LiB-AID E500 for Music
実力チェック!@ステレオ試聴室

オーディオ評論家の生形氏と月刊ステレオの吉野編集長がステレオ試聴室でLiB-AID E500 for Musicガッツリ試用に臨む。
(本対談は、月刊ステレオ2019年11月号に掲載された内容を基に構成されています)

試聴システム

  • レコードプレーヤー:テクニクス SL-1200GR

  • プリアンプ:アキュフェーズ C-2850

  •   カートリッジ:オーディオテクニカ AT-ART9

  •   パワーアンプ:アキュフェーズ A-48

  • SACD/CDプレーヤー:アキュフェーズ DP-560

  •   スピーカー:フォステクス RS-2 with NW-3

  • フォノイコライザー:アキュフェーズ C-37

  •   クリーン電源:Kojoテクノロジー Aray6 MKⅡ

★印の機器にLiB-AID E500 for Musicを接続
同時に3機器以上に対して給電を行なう際は、試聴室のリファレンス電源タップ(オヤイデ製)を併用

ガチンコ対決!
壁コン VS クリーン電源 VS LiB-AID E500 for Music

生形 : では試聴の順番なんですが、まず壁コンセントから直接給電している状態、次に、私が家から持ってきたクリーン電源から、パワーアンプ以外の電源を給電している状態、そして最後に、パワーアンプ以外をLiB-AID E500 for Musicから給電している状態、という3タイプを聴いて効果を探ってみましょう。

吉野 : なるほど~!LiB-AID E500 for Musicでは力みが無くなるというか、自然体の音になりますね。

生形 : バッテリー電源ならではの耳触りの良さがありますよね、聴きやすい肌触りで。

吉野 : 特に優しめの曲が合う。ブライアン・イーノなんかドンピシャですね。空間がブワッと拡がった。

生形 : S/N感でいうとLiB-AID E500 for Musicがダントツでした。声や楽器の細かい質感とか音の余韻が一番細かく聴こえて。比べちゃうと壁からの電源はザワザワしていて、迫力はあるけどちょっと硬い音。次にクリーン電源の場合、S/N感は壁コンよりは大幅に良いけど、やはりLiB-AID E500 for Musicには敵わなかった。高域から超高域の部分が良くも悪くも少し落ちついて聴こえるのは、そこがこのクリーン電源の良さなんですけど、一方でLiB-AID E500 for Musicは超高域まで素直に伸びている印象でした。

吉野 : ゴリゴリと迫ってくるような音ではなくて、あくまで自然体な音。オーディオでつい強調されがちな低音感とかスピード感は少な目で、脚色は控えめですよね。コンディションに合わせて、夜とか落ち着いた雰囲気で聴きたいときにいいんじゃないかな?

生形 : これで夜にイーノ聴いたら最高ですねきっと。いわゆるオーディオの音を聴いているっていう力強い感じとは逆で、音の存在感がなくなるというか、極端に言えば電気で音を出してない感じというか。

吉野 : スティングでは、ギターの音色が変わったと感じました。現代的なコンプレッサーがガッツリ効いている音がほぐれて、いわばコンプ・キャンセラー的ですね(笑)。エッジが立たない。

生形 : ミックスやマスタリングでたっぷり音圧を稼いだ音源を聴いても、全然聴き疲れないですよ。壁コンセント直だとやっぱり硬さが前に出る。バッテリーのほうが硬さが取れて描写が丁寧になります。

一点集中!
レコードプレーヤーだけをLiB-AID E500 for Musicにつなぐと……?

生形 : 今はプリアンプとCDプレーヤー、レコードプレーヤー、フォノイコの4つを全部繋いでいましたけど、試しにレコードプレーヤーだけに使ってみません?

吉野 : 空間の見通しと音のパワー感のバランスが良くて、これもいいですね~。

生形 : レコードプレーヤーの電源は純粋にプラッターを回すだけのせいか、LiB-AID E500 for Musicがシステム全体へ及ぼす効果の現れ方が違いますね。この現れ方のバランスが好きな人も多いと思います。

これもイイ!
ノートPC+プリメインの省電力系システム

生形 : 最後に、こういった規模のセパレートシステムではなくて、わりと省電力系の、最近流行りのクラスDアンプ搭載の多機能なレシーバーに使ったセットを用意しました。消費電力も少なくLiB-AID E500 for Music一台で賄えそうなのでまた違った結果が出てくるんじゃないかと。ちょっと試してみましょう。

吉野 : 声に温かみが出てくる質感が凄く良かった!普通に使ったら淡白な印象のアンプの音に、ちょっと彩りを添えてくれるような。こんな艶っぽいウェス・モンゴメリのギターは初めて聴いたかも。

生形 : 全体的にやはりS/N感が高まって、奥行きや余韻の表現が見えるようになりましたね。バスドラの誇張感というか、無駄や付帯感も無くなって爽快です。音の立ち上がりや音切れが素早くて、スネアドラムもパンッパンッと弾ける。歌声も鮮やかで、これはいいですね!

吉野 : パワー感も充分にあって、いい効き具合です。

生形 : オーディオ機器の電源回路の規模とか、クラスDアンプとか、使うコンポによって色々な効き具合が楽しめそうですね。いやー、バッテリー試聴楽しかったです。