FIAワールド・ツーリングカー・カップ(WTCR)の最終戦がアラゴンで行われ、エステバン・グエリエリがシーズン最後に1勝を挙げました。
前日の予選で苦戦したHonda勢は、グエリエリの逆転タイトル獲得のチャンスをつかむため、勝負に出ます。Honda勢の戦略は功を奏し、ALL-INKL.COM Münnich Motorsportのグエリエリとネストール・ジロラミが1-2フィニッシュを決めました。
ハーフウエットの路面で多くのチームがスリックタイヤを履く中、アラゴンの路面がドライになるまでに時間が掛かると予想したHonda勢のグエリエリ、ジロラミ、ティアゴ・モンテイロは、リアにウエットタイヤを履きました。
その予想は当たり、11番グリッドからスタートしたジロラミは、序盤で3番手に上がると、1周目の終わりにはトップに躍り出ます。グエリエリはスタートこそ出遅れたものの、タイヤ戦略が当たり、1周目の最後には7番手に上がると、さらにライバルを抜いて2番手になります。
トップのジロラミから6秒遅れで最終ラップに入ったグエリエリは、その差を詰めると、ジロラミからトップを譲り受けて、最多ポイントを獲得しました。
それにより、グエリエリはタイトル獲得の望みをレース2につなげますが、レース2の序盤でその望みは非情にも絶たれてしまいます。ターン16のヘアピンでスピードが落ちた他車を避けることができずに、マシンのフロントにダメージを追ってしまいました。
レース2をリタイアしたことでグエリエリのタイトル獲得は果たせませんでしたが、レース3の開始までにマシンの修復を必死に行い、シーズン最終レースへの出場を成し遂げました。レース3を10番手でフィニッシュし最終ランキングで3位を獲得するかに思えましたが、ペナルティーによる降格でポイント圏外となり、ランキング4位でのシーズンフィナーレとなりました。
グエリエリのレース1優勝により、今シーズンのHonda勢の優勝は全16戦で計5回となりました。グエリエリは全30戦あった昨年と同じく年間4勝を挙げ、3年目のWTCRで計10勝を挙げた最初のドライバーになりました。
レース1で1-2フィニッシュを決めたALL-INKL.COM Münnich Motorsportはチームランキングで年間2位となり、2018年と2019年の3位を超えてチームベストでシーズンを終えました。
ジロラミはレース1で2位に入り、今シーズン4度目の表彰台登壇となりました。レース2でジロラミは好スタートを決めると、1周目で4つ順位を上げます。7番手を目指してライバル勢と争いますが、ラジエーターのトラブルがあり、残り3周でリタイア。レース3をスタートできずにシーズン終了となりました。シーズンを通していい走りをしていたジロラミですが、レース2でのリタイアもあり、年間ランキングは2年連続の10位で1年を締めくくりました。
モンテイロはレース1を8位でフィニッシュすると思われましたが、ホイールにトラブルが発生し、残り2周でリタイアになりました。レース2で復帰するとレース2を10位、レース3を11位でフィニッシュ。今シーズンは表彰台登壇を1度果たしました。
ALL-INKL.DE Münnich Motorsportでモンテイロとチームメートのアッティラ・タッシは、最終戦の3レース全てでポイントを獲得しました。レース1ではHonda勢で唯一ウエットタイヤを履いていませんでしたが、スタートから10個ポジションを上げて10位でフィニッシュ。レース2では最終戦の3レースで最高位の8位を獲得しました。
タッシはランキング12位、モンテイロは15位でシーズンを終え、ALL-INKL.DE Münnich Motorsportはチームランキング6位になりました。
エステバン・グエリエリ(1位/22位/18位)
「今日は色々な感情を味わいました。最終的にはほろ苦いものでした。レース1で素晴らしいレースをし、レース2のクラッシュで残りのレースを無駄にしました。あれは避けられないクラッシュでした。スタッフが懸命にマシンを修復してくれましたが、レース3ではスピードが出ませんでした。今年のような慌ただしいシーズンで、常にいい成績を収めるのは難しいです。私たちはレベルの高い走りをし、タイトル争いもしましたが、ライバルのほうが少し上手でした。チームの懸命な働きに感謝しています。望むようなシーズンフィナーレではありませんでしたが、最後までファイティングスピリットを持って戦ったので、満足しています」
ネストール・ジロラミ(2位/16位/21位)
「明暗両方を体験したシーズン最終戦でした。レース1はうまくいきました。リアにウエットタイヤを使う賭けをし、1周目の最初のコーナーで3番手になると、1周目の終わりにはトップに立ちました。ライバルと違う戦略がうまくはまって驚きましたし、チームにポイントを与え、エステバン(グエリエリ)のタイトル獲得の望みをつなぐことができてよかったです。ドライになったレース2でも何とか7番手で走りましたが、トラブルがあり今シーズン終了となりました。できるだけのことはして、レース1では1-2フィニッシュを果たしました。短かった今シーズンを振り返り、さらに強くなって来年戻ってきます」
アッティラ・タッシ(10位/8位/10位)
「レース1はHonda勢で唯一スリックタイヤで走りました。同じくスリックタイヤで走ったライバルよりもいいペースで走れ、10位でフィニッシュできたのでうれしいです。レース2もいい調子で走れましたが、レース3は少し違いました。スタートが決まり、最初の数周はいいペースで走れました。そのペースを維持しようと思いましたが、タイヤを酷使しすぎたのか、トップ6の位置を維持できなかったです。最終周はチームのためにエステバン(グエリエリ)のサポートに回りました。終わってみればいいシーズンでした。たくさんのことを学び成長したと思います。来年もこの調子で戦いたいです」
