round 09

June 16 2013 FIM Motocross World Championship Italy イタリア

SCHEDULE

ナグルが激しい追い上げをみせて総合5位入賞
MX2のレース2では、アレクサンダー・トンコフがベストリザルトの3位

2013年6月16日(日)・決勝  会場:マッジョーラ
天候:晴れときどき曇り  気温:32℃  観客:3万8000人

全17戦で行われる2013 FIMモトクロス世界選手権の第9戦が、イタリア・マッジョーラで行われ、約3万8000人が集まりました。MX1クラスでは、フランス人ライダーのゴーティエ・ポーリン(カワサキ)が今シーズン3度目の総合優勝。Hondaライダーの中でベストリザルトを残したのは、Honda World Motocross Teamのマキシミリアン・ナグルで、ファクトリーマシンのCRF450Rを駆り、総合5位に入賞しました。今大会でもう一つ顕著だったのは、Honda Gariboldi所属のロシア人ライダーのアレクサンダー・トンコフが、レース2で自身のベストリザルトとなる3位に入賞したことでした。

  • マキシミリアン・ナグルマキシミリアン・ナグル
  • マキシミリアン・ナグルマキシミリアン・ナグル
  • マキシミリアン・ナグルマキシミリアン・ナグル
  • イブジェニー・バブリシェフイブジェニー・バブリシェフ
  • イブジェニー・バブリシェフイブジェニー・バブリシェフ
  • ダビド・フィリッパーツダビド・フィリッパーツ
  • ダビド・フィリッパーツダビド・フィリッパーツ

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マッジョーラは、ヨーロッパのモトクロス会場の中で最も象徴的なサーキットの一つですが、グランプリがこの地に戻ってきたのは、今世紀になって初めてのことです。改修されたマッジョーラのコースには、多くの観客が詰めかけ、非常に盛り上がった第7戦ブラジル、第8戦フランスに続いて、印象的な雰囲気に満ちたグランプリとなりました。

かつて、険しいアップダウンとハードパックで恐れられたコースは、今も変わらずハイスピードでした。ライダーたちはコーナーではワダチを活用しながら、グリップを得るために格闘していました。

ナグルには奇策があり、レース1のスタートでの出遅れから一気にパッシングを敢行して6番手まで急浮上しました。彼はコース攻略方法が当たっていたため、とても満足していました。マシンセッティングを詰めたことで、レース2ではスタート時の飛び出しが改善されましたが、前輪のねじれと思われるトラブルによって転倒を喫し、またしても激しい追い上げの末に6位でフィニッシュしました。ランキング2位になったことがあるナグルは、安定感のあるレースを続けており、もう一踏ん張りで表彰台争いができる位置にいます。

チームメートのイブジェニー・バブリシェフは、予選では、2コーナーでミスをしましたが、ファクトリーマシンのCRF450Rを再スタートさせると、最後尾からばん回し、なんとか決勝の8番グリッドを獲得しました。35分プラス2周を2レースするにあたって、バブリシェフは十分なスピードを披露しましたが、その一方でミスも目立っていました。レース1では少なくても2度の転倒が響き、15位でチェッカーを受けました。レース2では1回のスリップダウンで後退し、11位まで追い上げるので精一杯でした。

バブリシェフは2カ月前に右足を骨折してから回復途上だったため、結果にがっかりしつつも、トップライダーとして復帰する正しい道のりをたどっていることがみえたのは収穫でした。

Honda Gariboldiのダビド・フィリッパーツは、土曜日の予選でスタートから2番手につけ、予選1番手を目指してトミー・サール(カワサキ)を追いかけました。パワフルに攻めましたが、そのあとクラッシュを喫してしまい、顔面にケガを負ったため、縫合が必要となりました。そのため、日曜日の決勝への出走を決断するまで入院していたほどでした。イタリア人として2008年に初のMX1チャンピオンとなったフィリッパーツは、マッジョーラから10kmしか離れていないところに自宅があります。フィリッパーツはレース1に出走しましたが、ワダチの多いコンディションに苦しみ、低速時に転倒したことで大事をとってリタイアしました。

