Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

お客様が求めるものは何か──顧客価値実現に挑戦するEVソフトウェア開発エンジニア

従来のガソリン車に限らないモビリティ開発に取り組むHondaでは、電気自動車(以下EV)だからこそ提供できる新しい価値の創造が進められています。EVの充電に関するソフトウェア開発に携わる齊田は、“モビリティメーカー”であるHondaに魅力を感じて入社しました。齊田が自身の成長につながった経験の数々や仕事をするうえで大切にしている考え方を語ります。

齊田 陽Akira Saita

四輪事業本部 ものづくりセンターパワーユニット開発統括部 パワーユニット開発二部 大型ドライブユニット開発課

2013年に入社し、ハイブリッド自動車の制御開発部門配属。2017年に電気自動車(EV)開発部門へ異動したあと、シリコンバレーで海外トレーニーを経験。帰国後EV開発室で充電UX(User eXperience)を向上させるためのコネクテッド技術開発を担当。2020年より現在の所属。

自動車メーカーではなく、モビリティメーカーであるHondaに魅力を感じ入社

「自由な移動の喜び」と「豊かで持続可能な社会」の実現を目指すHondaでは、EVをはじめとするモビリティの開発が進められています。

パワーユニット開発二部 大型ドライブユニット課に所属する齊田は、EVに関するソフトウェア開発に取り組む一人です。

齊田 「私たちのグループがメインで担当しているのは、スマート充電システムなどEVの充電に関わるソフトウェアの開発です。お客様にどのような体験を提供したいか、またそれを実現するためにどんな機能やサービスがあったらいいかを考えながらソフトウェアの実装に取り組んでいます。

今は“モノづくりからコトづくり”という自動車業界の流れに対して、ハードウェアよりもスピード感を持って開発ができるソフトウェア領域の特徴を生かし、素早いソリューション提供を行っています」

大学時代モーターの研究をしていた齊田は、モーターにこだわらずエンジニアとして働ける就職先を探していました。そこで、幅広い事業を展開するモビリティメーカーであるHondaに惹かれ、入社を決意します。

齊田 「モーターの研究をしていたことから自動車業界や機械系の業界を見ていましたが、特に自動車業界が気になっていました。Hondaは四輪や二輪に限らず、船外機やヒューマノイドロボット、歩行アシスト、小型ジェット機など、人の移動を可能にするモノを作り出すモビリティメーカーであることを強みとしており、自分のやりたいことに近いと感じたんです。

会社説明会や社員との交流を通じて、Hondaでは自分のやる気次第で幅広い事業に携わることができ、一人ひとりの裁量が大きい印象を受けました。指示やマニュアルに従って業務を進めるより、自分で考えながら工夫して仕事を進めるほうがやりがいを感じられると思い、Hondaに入社することにしました」

2013年入社後はハイブリッド自動車(以下HV)制御開発部門に配属され、バッテリー制御を担当していた齊田。その後EV開発部門に異動し、今度はEVの制御を担当することになりました。

齊田 「EVが駆動するためのエネルギーを供給するシステムで、モーターやバッテリー、充電などをコントロールするソフトウェアの開発をしていました。その後HVからEVに移行した車種が世に出てくるタイミングで、充電の領域に携わりました。

HondaはHonda初の電気自動車『Honda e』を2020年10月に発売しましたが、その開発は2017年頃からはじまりました。今、自動車業界は100年に一度の大変革期と言われており、変化のスピードが速いなかで仕事をしています。新しいことに挑戦できるチャンスが至るところに転がっていると感じます」

顧客価値を重視する思考プロセスを学んだ、シリコンバレーでのトレーニー

2017年にEV開発部門へ異動してすぐのタイミングで、齊田はアメリカのシリコンバレーで海外トレーニーを経験しました。スタートアップ企業の技術をヒアリングしながら、日本の研究所で取り入れられそうな技術を見極め、研究所の各領域の担当者とディスカッションしながらオープンイノベーション*の機会を探っていたのです。