ティアゴ・モンテイロ(20位/10位/11位)
「今日の目的はエステバン(グエリエリ)のタイトル獲得のためにできることは全てやることでしたが、願いはかないませんでした。いいことも悪いこともあり、山あり谷ありのシーズンでした。自分たちのやってきたことには満足しています。最終的には報われませんでしたが、チームとして団結しましたし、今後が楽しみです。短いシーズンでしたが、たくさんのことを学んだので、練習に活かしていきます。チームにはねぎらいの言葉を送りたいです。そして、タイトルを獲得したヤン(エアラッシ)には祝辞を送ります。来年こそタイトルを獲りたいです」
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 86 | エステバン・グエリエリ | ![]() | 10 | 25'26.322 |
2 | 29 | ネストール・ジロラミ | ![]() | 10 | +0.602 |
3 | 16 | G.マグナス | アウディ | 10 | +13.449 |
4 | 17 | N.ベルトン | アウディ | 10 | +14.238 |
5 | 96 | M.アズコナ | クプラ | 10 | +16.533 |
6 | 68 | Y.エアラッシ | Lynk & Co | 10 | +36.425 |
10 | 9 | アッティラ・タッシ | ![]() | 10 | +50.848 |
20 | 18 | ティアゴ・モンテイロ | ![]() |
8 | +2Laps |
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 100 | Y.ミュラー | Lynk & Co | 12 | 29'23.671 |
2 | 69 | J.カール・ベルネ | アルファロメオ | 12 | +2.796 |
3 | 96 | M.アズコナ | クプラ | 12 | +4.939 |
4 | 16 | G.マグナス | アウディ | 12 | +6.110 |
5 | 1 | G.タルクィーニ | ヒュンダイ | 12 | +6.292 |
6 | 68 | Y.エアラッシ | Lynk & Co | 12 | +6.733 |
8 | 9 | アッティラ・タッシ | ![]() |
12 | +9.413 |
10 | 18 | ティアゴ・モンテイロ | ![]() | 12 | +10.631 |
16 | 29 | ネストール・ジロラミ | ![]() |
7 | +5Laps |
22 | 86 | エステバン・グエリエリ | ![]() |
1 | +11Laps |
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | S.ウルティア | Lynk & Co | 12 | 27'20.241 |
2 | 68 | Y.エアラッシ | Lynk & Co | 12 | +4.355 |
3 | 69 | J.カール・ベルネ | アルファロメオ | 12 | +11.078 |
4 | 100 | Y.ミュラー | Lynk & Co | 12 | +12.204 |
5 | 96 | M.アズコナ | クプラ | 12 | +15.333 |
6 | 11 | T.ビョーク | Lynk & Co | 12 | +19.883 |
10 | 9 | アッティラ・タッシ | ![]() | 12 | +35.151 |
11 | 18 | ティアゴ・モンテイロ | ![]() | 12 | +36.221 |
18 | 86 | エステバン・グエリエリ | ![]() |
12 | +1'04.732 |
21 | 29 | ネストール・ジロラミ | ![]() |
0 | - |
順位 | No. | ドライバー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 68 | Y.エアラッシ | Lynk & Co | 234 |
2 | 100 | Y.ミュラー | Lynk & Co | 195 |
3 | 69 | J.カール・ベルネ | アルファロメオ | 194 |
4 | 86 | エステバン・グエリエリ | ![]() |
188 |
5 | 16 | G.マグナス | アウディ | 172 |
6 | 12 | S.ウルティア | Lynk & Co | 169 |
10 | 29 | ネストール・ジロラミ | ![]() |
137 |
12 | 9 | アッティラ・タッシ | ![]() |
100 |
15 | 18 | ティアゴ・モンテイロ | ![]() |
79 |
順位 | チーム | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | Cyan Racing Lynk & Co | Lynk & Co | 429 |
2 | ALL-INKL.COM Münnich Motorsport | ![]() |
325 |
3 | Cyan Performance Lynk & Co | Lynk & Co | 311 |
4 | Comtoyou DHL Team Audi Sport | アウディ | 265 |
5 | Zengo Motorsport Services KFT | クプラ | 185 |
6 | ALL-INKL.DE Münnich Motorsport | ![]() |
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