はじめに

日本におけるモーターサイクルは、ビジネスから趣味まで幅広い用途と雨中や暑さ・寒さなど様々な天候・気候条件の下で使用されています。 特に、冬季と雨中におけるモーターサイクルの使用に関しては、我慢と忍耐を余儀なくされ、安全面に対するリスクも抱えた使用環境と言えます。 このような条件下においてグリップヒーターの存在はライダーのストレスを解消し、安心感を高めることを可能とする快適性を向上させる用品です。

グリップヒーターの歴史は古く、1950年代から一般アフターパーツメーカーによって実用化され、Hondaは純正マークを使用して1958年頃に ホンダパーツ(株)より販売していました。 その当時のグリップヒーターは、排気の熱を利用したスチーム暖房システムを基本にしたものであり、 ヒーターは銅板で銅パイプに蒸気を流し、調整用コックで温度調整するシステムでした。ラジエーターと同様に水タンクがあり、 実用上の信頼性には疑問があったものの、その省エネの発想は評価でき、また当時は要望も多かったのです。

1979年になると、グリップヒーターは取り扱いの簡易性から温度調整が容易な電気式ヒーターへと進化。電源に専用のACGを使用し、 ヒーターはステンレス薄板を打ち抜き合成皮でサンドイッチしていました。スイッチは温度2段切り替えとOFFスイッチという簡単なシステムで、 グリップの外に巻き付けるため効率のよいヒーターとして郵政カブ(通称MD)の純正品となっていました。

1989年には、グリップの中にヒーターをインサート成形したグリップ一体型のヒーターが登場。その後、1996年には、グリップヒーターによる バッテリーの負荷を軽減するため、電圧検出による自動ON/OFF機能と、温度の無段階調整を可能としたタイプを開発し、Honda二輪車の ほとんどに適用できるようにしました。

1997年には、カブ系のビジネスプロユース対応として、より高効率の仕様に進化させたモデルを、国内二輪需要創出のため、 他二輪車メーカーへOEM供給。2004年より、発熱体をFPCからSUS-FFC(フレキシブル・フラットサーキット)に変更し、 制御系をデジタル化することで、素早い温度上昇と適切な温度設定を可能とました。

そして今回、50年以上に及ぶグリップヒーター開発の集大成として開発した「スポーツ・グリップヒーター」は、 二輪車での走行状態を考え、より快適な温度分布を実現。また、これまでネックとなっていたグリップヒーターの操作感も、 標準装備されているグリップと極限まで差を無くし、外観上も装着感を感じさせることのないスタイリッシュで実用的なグリップヒーターとしました。 これにより多くのスポーツモデルユーザーの快適性向上に寄与することができるようになったのです。