フィリッパーツのチームメートであるアレクサンダー・トンコフは、MX2クラスでCRF250Rのスタートのよさを生かしていきなり主役となりました。土曜日の予選でロシア人として初のMX2でのトップを獲得。レース1ではホセ・ブトロン(KTM)を相手にフィニッシュ目前まで2位争いを展開しました。トンコフは最後の最後でアタックを試みましたが転倒。ライダーを失ったマシンがタイム計測機を倒したため、トンコフのリザルトは22位となりました。焦りからの失敗はレース2では見られず、終始チャンピオンのジェフリー・ハーリングス(KTM)を追走して注目を浴び、見事3位でチェッカーを受けました。

グランプリ日程は後半に差しかかり、MX1のポイントランキング上では、ナグルが6位から46点差の7位。フィリッパーツは今大会でノーポイントだったにもかかわらず10位。バブリシェフは12位からさらなるランクアップを狙っています。

FIMモトクロス世界選手権は、このあとスウェーデン、ラトビア、フィンランドという北欧3連戦に臨みます。第10戦スウェーデン大会は、ウッデバラで6月30日(日)に開催されます。

コメント

マキシミリアン・ナグル(MX1 6位/6位 総合5位) 「レース1のスタートではほとんど最後尾でしたが、2コーナーのアウト側にいいラインがあったので、そこで一気に10台ほど抜いたと思います。皆がイン側の遅いラインに集中していましたので、アウトから全開でまくることができました。毎周何台か抜いた結果、6位までポジションを上げられました。自分のライディングには満足していますし、終始ラップタイムもよかったです。レース2の前にマシンセッティングを少し変えて、それが功を奏しました。はじめは5位で順調でしたが、2周目過ぎから前輪の動きが空中で渋くなりました。『この段階であり得るトラブルとはなにか?』と考え、石かなにか異物がフロント周りのどこかに詰まったのではと推測しました。その石を振り落とそうとして、ジャンプを大きく飛んで激しい着地を試みました。コースの奥の方で前輪が空中で完全に止まり、着地でスリップして転倒しました。マシンを起こして走り続けようとしましたが、いい感触ではありませんでした。前輪が引っかかるとマシンをコントロールすることができないですし、マシンは走り続けようとしていました。危なっかしくてとても集中できませんでした。チームは原因究明中ですが、前輪にどんなトラブルが生じたのかは不明です。どこかでゆがんでいたのでしょう。でもいまだに解明できていません。マッジョーラでのレースは最高でした。ファンは信じられないほど熱狂的で、ファンの前を通り過ぎるとき、彼らの声援は排気音よりも大きかったほどで、信じられません。コースレイアウトは時代遅れでしたが、懐かしくてほとんどのライダーが気に入っていました」

イブジェニー・バブリシェフ(MX1 15位/11位 総合12位) 「土曜の夜はとてもいい気分でした。その日の走行では、ハイペースを出せて自信を深めることができました。その気分は日曜の朝になって、ラインやセクションの下見をしたときも変わりませんでした。ところが、レースが始まると、一日中ずっと格闘することになってしまいました。レース1では何度も転倒を繰り返し、永遠にフロントを滑らせているように感じました。集団の後方から追い上げなければならなかったのですが、こういうコンディションではプッシュするのが大変でした。レース2では好スタートを切ることができました。トップ5辺りの争いをしているときにミスをして、ワダチで転倒し、それで終わりでした。それ以降はリズムとラインを見つけるのが難しかったです。後方でもがくのはばかばかしいことです。一つだけ言えることは、負傷した足が快方に向かっていることです。チームとスポンサーに感謝したいと思います。今大会はイタリアベースのチームにとっては地元グランプリでした。だからベストを尽くしましたがうまくいかなかったです。今大会をとても楽しみにしていただけに残念でなりません。とにかく、通常のトレーニングを再開したいです。負傷して以来一度しかやっていませんし、フランスGPのあとは痛みがひどかったです。今はただポジティブに前を向いていきたいです」

ダビド・フィリッパーツ(MX1 DNF/DNS、総合26位) 「災難でした。ただそれだけで、それ以上でも以下でもありません。自分自身、この地元グランプリをどれほど楽しみにしていたことでしょう。昨日のクラッシュでグリッドポジションは悪くなってしまいましたが、それでも決勝はチャレンジしなければなりませんでした。レース1では思ったように走ることができず、小さな転倒のあとはもう続けられませんでした。レース2に出走しないことで、心もプライドも傷つくことは確かでしたが、次のスウェーデンGPまでに回復することを考慮して、リスクを排除するのが得策だと判断しました」

