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『Honda e』で未来を引き寄せろ!若き開発者・奮闘のストーリー

シンプルでありながらも、どこか愛くるしいデザインの「Honda e」。多様な機能を搭載するこの新型電気自動車は、多くのエンジニアたちの情熱によって生み出されました。今回は「Honda e」の通信機能とDisplay Audio Systemの開発を担った、若き技術者2名の開発秘話をご紹介します。

浦口 真治Shinji Uraguchi

四輪事業本部ものづくりセンター 電子制御開発統括部

2010年新卒入社。Honda e適用の欧州向け車載用通信機(TSU)の開発において中心的な役割を果たす。他部門の業務におよぶ範囲までリーチングアウトし開発を成し遂げた。

西村 頌哉Nobuya Nishimura

四輪事業本部ものづくりセンター 電子制御開発統括部

2016年中途入社。前職での経験を活かし、Honda e適用の2画面Display及び、Display Audioの開発を担う。新しいDisplayの仕様構築だけでなく、開発プロセス改善により短期間での開発を成し遂げる仕組み作りにも尽力した。 

世界を驚かせる新しさを現実のものに。若きふたりの開発者の挑戦

Hondaが、とんでもない電気自動車をつくってしまった──。

モノトーンでやわらかな曲線を見せるその姿、一見しただけでは何気なく見過ごしてしまうかもしれません。ところが、搭載された機能、乗車時の体験は、想像を裏切る新しさに満ちています。

それはさながらドラえもんの世界から飛び出してきたような、自由で、未来的なクルマ。

新型電気自動車(EV)『Honda e』は、技術、機能、デザインいずれをとっても先進的で、移動の概念に対する新たな在り方と、未知なる運転体験の可能性を表現しています。

新しさを追求する。それはときに、途方もないチャレンジを伴うものです。
今回の『Honda e』の開発もまさしく、地図なき道を手探りで進んでいくような日々でした。

西村「機能や性能面で新規性の高いものが多いことが『Honda e』の大きな特徴です。それだけにプロジェクトは数百人規模が集う大規模なものでした」

『Honda e』の新しさの象徴のひとつが、インテリア。

西村 頌哉は、量産車としては世界初・5つのスクリーンを水平配置した「ワイドビジョンインストルメントパネル」の開発に携わりました。

西村「もともとこの大きなディスプレーは量産を前提としたデザインではありませんでした。『こんなに大きなディスプレーがあったらいいよね』という理想を実現して、しかも量産車に搭載しているわけで。未来を現実化させる難しさを、これでもかというほど痛感しました」

車載用通信機(TSU)の開発に携わった浦口 真治は、初めての量産車向けフル開発にチャレンジしました。

浦口「2010年に新卒でHondaに入社して、最初の数年間は基礎技術研究センターに勤務していましたが、量産車の開発に携わりたいと希望を出し、現在の部署へ異動後『Honda e』のプロジェクトに携わることになりました」

足掛け4年にわたり、『Honda e』の開発に携わってきたふたり。
いずれも、イマジネーションの世界の機能をリアルの世界に実現させる試みの積み重ねでした。

前例がない挑戦において、理想だけを道しるべとして進んできたふたりのストーリーは、紆余曲折の連続でした。

海外で孤軍奮闘も。社内外を巻き込み、車載用通信の開発にまい進

浦口が担当する車載用通信機は、端的に言えばクルマから多様なデータを送受信するための機能。Hondaでは「Honda CONNECT」と名付けています。

クルマに関するさまざまなデータを送受信し、ビッグデータとして分析・活用することで、さらなる安心・快適を実現していきます。

浦口「Hondaとして実績があるとはいえ、私自身は何も経験のない状態でニューモデルの開発を担当することになりました。『Honda CONNECT』としても、『Honda e』はこれまで実績のない欧州と日本に初展開することが決まっていました」

特に大変だったのは、社内のみならず社外の関係先とも密に連携していく部分だった、と浦口は振り返ります。

浦口「これまでだったら、開発段階で社外の関係者と連携するケースはそんなにありませんでした。ところが、私の担当分野の開発はサーバーと連動させる必要があるので、社内、社外を問わず関わる人たちが本当に多かったですね。

たとえば、車載用通信機のサービス運用のためには、社内向けシステムのサーバーを管理している部署との連携が必要でした。当然、車両開発の知見や経験があるわけでもなく、細やかな認識の共有を積み重ねながら進めていきました」

通信機能の開発を進めるには、通信キャリアなど外部企業とも連携し、性能を確認しながら精度を上げていかねばなりません。

現地適合試験と呼ばれる実地でのテストでは、通信ができない、できるけれど通信速度が遅い……といった不具合が生じました。

それに対し、データを解析して原因を究明し、改善するといった地道な取り組みの繰り返し。ひとつひとつ検証しながら積み重ねていくしかなかったのです。

浦口「今回、欧州向けにはドイツで現地適合試験を行なったんですが、トラブルが多発してしまって……。テストエリアでさえこんなにトラブルがあるのに、実際にお客様が乗るときにはどうなるんだ、と不安が募る日々が続きました」

2019年の現地適合試験では、どうしても不具合の原因を究明しきれず、出張期間を延長して現地に残ったこともありました。

浦口「実は、ひとりドイツに残っている間に、課長とグループリーダーがわざわざ来てくれたんですよ。私がサーバー側の部隊と揉めていて解析が進まないから見に行ったんだ、と後から知らされました。申し訳ないと思いながらも、難しい状況を理解し、見守ってもらえているありがたさもありました」