*組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすこと

齊田 「シリコンバレーにオフィスがあり、Honda Xcelerator(ホンダ・エクセラレーター)*という数十名ほどの組織が入っています。そのなかにスタートアップを探すチームやビジネス目線で新しいことを考えるチーム、実際にソフトウェアに実装するチームなどがあり、オフィスで自由闊達に連携しながら仕事を進めていました。

日本ではオフィスに数百名のメンバーがいることもあり、部署が違うとメンバー全員と接点を持つことはなかなかできません。そのため、シリコンバレーでの働き方は日本とは対照的だと感じましたね」

*スタートアップ企業とHondaのコラボレーションを促進するオープンイノベーションプログラム。本田技術研究所の子会社で、米国・シリコンバレーを中心として活動を行っているHonda R&D Innovations, Inc.が中心となり、グローバルに推進している

トレーニー期間中は、スタートアップの技術を活用して実際にプロトタイプを作り、顧客価値を検証するプロジェクトに携わっていた齊田。日本とは異なるスピード感で仕事を進めながら、考え方のプロセスを学んでいきました。

齊田 「日本で量産開発をしていたときは、どういったものを作るかという製品側に注目していました。たとえばテレビを作るエンジニアの場合、解像度を4Kから8Kや12Kにするなど、どんどん性能を上げていくことに注力するかと思います。

もちろん、性能を向上させることは大切ですが、それと同時に『8Kや12Kのテレビをお客様が本当に求めているのか』を考えることの重要性に気づくことができました。お客様にとっての価値を第一に、実現のためにはどういうものを作らなければならないのかを考えて、手段を選択する。こういった思考プロセスを学べたことが、シリコンバレーでの一番の収穫だと思っています」

シリコンバレーでの学びは、帰国後にEV開発室へ異動してからも活かされました。

齊田 「お客様のニーズを満たすためにこういう機能があったほうがいいなど、アイデアを創出する思考プロセスは今でも活かせていると思います。

たとえば、EVはガソリン車に比べてスタンド数が少なく航続可能距離も短いため、遠出の際に不安が生じてしまいます。どのようにすればお客様に心理的な負担を与えずになく充電スタンドにたどり着けるかなど、お客様目線に立った開発を心がけています」

LPLとしてテーマ企画立案を進め、正解のない開発に奮闘

シリコンバレーから帰国した齊田は、2018年から新しいプロジェクトを立ち上げ、自らLPL(Large Project Leader:開発責任者)として企画の立案を進めてきました。

齊田 「Hondaの研究にはいくつかのフェーズがあり、そのなかにAR(アドバンスドリサーチ)テーマという技術探索やお客様の価値探索からスタートできるテーマがあります。ボトムアップでも提案しやすいテーマなので、私がLPLを務め、当時私のグループに入った新入社員と2人だけでプロジェクトをはじめました。

EVの充電の使い勝手をより向上させるためのアイデアやそれを実現するための技術を探索し、ARテーマで市場のデータを分析しながら提供価値の定量化、潜在的な顧客ニーズの仮説検証を行いました。その後アイデアを具現化するため、R(リサーチ)テーマを企画立案し、8名くらいのメンバーでプロジェクトを進めました。Rテーマは2年ほど行い、2021年に完了しました。現在はその機能の量産化に向けて動いているところです」

通常業務の量産開発を進めながらLPLとしてテーマ企画立案を行うことは、確実に齊田の成長につながりました。しかし、答えのない開発ならではの苦労もあったと振り返ります。

齊田 「Rテーマは通常業務の量産開発とは違い正解がない開発になるので、進め方や開発のやり方を一から検証しなければならず大変でしたね。また、お客様に心理的な負担を与えずEVの充電をできるようにしたいと思っても、その価値を定量的に示すのは難しいです。

