2023.09.20
Honda、SAFを100%使用した「HF120」のエンジン試験を日本で実施 NEW
Hondaは、持続可能な航空燃料(SAF※1)を100%用いたHF120ターボファンエンジンの試験を、航空エンジンの研究・開発拠点である本田技術研究所(埼玉県、和光市)にて実施しました。
今回の試験では、穀物などを原料としたアルコールから製造されるATJ-SPK※2と呼ばれるSAFを使用しました。100% SAF・従来のジェット燃料・それらを混合した燃料を使用し、SAFの比率がエンジン性能に与える影響を調査しました。特に今回の燃料の特徴であるエンジンの失火特性への影響を評価し、その知見を得ることができました。この知見を、今後のエンジン研究・開発及びSAFの安全性評価と国際規格化を支援するOEM Review Panelの活動に活かしていきます。
2022年10月に発表したゼネラル・エレクトリック社の設備(米国オハイオ州ピーブルズ)で実施した試験では、HEFA-SPK※3と呼ばれる種類のSAFを100%で使用しました。HF120で試験された100% SAFは、今回のATJ-SPKで2種類目となります。
この試験にあたって、従来ジェット燃料の供給ラインのみだったエンジン試験設備に対して、SAF専用の燃料供給ラインを新たに追加し、目的に応じて燃料を切り替えて試験することができるように設備の機能を拡張しました。これにより、従来燃料によるエンジン試験を実施する機能を維持したまま、今回行ったSAFの影響調査のようなエンジン試験を効率的に実施することが可能になりました。また、この100% SAFによる試験の後から、試験目的に応じて、最大で50%(規格で許容されている上限値)までSAFを混合した燃料を用いて試験を行っています。
Hondaは、研究・開発活動も含めたカーボンニュートラルを目指しています。航空エンジン領域においては、今後もSAFを含む様々な手法に積極的に取り組んで参ります。
※1 Sustainable Aviation Fuel。従来の化石資源由来のジェット燃料と比べてCO2排出量を低減できるため、航空の脱炭素化に重要な役割を果たすと期待されている。
※2 Alcohol to Jet Synthetic Paraffinic Kerosene。穀物などを原料としたアルコールから製造される航空用燃料。
※3 Hydroprocessed Esters and Fatty Acids Synthetic Paraffinic Kerosene。動植物由来の油を水素化処理して合成される航空用燃料。既存の石油精製設備で製造でき、現在最も普及しているSAFの一種。
<関連リンク>
・2022年10月に実施された米国での100% SAFエンジン試験については、こちらをご覧ください。
・OEM Review Panelの活動に関するニュースは、こちらをご覧ください。
・Hondaの航空領域でのカーボンニュートラルへの取り組みは、こちらをご覧ください。