Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

デザインの本質は「観察」にあり。本質を見極め新たな価値をつくるデザイナーの挑戦

中島 諒汰と玉虫 健太朗は、ともに本田技術研究所デザインセンターのプロダクトデザインスタジオに所属するデザイナーです。エクステリアデザイン担当の中島とインテリアデザイン担当の玉虫が、それぞれの仕事にかける想いや今後のキャリアについて語った結果、Hondaでデザイナーとして働くおもしろさが見えてきました。

中島 諒汰Ryota Nakajima

本田技術研究所 デザインセンターオートモービルデザイン開発室プロダクトデザインスタジオ

2015年に新卒入社し、エクステリアデザイナーとして海外向け四輪デザインの経験を積む。NSX-Type-SやCIVIC SEDAN、CIVIC TYPE-R、中国向けの INSPIREなどのエクステリアデザインに携わる。

玉虫 健太朗Kentaro Tamamushi

本田技術研究所 デザインセンターオートモービルデザイン開発室プロダクトデザインスタジオ

2014年に新卒入社し、インテリアデザイナーとして四輪のデザインに携わる。2016年にはトレーニーとしてアメリカ派遣も経験。ODYSSEYのインテリアデザインや、ボンネビルスピードウィーク 2016 S-Dreamのグラフィックデザインに携わる。

インターンシップからHondaの世界に足を踏み入れた2人のデザイナー

Hondaデザインセンターでエクステリアデザイナーを務める中島とインテリアデザイナーを務める玉虫は、オートモービルデザイン開発室プロダクトデザインスタジオで四輪デザインに携わっています。

2021年夏からはじまったプロジェクトに参画し、北米で販売されているシリーズを展開するためのデザインを担当しているのです。玉虫は2014年、中島は2015年にそれぞれ入社しました。

玉虫 「私は大学在学中、イタリアの専門学校に1年ほど留学していました。イタリアではトランスポーテーションデザイン*の専門学科で学びました。Hondaはクルマに限らずいろいろなことやっていて、かっこいい会社だと思っていましたね」

中島 「私も美大出身で、学生時代は椅子や机など身の回りにあるプロダクトのデザインをしていました。在学中にクルマのデザインをしたいと思うようになり、自分で勉強したんです。授業の合間にクルマの絵を練習したり、企業で開催されていたワークショップやインターンシップに参加したりして刺激を受けていましたね」

*公共交通に加えて、車椅子やベビー・キャリーのような特殊なパーソナル・モビリティまで、人間の身体移動に用いられるさまざまな事象の計画・設計・デザインの総称を指す

中島と玉虫はHondaで開催しているインターンシップにも参加し、Hondaのデザイナーの仕事を体験することができました。

中島 「私は複数回Hondaのインターンシップに参加しました。その時々でプログラムは異なりましたが、私が参加したワークショップではある課題に対して、一週間ほどの期間でコンセプトを作成し、スタイリングやシーンの絵を描き、最後にプレゼンテーションをするような流れでした」

玉虫 「私は留学していたこともあってそこまで多くのインターンシップには参加できなかったです。帰国した大学4年生の冬にポートフォリオを送らなければならなかったのですが、多くの会社の締め切りに間に合わなかった中、Hondaは受け入れてくれたのでありがたかったですね」

中島 「私も入社試験自体はHondaしか受けませんでした。大学生のときに実家にあったクルマがHondaのEdixというユニークなクルマだったので、もともとHondaに興味を持っていました。クルマのデザインをしたくて自動車メーカー各社を見ましたが、改めて、Hondaは単純に格好良さだけを追求しているのではなく、顧客視点で使い勝手が考えられていたり、パッケージレイアウトが独特だったりしておもしろいなと思ったんです」

コンセプトや企画からデザインを考え、長い時間をかけて形にする

現在はデザインセンターで同じプロジェクトに参画している中島と玉虫ですが、入社後の経歴は対照的でした。

中島 「私は北米メインのCIVICや中国向けのINSPIRE、最近ではNSX Type-Sなどのエクステリアデザインに関わってきました。基本的に海外向けの製品が多かったですね。私は以前携わっていたプロジェクトに2年ほど参画していて、これまでのキャリアを振り返ると一つのプロジェクトに比較的長く取り組んできました」

玉虫 「私は逆で、動きが多いほうです。2020年もいろいろなプロジェクトに参画させてもらいました。北米向けの機種、東南アジア向けの機種や電気自動車を扱うプロジェクトにも参画して、いろいろな経験ができました。