たとえばスマートフォンのアプリケーションで充電の使い勝手を良くするソフトウェアを開発しても、その良し悪しを評価方法のノウハウは当時のHondaの制御開発にはありませんでした。そこで、ユーザビリティ*評価を調べ、今まで社内になかったような考え方も取り入れながら進めていましたね」

*ある製品を、特定の利用者が、特定の目的を達成しようとするにあたって、特定の状況で、いかに効果的に、効率的に、満足できるように使えるかの度合い

2021年12月現在で研究フェーズが終了し、現在は量産開発のフェーズに移りはじめたところです。しかし、事業として進めていくためには、技術開発だけでなく、ビジネスとして成立するかを考えなければなりません。今後はビジネスの視点を持ってハードルを乗り越えていく段階に突入していきます。

「自分のために働け」を大切にし、自身の成長と会社の発展につなげる

海外トレーニーやLPLを経験してから、齊田は顧客価値を実現するソフトウェアづくりにやりがいを感じながら働いています。

齊田 「顧客価値を起点としたソフトウェアづくりはおもしろいですが、事業性との両立は簡単ではなく、乗り越えなければならないハードルだと思います。今までのクルマの開発では、コストや事業性などは専門部署が考えていたと思います。しかし、コネクテッド領域ではエンジニアが開発だけをするのではなく、事業性も含めて提案していかなければなかなか量産につなげることができません。

サブスクリプションなどでビジネスを成立させようとすると、お客様が付加価値を感じられるかどうかという観点が入ってきます。それは私たちパワーユニット開発室の従来の開発ではまったく考えていなかったものなので、事業部を超えて周りと協力しながら推進していく必要があります」

お客様の価値を考えることは楽しいと感じている齊田ですが、ソフトウェア開発は必ずしも最終的な顧客と距離が近い仕事であるとは限りません。そのようななかで顧客価値を意識するために、齊田はフィードバックをもらいスピード感を持って修正することを心がけています。

齊田 「シリコンバレーでも帰国後のRテーマでも、実際にアプリケーションを作ってユーザーの使い勝手を想定して使い、フィードバックをもらってすぐアプリケーションに修正し反映させました。一般的にアジャイル開発と呼ばれるプロダクトの価値を最大化することに重点を置いた手法で、仕様変更にもスピード感を持って柔軟に対応するようにしています」

Honda入社前から、創業者である本田 宗一郎の「自分のために働け」という言葉に共感していた齊田。入社後数年が経過した今も、その考えを大切にしています。

齊田 「“自分のために働け”というのは一見自分都合のような言葉ですが、自分のために働いて自分が成長することにより、結果的に会社にとってもプラスになるという考え方です。私もどんどん成長していきたいという考えでHondaに入社して、実際に色々な機会を与えてもらい、幅広い仕事を経験して成長できました。だからこそ、“自分のために働く”というマインドは大切にしています。

また、だんだんと後輩や部下も増えてきました。メンバーと接する際は『これをやってほしいと』と指示するより、どういうふうに成長してほしい、仕事を通じて何を得てほしいなど自分自身の考えや想いを伝えることを意識しています」

もともとHondaが幅広い事業を手がけるモビリティメーカーであることに惹かれて入社した齊田は、今後も四輪に限らない新たな領域に携わっていきたいと考えています。

齊田 「四輪に限らず、便利な移動を実現するためのサービスや技術を構築する領域に携わっていきたいです。

Hondaは、電動モビリティによる移動サービスと独自開発のエネルギーサービスをコネクテッド技術などによって融合させ、自由な移動の提供と再生可能エネルギーの利用拡大に貢献する『Honda eMaaS』という概念を公表しています。このHonda eMaaSの領域に携わり、よりシームレスな移動が可能な未来を作っていきたいです」

入社前から抱いていた想いを変わらず持ち続け、自身の成長につなげるとともにEVの発展に貢献している齊田。

今後も目まぐるしく変化するモビリティの世界で顧客価値を提供し続けるため、“お客様が何を求めているか”という視点を忘れず開発に取り組んでいきます。

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