ガイザーは7大会で表彰台を獲得
ボジャーズは苦しいデビュー年に

2018年のモトクロス世界選手権は全20大会で開催。Team HRCは、16年チャンピオンのティム・ガイザーと、MX2クラスからステップアップしたブライアン・ボジャーズに新型ワークスマシン「CRF450RW」を託し、2年ぶりのチャンピオン奪還を目指した。

シーズンは、開幕前のケガでワークスライダー2人ともが開幕戦を欠場するという異例の幕開けに。ガイザーは第2戦ヨーロッパ大会から復帰し、第5戦ポルトガル大会の総合3位を含めて8大会で表彰台に登壇するなど活躍。ケガに苦しめられながらもチャンピオンとしての強さを随所で発揮し、シリーズランキング4位となった。ボジャーズは長期療養を経て、第19戦オランダ大会でMXGPクラスデビューを飾ると、初ポイントを獲得。ランキング37位でシーズンを終えた。

ガイザーにとって今季初レースとなった第2戦ヨーロッパ大会は、気温が氷点下まで落ち込む厳しいコンディションの中で行われた。しかしガイザーは予選レースでいきなり3位、決勝では総合9位と早くも安定した走りを披露し、完調間近であることを示す。続く第3戦スペインの舞台は初開催となるバレンシア近郊のレッドサンド。ここでもガイザーは予選でトップフィニッシュを飾ると、決勝でも総合6位入賞を果たした。

今シーズン、Team HRCが拠点を構えるイタリアでは3大会(トレンティーノGP、ロンバルディアGP、イタリアGP)が開催された。第4戦トレンティーノでは大勢のファンが見守る中、ガイザーは予選でのクラッシュの影響で、決勝グリッドはライバルに対して不利な状況に。しかし追い上げの走りで5位/8位と、2レース両方でシングルフィニッシュを決めた。「もっと好成績を残せることは分かっている」と悔しさものぞかせていたガイザーは、翌週の第5戦ポルトガルでは今季初の総合3位で表彰台に登壇、ホームでの悔しさを見事、結果につなげた。

第8戦ドイツ大会では、ガイザーが2レースで今季ベストの2位フィニッシュを挙げた。同地は、2011年にファクトリー活動を再開したHondaが、MXGP(当時MX1)初優勝を遂げた験のいい場所でもあった。ここでなにかを掴んだのか、その後の第9戦イギリス、第10戦フランスでもガイザーは好調ぶりをキープ。イギリスではレース1を3位で終えると、レース2で5位に。総合5位となるも、総合3位の選手とは総合得点が同点というわずかの差で、トップグループとそん色ない速さを見せつけていた。続くフランスでは総合3位に入り、今季3回目の表彰台を獲得した。

アジアでの連戦では、ガイザーにとってはあと一歩の惜しいレースが続いた。第12戦インドネシア大会では、総合得点が3位の選手と同点で総合4位。第13戦アジア大会のレース1では、中盤までトップを走っていたものの、わずか1秒強の差で2位に終わった。とはいえ、同大会で総合2位を獲得し、ポイントランキングでは4位に躍進を果たした。2週間を挟んで開催された第14戦チェコ大会でも、総合3位でポディウムを獲得する。

8月中旬からのヨーロッパでの3連戦では、ガイザーは第16戦スイス大会こそ総合6位で終えたものの、続く第17戦ブルガリア、第18戦トルコでは連続で総合2位の結果を残した。

第19戦オランダ大会を総合5位で終え、ランキングでは3位と20点差の4位で迎えた最終戦イタリア大会はチームにとってのホームグランプリ。大勢のファンからの声援を受け、ガイザーは総合2位で表彰台を獲得して、チームに笑顔をもたらした。最終戦のレース後に、ガイザーは「開幕直前に負傷したことなどを考えれば、今ここにいられる喜びと感謝の気持ちでいっぱい」と満足感を示していた。

なお、チームメートのボジャーズは長期療養もあり、決勝レースを戦えたのはオランダ大会のみ。最終戦は予選レースでの負傷の影響で決勝を断念し、来季に気持ちを切り替えていた。2019年のTeam HRCは、ガイザーとボジャーズの体制を継続する。