印象に残っている仕事は、アメリカのユタ州ボンネビルで開催された『ボンネビルスピードウィーク』のレーシングカーのグラフィックを担当したことです。車体のグラフィックデザインのコンペが開催され、私の提案した案が採用されました。最終的にプロジェクト参加者の名前が車体に印刷されることになり、そこに私の名前も入れてもらえてすごく嬉しかったですね」

学生時代にデザインを学び、ワークショップを何度も受けてから入社しても、すぐに仕事のコツをつかめるわけではありません。入社前にイメージしていた仕事と実際の仕事には、少なからずギャップがありました。

中島 「学生の頃に参加したワークショップやインターンシップと、入社してからクルマを作っていく過程は全然違いますね。意外と地味な仕事が多く、実際のクルマにするまでには長い時間もかかります。熟成していく過程でデザインが変わることもあり、想像以上に時間がかかるものです」

玉虫 「私は日本の学校では機会が限られているインテリアデザインをイタリアの学校で学ぶチャンスがあり、その経験が仕事の入り口になったと思っています。しかし、イタリアをはじめとするヨーロッパの方々は、芸術作品を作るような感覚でデザインをやっているような印象を受けました。

Hondaに入ってからは、感性を生かしたスタイリングだけではなく、コンセプトや企画に近いところから論理的にデザインを考えていきます。左脳も右脳も使う感覚は、入社前にイメージしていたデザイナーの仕事とは違うと思いましたね」

モノよりコトだと言われる時代に、人の行動や気持ちを反映させたデザインを

Hondaのデザイナーの仕事は、“スケッチ大会”から始まります。デザイナー数名が出したスケッチで会社の壁が埋まるため、盛り上がることもあり、そのように呼んでいるのです。

中島 「プロジェクトが決まる段階で、複数のデザイナーが招集されてスケッチ大会が開かれます。各デザイナーそれぞれがその機種に合うコンセプトを考え、クルマの絵を描いて1人ずつ提案していきます。

何回かレビューを繰り返してコメントをもらい、最後のレビューで誰のデザインで推進していくかを決めます。大体のプロジェクトは約1カ月間行いますが、プロジェクトによっては海外拠点のデザイナーも参加するため、大人数でスケッチ大会を行うケースもあります」

玉虫 「基本的な仕事の流れは、エクステリアもインテリアも同じです。エクステリアとインテリアとパッケージ、CMF*など機種についているプロジェクトリーダーがいて、その人たちがまずコンセプトや方向性といった大筋を決めます。そこからエクステリアやインテリアの担当デザイナーやスケッチ大会に参加するメンバーが提案を重ねていって、アイデアが絞られていく形です」

*プロダクトの表面を構成する、以下の3つの要素
CはCOLOR(色)MはMATERIAL(素材)F はFINISH(加工方法)を指す

Hondaではデザイナーも、日本国内に限らず海外で経験を積むことができます。玉虫は2016年、シリコンバレーにあるHonda R&D Innovations, Inc.(ホンダイノベーションズ)で半年間の海外トレーニー派遣を経験しました。

玉虫 「当時はちょうど将来に向けたプロジェクトとして、コネクテッドカーや自動運転がこれから伸びてくるだろうと話題になりはじめた頃でした。関連した提案をしたことがきっかけとなってトレーニーとして派遣されることになったんです。

現地ではインテリアデザイナーとは業種が異なり、コネクティビティやソフトウェアのような物理的なデザインとは違ったジャンルをやっていました。UX*デザイナーが所属していて、その人たちと一緒に仕事をしながら学ぶことができましたね」

*ユーザーエクスペリエンス(User eXperience)の略称で、製品やサービスを通じて得られるすべてのユーザー体験

プロダクトデザイン自体が次の時代を見据えて少しずつ変化している昨今、上位概念からデザインすることがデザイナーにも求められています。玉虫は海外トレーニーの経験から、新たな気づきを得ました。

玉虫 「人の行動や気持ちがどのように変化していくかを考える際、ソフトウェアであればより細かく対応できます。人の行動や気持ちをクルマの形や画面などに反映するようなニーズは、日本でも高まっていると思うんです。モノ自体の格好良さというより、“どういう体験を提供してどんな気持ちを持ってもらうか”が注目されてきていると感じますね」

