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勝利をめざして遮二無二走った。 NSX-GT勢のトップであるARTA NSXも、既に自力チャンピオンの可能性は消滅しており、トップチェッカーを受けてもタイトルを獲得できるとは限らない。しかし、なんとしてでも、勝利を。 グリッドに並ぶNSX-GTからは、その執念がゆらめき立つようでもあった。 Hondaは、2009年にてNSX-GTによるSUPER GT参戦を終了すると発表。旧JGTC時代から13年にわたるNSX-GTの歴史に、いよいよ終止符が打たれることとなったのだ。 チャンピオン決定の、そして「ラストラン」の舞台は、最終戦の行われるツインリンクもてぎである。NSXオーナーたちによるパレード、NSX-GT5台による編隊走行に続いて、いよいよマシンがグリッドに着く。先頭で戦いのときを待つのは、逆転チャンピオンを賭けてNSX-GTにとって通算50回目となるポールポジションを獲得したARTA NSXだ。 |
ローリングスタート。ファーマン選手は直後にポジションを下げるも、すぐに追撃を開始し、トップ争いを展開する。一方、後方でも「事件」が発生。タイトルの筆頭候補がトラブルにより後退してしまったのだ。これにより、チャンピオンシップの行方は、事実上トップの2台に託されることとなる。 前をゆくライバルは、4位以上でチャンピオンが確定するが、ARTA NSXにとっては勝利が必須だ。ライバルがピットに入った隙を見て1分48秒台のラップタイムで猛チャージを掛け、逆転に成功。伊沢選手がアウトラップでも猛追を凌ぎきるとスタンドが沸いた。NSX-GT各車も、それぞれのポジションで果敢に攻め続ける。気魄の走りとはこのことだろうか。 250kmのレースを終え、最初にチェッカーを受けたのは、ポールポジションからスタートしたARTA NSX。 3位にも、タイヤ無交換作戦を選択して猛然と追い上げたKEIHIN NSXが入ったが、ランキング2位のチームも表彰台を獲得。NSX-GT勢にとって、ファンにとって悲願であったラストシーズンでのタイトル獲得は、ならなかった。 やりきり――。NSX-GTのラストラン、そしてラストイヤーには、まさにその言葉が似合うのではないだろうか。規定の改定によりNSX-GTの武器が弱体化する中、困難に挑み続け、最終戦までチャンピオン争いに残り、強力なライバルを相手に一歩も引かない戦いを繰り広げた。結果論とは言え、仮に悠々と走ってチャンピオンを獲得できるポジションにいたとしたなら、それはNSX-GTにとって相応しいラストではなかったのかもしれない。NSX-GTが体現した「NSXイズム」。それはファンの心に強く刻み付けられたに違いない。 |
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