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NSXオーナークラブの「NSXドリーム28」が、98年FIA
・GT選手権
ポッカ1000kmレースにプライベート参戦し、クラス3位入賞。 |
NSXオーナークラブが結成するプライベートチームが、昨年のFIA・GT選手権ポッカ1000kmレースで、世界トップクラスのGTマシンとドライバーを相手に、ノーマルエンジン、ノーマルミッションで総合21位、クラス3位入賞、表彰台に立つという快挙を成し遂げた。
チーム名は「NSXドリーム28レーシングチーム」。東海地方のNSXオーナーを中心に結成されたクラブチームで、4年前に発足。 |
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オーナーズ・クラブとしてツーリングやサーキット走行会、レース観戦、他クラブとの親睦会などを行うとともに、レース参戦に対しても積極的に活動を行ってきた。今回この素晴らしい結果を残した、FIA・GT選手権ポッカ1000kmレースへの参戦は96年から。初挑戦の一昨年は完走、2度目の参戦となった昨年は、オイル漏れおよびドライブシャフトの損傷というトラブルに見舞われたが、応急処置を施したマシンを最後まで走らせ、記録的にはリタイアでありながらも“執念のゴール”を果し、話題を呼んだ。
彼らをゴールまで導いたのはまぎれもない、夢に向かうひたむきな情熱である。 |
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「NSXドリーム28」というチーム名は、ホンダの創設者である本田宗一郎が、初のスポーツカーを造り上げてから28年後にNSXが誕生したことと、90年のNSX発表の際のメッセージワード「our
dreams come true.」から名付けられたという。チームの代表であり監督を務めるのはNSXオーナーの鈴木光彦さん。 |
「限られた資金力とアマチュアドライバーの力量では世界のトップチームには到底およびません。けれども、NSXとモータースポーツを愛する心、チームワーク、そして1000km先のゴールを目指す心意気はトップチームにさえ少しも負けてはいないつもりです」と鈴木さんは語った。
レース当日、真夏の太陽が照りつける鈴鹿サーキットには31台のGTマシンが並んだ。NSXドリーム28は、大城一さんをスターティング・ドライバーに、まずは快調に21ラップを走行。そして、佐藤理之さんに替わって22ラップを、続いて高橋一穂さんが24ラップを走行。
その後、91ラップ(約540km)走った頃、タイヤが消耗しはじめ、さらにリアブレーキダクトの破損によるブレーキフェードなど、非常に厳しい状況に。クールスーツのポンプの調子も悪く、高温の厳しい状況でのドライブを余儀無くされた。
しかし、なんとか完走に漕ぎ着けたいという執念が実り、128周を完走。同クラスでトップを走行中のアビリティポルシェ911がゴール直前でトラブルによりスローダウンし、NSXドリーム28はクラス3位入賞の快挙を成し遂げた。
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最後まで夢に向かって邁進した彼らの情熱と団結心は、サーキットに詰めかけた大勢のNSXファンに大きな感動を与えたに違いない。
そして恐らくは、レースを天上から見守り続けた本田宗一郎も、満面の笑み…であろう。
NSXという世界第一級のスポーツカーを操るだけでなく、全身全霊をかけて人生を楽しめるとは、何と幸福な人たちであろうか。
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