中島 「モノよりコトの価値だと言われている時代なので、クルマのあり方も変化してきていると思います。さまざまなサービスやテクノロジーを結びつけていくことは確実に必要だと思いますね。単純に形だけでなく、人の行動や気持ちをより観察していかないとこれからのクルマづくりは難しいでしょう。

エクステリアデザインのアウトプットも、時代に合わせて変えるようにしています。以前のクルマはファッションとしての要素が強く、いかにキャラクターを付けて差別化をはかるかが重視されていたように思えますが、最近ではあまり無駄な線を入れず、機能をシンプルに表現するようになってきました」

車種ごとにキャラクターが大きく異なるHondaのクルマをデザインする際は、ユーザーのペルソナ*設定を決めてスケッチに落とし込んでいく必要があります。インテリアとエクステリアそれぞれのデザインに、ペルソナ設定が入ってくるのです。

*マーケティングにおいて、自社の製品やサービスの対象となる典型的な顧客像

玉虫 「インテリアであれば、たとえば女性をターゲットにした機種ならハンドバックがすぐに置けるトレーを運転席の横に設置するなどの工夫をしています。ペルソナに設定した人たちのニーズを想像してデザインを考えるというのが基本の流れだと思いますね」

中島 「基本的にはエクステリアも、デザインは同じような考え方です。たとえばアメリカでは小さいセダンは若い人のエントリーカーにもなるので、その人たちの行動を考えます。1人1台で集まることが多いのであれば後ろのキャビンをもう少し小さく見せ、よりパーソナルな車に見えるように工夫したりと、人の行動や心理からエクステリアも考えています」

Hondaらしさを感じながら新しい時代のクルマをデザインする楽しさ

数ある企業のなかでHondaで働く魅力として、仕事の仕方に溢れ出るHondaらしさが挙げられます。

玉虫 「デザイナーも製品やサービスのコンセプトや企画に近いところから考えるのですが、Hondaは物事の根本を深掘りすることが好きです。『本質は何か』と上司から質問され、場合によっては『まだ深掘りが足りない』と提案を戻されることも。その突き詰める姿勢がHondaらしさであり、Hondaでデザインをする楽しさだと思います」

中島 「自動車メーカーですがクルマに固執していないのは、Hondaらしさだと感じます。デザイナーが自主的に商品を提案できる機会が毎年あるのですが、それはクルマでなくても構いません。バイクやキックボードはもちろん、サービスやシステムの提案でも構いません。クルマに縛られず製品やサービスの提案ができるというのは、Hondaでデザイナーをする魅力だと思います」

デザイナーとしてHondaで働くやりがいも、それぞれが感じています。

中島 「デザインの開発は、インテリアもエクステリアも基本的にはクレイと呼ばれる粘土を使って進めていきます。実際のクルマサイズでクレイモデルを作り、検討を継続していくことでデザインができあがります。

クレイの期間はかなり長いですが、そこから試作車など実際に走るクルマになったときに、なんとも言えない達成感を抱きます。自分が作っていたものが実際に走るところを見られるのが、1番のやりがいですね」

玉虫 「私も、自分が描いていた絵がモノになったときはすごく嬉しいです。あとは、さまざまな人の生活スタイルを知ることができ、それに対してこうしたらより良い生活が実現するんじゃないかと提案できることも楽しいですね。最終的にモノになったときはもちろん達成感がありますが、改善案を検討している時間も個人的には楽しいと思います」

エクステリアとインテリア、それぞれの領域でデザイナーとしてのキャリアを積み重ねている2人。両者ともに時代の変化を感じながら、今後のキャリアを考えています。

中島 「クルマのデザインはもちろん進化を続けていきますが、クルマだけで勝てる時代ではないので、これまで以上に視野を広く持ち、より人の生活を観察し深掘りし、次のライフスタイルに合わせたアウトプットをしていきたいです。個人的にはクルマづくりが好きなので量産車のデザインを担当していきたいですが、時代の変化に乗り遅れないよう先を読んで行動していきたいです」

玉虫 「私もクルマのデザインが楽しいので今後もやっていければいいなと思いますが、やはり人の役に立つものを作りたいと考えていますね。買って使うことでお客様が豊かになってもらえたり、「買って良かった」と思ったりしもらえるようなものが作れればいいなと思います」

クルマそのものをデザインする仕事を愛しながら、価値観の変化や、お客様の喜びに目を向けているお客様Hondaのデザイナーたち。

大変革を迎えている自動車業界で、他社とは一線を画すHondaの製品やサービスをデザイン面からアップデートし続けます。

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