世界ツーリングカー選手権の最終戦はカタールのロサイルサーキットで開催されました。
Honda Civic WTCC勢は予選で3台ともQ2に進出したものの、ノルベルト・ミケリス(Honda Racing Team JAS)が3番手、ロブ・ハフ(Castrol Honda World Touring Car Team)が6番手、ティアゴ・モンテイロ(Castrol Honda World Touring Car Team)が7番手となり、ミケリスのみがQ3に進出となりました。
Q3においては、ミケリスがT13でコーナーリミットポストに接触し、左ステアリングタイロッドを破損させてしまい、コースアウト。その時点までポールポジション(PP)獲得したメディ・ベナーニ(シトロエン)よりも速いラップタイムを刻んでいただけに、非常に残念な結果となりました。
ノルベルト・ミケリス
ティアゴ・モンテイロ
予選の最終結果は、ミケリスが5番手、ハフが6番手、モンテイロは7番手で決勝を迎えることになりました。また、ミケリスはT13トラブルによりチーム戦のMAC3には出場することができませんでした。
Q2に進出した上位10台がリバースグリッドとなるオープニングレース(レース1)において、モンテイロは4番グリッド、ハフは5番グリッド、ミケリスは6番グリッドからスタートしました。レーススタート直後の混戦状態の中、T2においてモンテイロが、ヒューゴ・バレンテ(ラーダ)と絡みコースアウト。モンテイロはコーナーリミットのタイヤポストにリア側面を当ててしまい、サスペンションが大破、そこでリタイアとなります。
ティアゴ・モンテイロ(#18)
ハフは3番手、ミケリスは5番手まで浮上していましたが、レースはここで赤旗中断。セーフティカー先導による走行が続き、4ラップ目からリスタート。その後、高速ターンの多いこのサーキットで両ドライバーとも順位を上げることができませんでしたが、ハフが3位表彰台を獲得。ミケリスは5位でレース1を終えました。
ロブ・ハフ(#12)
ロブ・ハフ
ミケリスは5番グリッド、ハフが6番グリッド、モンテイロが7番グリッドからのスタートとなったメインレース(レース2)は、T1での混乱によりハフが8番手まで順位を落としてしまいましたが、ミケリスは4ラップ目に4番手に浮上。モンテイロは7ラップ目、14ラップ目に上位の車両をオーバーテイクして5番手まで浮上しました。各ドライバーが抜けないコースで健闘しましたが、その後、順位の変動はなく、ミケリスが4位、モンテイロが5位、ハフは8位でレースを終えました。
ノルベルト・ミケリス(#5)
今回は 予選およびレース1での大きなクラッシュによりレース結果としては、非常に厳しいものになってしまいました。Honda Civic WTCCはシーズン前半から、車体・エンジンとも非常に大きな進化をみせましたが、チャンピオンを獲得することはできませんでした。2016年は、レースで勝利するためには予選を制することが重要と実感させるシーズンとなりました。Hondaのタイトル奪還のためには、PPを獲れる車両を仕立て、勝つことを目指して進めていく必要があります。
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | G.タルクィーニ | ラーダ | 14 | 46'16.258 |
2 | 3 | T.チルトン | シトロエン | 14 | +5.321 |
3 | 12 | ロブ・ハフ | ![]() | 14 | +5.930 |
4 | 68 | Y.ミュラー | シトロエン | 14 | +7.608 |
5 | 5 | ノルベルト・ミケリス | ![]() | 14 | +9.070 |
6 | 62 | T.ビョーク | ボルボ | 14 | +9.675 |
11 | 99 | ダニエル・ナギ | ![]() | 14 | +16.274 |
13 | 55 | フェレンツ・フィクザ | ![]() | 14 | +17.227 |
18 | 18 | ティアゴ・モンテイロ | ![]() |
0 | - |
順位 | No. | ドライバー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | M.ベナーニ | シトロエン | 15 | 32'38.479 |
2 | 62 | T.ビョーク | ボルボ | 15 | +1.176 |
3 | 37 | J.ロペス | シトロエン | 15 | +4.815 |
4 | 5 | ノルベルト・ミケリス | ![]() | 15 | +10.575 |
5 | 18 | ティアゴ・モンテイロ | ![]() | 15 | +11.827 |
6 | 68 | Y.ミュラー | シトロエン | 15 | +12.390 |
8 | 12 | ロブ・ハフ | ![]() | 15 | +17.037 |
11 | 55 | フェレンツ・フィクザ | ![]() | 15 | +21.758 |
15 | 99 | ダニエル・ナギ | ![]() | 14 | +1Lap |
堀内大資|Civic WTCC開発プロジェクトリーダー
「最終戦でもさらに速さを求め、また来シーズンを見据えての改良をHonda Civic WTCCに施して臨みました。車体、エンジンともにセッティングを最適化し、好結果でシーズンを締め括ることを目指しましたが、勝利を逃したことは残念です。予選ではミケリス選手、レース1ではモンテイロ選手がバリアにヒットするなど、今回は流れがよくありませんでした。今シーズン、タイトル奪還を目指しましたが、結果としてそれを実現することはできませんでした。しかし、Honda Civic WTCCが大きな進歩を遂げたことも確かで、この成果は来シーズンにつながるものだと確信しています。なお、今シーズンをもって私は定年となり、来シーズンは新たなプロジェクトリーダーにタイトル奪還を託します。これまで一緒に努力を重ねたドライバー、チームスタッフ、そして応援していただいたファンの皆さまには、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。今後とも、Honda Civic WTCCの応援をよろしくお願いします」
古川隆一|次期Civic WTCC開発プロジェクトリーダー
「今回、エンジンはかなり攻め込んだ仕様で臨んだのですが、思うような結果が得られず残念に思います。今シーズン途中からWTCCを担当し、Honda Civic WTCCの長所・短所を把握することができ、さらに速くするために必要なことは見えています。それを実現するためにシーズンオフは開発とテストを繰り返し、来シーズン開幕に向け圧倒的に速いマシンを目指します」