このメンバーも、気の合う仲間が集まっただけ。仕事でもプライベートでも仲がいいんです。とはいえ『Rentoto』のアイテムは、自分たちのかたよった意見で誕生したとは思っていないんですね。共感してくれる層は必ずいる。そういった方々のためにつくっている自負もあるんです。

荒井:販売店の方からも、「こういうの待ってたんだよ!」というお声を多くいただきました。

西村:バイクに乗ってみたい!という潜在ユーザーは多いと思うんです。『Rentoto』はそんな人たちの「乗るぞ!」のきっかけになってほしい。

金子:バイク業界の起爆剤にしていきたいですよね。まだまだつくりたいアイテムはいっぱいあるんですよ。『WPソフトラゲッジ』のリュックタイプとか、レザージャケットとか。

荒井:特にレザージャケットのプロトタイプは、男女ともに評判がよかったんです。プロテクターが入りながらもシルエットが美しい、本革のジャケット。次のコレクションでぜひ発表したいですね。

西村:皮の選定に工場に行ったり、普段の業務とは違うことにもチャレンジしましたね。

金子:プロジェクトの主要メンバー以外にも、同僚にもテストしてもらったり意見をもらったり、サプライヤーさんもとても協力的でした。

齋藤:通常業務と平行して『Rentoto』に携わらせてもらえたことに、感謝しています。私たちの“意地”もありましたけど(笑)。

金子:みんなが「私はこう思う」って、意見を出し合いながら進めていったんです。最終的には全員が納得して決めていけた。

荒井:はっきり物事をいうから、周りから見たらケンカしてるようにみえたかもしれません(笑)。でも、だからこそうまくいったんだと思います。

西村:綺麗事を一切いいませんでしたから。

齋藤:それって大事なことだったんですよ。本音で話さないと、意味がないですし。

― 発売は2018年の春。『Rentoto』のライディングギアを身にまとって、どこへ出掛けたいですか?

金子:ツーリングに行きたいですね。

齋藤:そうだ、熊本に行こうよ! 荒井さん、プロジェクトの途中で、急に転勤になっちゃったから。

荒井さつき

荒井さつき

デジタルモデラー

国内大型機種やCBR250RRのデジタルモデリングを担当

荒井:これは本当にびっくりした(笑)。ぜひ遊びに来て!

荒井さつき

荒井さつき

デジタルモデラー

国内大型機種やCBR250RRのデジタルモデリングを担当。

西村:湯布院にも立ち寄りたいなぁ。

金子:やっぱり楽しみが広がるんです。「着たい」と思えるウェアがあるとワクワクする。

齋藤:年配の男性の方も、これまでのライディングウェアを着て出掛けたら、目的地に着いた時点で着替えるって言ってましたもん(笑)。

西村:『Rentoto』があれば、そんなわずらわしさからも解放されます(笑)。

金子:『Rentoto』のライディングウェアは、「バイクに乗りたい」って思わせてくれるんです。

page top

Honda Designに関する
ご意見・ご感想をお聞かせください。

Honda Designをご覧いただきありがとうございます。
よりわかりやすく、楽しいサイトにするため、皆さまからのご意見・ご感想を募集しております。
ぜひ、ご協力をお願いいたします。

アンケート回答ページへ