決勝

MX1(レース1)

順位 No. ライダー マシン タイム
125C.デサールスズキ39:15.768-
29K.ド・ディッカーKTM39:23.445+07.677
321G.ポーリンカワサキ39:28.653+12.885
4222A.カイローリKTM39:34.606+18.838
589J.バン・ホービークカワサキ39:40.259+24.491
612マキシミリアン・ナグルHonda39:43.340+27.572
 
15777イブジェニー・バブリシェフHonda40:55.977+1:40.209
20167サントゥ・ティアイネンHonda40:07.689+1Lap
2519ダビド・フィリッパーツHonda16:45.123+13Laps

MX1(レース2)

順位 No. ライダー マシン タイム
121G.ポーリンカワサキ40:06.399-
2222A.カイローリKTM40:16.736+10.337
39K.ド・ディッカーKTM40:36.729+30.330
489J.バン・ホービークカワサキ40:44.600+38.201
5100T.サールカワサキ40:48.305+41.906
612マキシミリアン・ナグルHonda41:00.664+54.265
 
11777イブジェニー・バブリシェフHonda41:41.910+1:35.511
20167サントゥ・ティアイネンHonda41:17.903+1Lap

MX2(レース1)

順位 No. ライダー マシン タイム
184J.ハーリングスKTM39:45.247-
217J.ブトロンKTM39:52.197+06.950
345J.ニコルズKTM39:56.030+10.783
4911J.ティクシーKTM40:00.136+14.889
523C.シャルリエヤマハ40:02.694+17.447
6300A.ルピーノカワサキ40:15.647+30.400
 
17136ステファン・オルセンHonda40:56.666+1:11.419
19151ハリ・クラッスHonda41:00.745+1:15.498
2259アレクサンダー・トンコフHonda38:03.844+1Lap
23195ロバーツ・ジュストHonda39:50.399+1Lap

MX2(レース2)

順位 No. ライダー マシン タイム
184J.ハーリングスKTM39:21.192-
2300A.ルピーノカワサキ39:25.603+04.411
359アレクサンダー・トンコフHonda39:26.783+05.591
4911J.ティクシーKTM39:27.027+05.835
517J.ブトロンKTM39:32.895+11.703
623C.シャルリエヤマハ39:35.578+14.386
 
15136ステファン・オルセンHonda40:32.032+1:10.840
17151ハリ・クラッスHonda40:36.519+1:15.327
21195ロバーツ・ジュストHonda41:06.404+1:45.212

ポイントスタンディング

ライダー(MX1)

順位 ライダー マシン ポイント
1A.カイローリKTM417
2G.ポーリンカワサキ366
3C.デサールスズキ334
4K.ド・ディッカーKTM319
5K.ストリボススズキ271
6T.サールカワサキ266
 
7マキシミリアン・ナグルHonda220
10ダビド・フィリッパーツHonda145
12イブジェニー・バブリシェフHonda143
16タネル・レオクHonda108
20アウグスツ・ジュストHonda43
22ジェイソン・ドウガンHonda19
25ニコラ・オービンHonda12
27アダム・チャットフィールドHonda12
29サントゥ・ティアイネンHonda12
30ラウリ・レトラHonda12
31ニコライ・ラーセンHonda10
37セイドリック・ソーベイラスHonda6
38イェンス・ゲッテマンHonda6
46ファビオ・フェラーリHonda1

マニュファクチャラー(MX1)

順位 マニュファクチャラー ポイント
1KTM426
2カワサキ368
3スズキ360
4Honda282
5ヤマハ151
6TM130

ライダー(MX2)

順位 ライダー マシン ポイント
1J.ハーリングスKTM447
2J.ティクシーKTM323
3J.ブトロンKTM285
4C.シャルリエヤマハ261
5G.コルデンホフKTM260
6D.フェリスヤマハ225
 
13アレクサンダー・トンコフHonda132
16ハリ・クラッスHonda92
18ステファン・オルセンHonda78
31パウロ・アルベルトHonda8
32タレス・ヴィラルディHonda8
37ロバーツ・ジュストHonda5
38フセヴォロド・ブリリャコフHonda5

マニュファクチャラー(MX2)

順位 マニュファクチャラー ポイント
1KTM450
2ヤマハ310
3カワサキ268
4スズキ225
5Honda187
6TM37
7ハスクバーナ1