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96年5月にオープン以来、NSXオーナー、ホンダファンに限らず多くのスポーツカーフリークの熱い視線を集めている鷹栖町にあるホンダ鷹栖プルービングセンター。
北海道第二の都市、旭川のほど近くの山間部に位置するこの施設のワインディングコースはテストコースとしては異例の過酷さを誇る。それゆえ、一度走ってみたい…と熱望するドライバーが多いが遠方、過酷、使用スケジュールが過密であることから実現が見送られてきた。
しかし、NSX誕生10周年のこの年についに実現。いち早くオーナーズ・ミーティングに取り組んできたことによるオーナー全体のレベルアップと、スタッフの経験の蓄積がこの難コース解放に至った。
当日、この記念すべき10周年のドライビングイベントは参加者の満面の笑顔とともに無事終了。
10年を経て、さらに活気を増してきたNSXワールドの空気を満喫した47台。
ある者はさらに北海道を走り、ある者は愛車の輸送を依頼し空路北端の地をあとにした。
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PGホールでのブリーフィング。東京ドーム84個分もの敷地にある鷹栖プルービングセンターのすべてが語られた。

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高速周回路名物、41.6°の左バンク。そこを最高速で駆け抜ける参加オーナーのNSX。

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めいっぱい走ったあとのオープンエアランチはうまい。また食材が新鮮なのもうれしい。

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ご覧のようなアップダウンの連続。写真ではわかりにくいが、路面には無数の凹凸がつくられ、コーナリングを難しくしている。

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NSXの集まりといえば黒澤氏は欠かせない存在。いつもピチピチとした肌なのは熱いドライビングのせいか。

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フィナーレを終えてもサイン要請の嵐。オーナーは感謝の気持ちを込めて上原をぐるりと取り囲む。
旭川集合・解散の記念イベントに南は九州鹿児島から47台が参加。やはりNSXのオーナーは熱い。

北海道は旭川のホテルに午後5時集合、翌日は9時から走行を開始し、午後4時解散。参加費用は、走行費、宿泊、食事込で1名43,000円(税別)。各地主要港からのNSXの輸送もOK(有料)。 これが待望の10周年記念イベント、「NSX北海道 in Takasu」のアウトライン。この誘いに全国から47台のNSXと61名が参加。そのうち自走での参加は27台。本州から自走で参加された方は、一週間ほど休みを取り、フェリーで北海道へと渡って北海道のドライブを兼ねて参加された方が多かった。いずれにしても、NSXオーナーは熱い。鷹栖ワインディングコースの魅力もそれだけ高かったということだろう。

ワインディング、感動はニュル以上。NSXの剛性の高さをあらためて実感。

ホンダからは上原開発総責任者をはじめとする研究所の面々、特別講師には黒澤元治、清水和夫、佐藤久美とお馴染みのレーシングドライバー。初日は受け付けを済ませたあと、恒例のパーティで和気あいあいと盛り上がった。そして二日目は夢に見た鷹栖、ワインディングと高速周回コースの走行。特にワインディングコースは、NSXの第二の生まれ故郷でもあるドイツ・ニュルブルクリンクをベースに、さらにクルマに過酷なコースとしてつくり上げた、黒澤氏曰く「世界一のテストコース」である。
普段は走りたくても走れない場所。その秘密の花園との遭遇に、オーナーの皆さんの興奮は最高潮に達した。気持ちよく晴れ上がった空にまるで欧州のような美しい山々が映えていた。

ワインディングコースにコースインするといきなり右、右のタイトなコーナー。そこからなだらかに曲がりながら下り、再び上って急降下。その次ぎは先が見えない上り左カーブのため、脚をバタつかせながら短く鋭いブレーキングが必要となる。そのあとは、アップダウン、ブラインドコーナーの連続で荷重が目まぐるしく変化するため落ち着いてステアリングを握ってなどいられない。興奮状態のため、次のコーナーはシフトダウンが必要なのかブレーキングだけでいいのかわからなくなる。前後左右だけでなく上下にも揺さぶられるのでボディ各部から軋み音が出るほどだ。
緊張の連続、連なるブラインドがエキサイティング!「もう汗びっしょり」とか、「ジャンピングでヘルメットがルーフに当たった」など感動の声が引きも切らさず聞こえてきた。ニュルブルクリンクを知るオーナーからは、「黒澤さんがニュル以上といっていたけど本当にそんな気がします」とも。
普通のサーキットのように、落ち着いて次のアプローチのための心の準備をする暇もない。ブレーキだってサーキットのように一定の踏力で踏んでいればいいというわけではなく、路面変化にあわせてコントロールしなければならない。サーキット経験の豊富な方からは、「ノーマルタイヤのバランスのよさに改めて気づかされました」という声も多く聞かれた。

こんなNSX、こんなコースをつくって解放してくれたホンダに感謝。

タイプRに乗るある女性オーナーはこう語った。
「私にとってはタイプRがベストで、本当に自分の意志のままに動いてくれる最高に快適なクルマ。このコースもどうなっちゃうかわかんない!という感じで最高に楽しい。もうNSXと鷹栖をつくってくれたホンダさんに感謝感激という感じです」


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スカッと抜けた空の下、新緑につつまれ走る気分は最高。サーキットを走る機会はあっても、6.2kmもの長さのワインディングを思い切り走れるチャンスはそうない。この日のNSXオーナーは、世界一の幸せ者だったに違いない。

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NSX Press vol.25 2000年9月発行