必ずしも自動車の開発に明るい人たちばかりではない関係者と、危機感とスピード感を共有しながら、本音をぶつけ合いながら開発を進める難しさ。

そして、Hondaらしい懐の深さをも、浦口はこのプロジェクトを通して学んだのでした。

開発プロセスの質を高めつつ、驚きの運転体験実現をめざして

西村は、前職から自動車用のDisplay Audio System開発に携わってきました。
『Honda e』でも、中央部分に12.3インチのスクリーンを2画面並べた「ワイドスクリーン Honda CONNECT ディスプレー」の開発を担当しています。

西村「先進的なDisplay Audio Systemを量産車で実現したいという理想と、実際の製造技術やコストとのバランスを見極めるのが最初の難関でした。大画面ディスプレーの価値、それが提供すべき体験とは何か?という大上段から、真摯に考えながら開発を進めていきました」

なかでも、西村が特にこだわったのは運転体験の感動です。

西村「要するに、ドライバーが乗車した時点ですべての機能が使えるようになっている状態を目指す、ということ。それが、運転する人にとっての価値になると考えたからです。

たとえば、テレビって起動してすぐに番組は見られますが、番組表の読み込みに時間がかかることがありますよね。スマートフォンも、再起動したらすぐに使えるわけじゃない。『Honda e』では、そのタイムラグをできる限り短くすることに挑戦しました」

ドアを開けて、運転席に座り、ドアを閉めた瞬間が起動のタイミング。
開発当初は、40秒から1分近く要することもあった、と西村は振り返ります。

西村「開発初期は0秒で起動を目標としていましたが、最終的には2秒で起動完了するところまで縮めました。実際にはシートベルトを装着している間に2秒くらいは過ぎてしまうので、お客様の体感的には“乗車から0秒で起動”と言えるのではないかと」

さらに、『Honda e』には音声認識AIを搭載しています。
従来はタッチ操作が必要だった目的地設定なども、走行中に呼びかけるだけで安全に操作できるようになりました。

お客様目線を重視し、運転体験を高めていくこと。
この大命題は揺るがずにあるものの、実際の開発で西村が特に意識していたのは、協力先との連携です。

西村「私も前職まではパートナー企業側で開発に携わっていたので、発注側の事情もパートナー側の苦労も両方わかってしまって。Hondaとしての想いや意図を汲みつつ、パートナー企業にとっても無理のない開発を進めていくバランス感。難しかったですが特に注意しました」

良いモノづくりをめざすには、誰かの負担や犠牲のうえに成り立つ開発であってはならない。
開発者としての西村の矜持と意志が、『Honda e』の運転体験に絶対的な価値を実現させたのかもしれません。

情熱と自由さがかたちづくるのは、Hondaらしさと比類なき強さ

長い開発期間を終えた2020年10月、ついに『Honda e』の販売がはじまりました。

浦口「ローンチは大きな節目であり『あぁ、終わったんだな』と感慨深いです。そして、本当に勉強させてもらえたな、と。フルモデルで新規開発する経験って、なかなかできるものじゃありません。ラッキーでしたし、今後の糧になりました」

一方の西村は、“あること”ができていないので、まだまだ終わった実感がわかないそうです。

西村「コロナ禍の影響で、まだ打ち上げができていないんですよ(笑)2017年の段階から日取りまで決めていたのに……。

自分の携わった製品が世に出るのは、率直にうれしいです。日本車で初めて『ドイツカーオブザイヤー2021』を受賞したのも、もちろんうれしい。ただ、本当の実感や達成感が出てくるのは、もう少し市場に出回り、ユーザーの声が届くようになってからでしょうね」

移動、運転体験の新しさを求め、Hondaが世に送り出した『Honda e』。
開発の日々を振り返り、浦口も西村もそのプロセスに溢れるHondaらしさを体感していました。

西村「入社する前から感じていましたが、Hondaのクルマは独自性が強いんですよね。量産という観点で見ると驚くほど作り込まれていたり、尖った特徴があったり、突き抜けた斬新さがあったり。ダメなときは外しまくるんだけど(笑)良いモノができたときは突出してすごいのがHondaらしさなんだと改めて感じました」

言うまでもなく、そんな強さを生み出しているのはHonda社員の情熱です。

西村「みんな『こんなクルマをつくるんだ!』という思い入れが強いんです。たとえ開発効率が良くなくても、こだわる部分を押し通す気概でやりきってしまう。それを認めて後押しする自由な社風も含め、Hondaを形作っているんだと思います」

浦口「一言で表すなら、超ボトムアップの会社ですよね。上から意志や指示が下りてくることは少なくて、基本的に『お前はどうしたいんだ?』と訊かれます。

考えるのも、決めるのも、やるのも、ボトムアップ。そのプロセスひとつひとつによって鍛えられます。私、今回の開発で初めてひとりで海外に行ったんです。『自分で行って、いろんなものを見て、経験してこい』『思ったことを開発にフィードバックしてくれ』という意味を込めて、送り出してもらえたのも印象的でした」

『Honda e』の開発が若きふたりの開発者に与えたもの——。
彼らの胸に宿るHondaの魂は、さらなる挑戦への道を熱く照らしていくことでしょう。

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