2012年9月2日(日)・決勝 会場:リーロップ 天候:晴れのち曇り 気温:21℃ 観客:2万人
2012年FIMモトクロス世界選手権全16戦シリーズの第14戦ベネルクスGPの舞台は、硬いサンドコースとして恐れられているリーロップです。オランダ・アイントホーフェンの東に位置する小さな町を訪れた2万人のファンが見守る前で、アントニオ・カイローリ(KTM)がMX1クラスでダブルウイン。イブジェニー・バブリシェフ(Honda World Motocross Team)は自身の今季ベストリザルトと並ぶ総合4位に入賞し、CRF450Rを駆るライダーの最上位となりました。
リーロップは図面に描くと比較的単純なレイアウトですが、ライダーとマシンを陥れる難所があるコースとして知られています。微粒子の砂が広範囲のバンクや穴、波状の盛り土に広がり、35分+2周で行われる2レースを進める中で、形を変えてはライダーを苦します。不安定なラップタイムやスタミナの消耗は、ここでは決して珍しいことではありません。リーロップにおけるグランプリは、世界選手権の中で最も過酷でありながら、多くのファンを魅了してやみません。
バブリシェフは、サンドコースに最適化したサスペンションセッティングを見つけられず、もがき苦しみました。レース1で軽い転倒を喫しましたがトップ10内にとどまり、最終ラップでショーン・シンプソン(ヤマハ)をかわして7位に入りました。
バブリシェフはレース2でも終盤に強みを発揮しました。タネル・レオク(スズキ)とシンプソンによるバトルに加わり、レース1同様にシンプソンを抜いて4位でフィニッシュ。この結果は、2週間前のイギリスGPで記録した自身の今季ベストリザルトに並びます。シリーズも終盤になりましたが、バブリシェフは、ここにきてコンディションが上向きになっています。
チームメートのルイ・ゴンカルベスは、サンドコースのスペシャリストです。昨年は、リーロップによく似たコースである、ベルギー・ロンメルで3位入賞を果たしています。しかし、今大会は不運にさいなまれました。予選で発生したマシントラブルの影響で、日曜日の決勝グリッドが不利になってしまったのです。
ゴンカルベスはレース1ですばらしいスタートを見せましたが、新しいエンジンを使用したことが影響して不調が発生し、14位となりました。レース2では1周目にマックス・ナグル(KTM)が目の前で転倒。それに巻き込まれてしまい、8位。総合成績は10位でした。
LS Motors Hondaのジョナサン・バラガンは、マーク・ドルーバー(カワサキ)と接触した際に足首を負傷したため、レース1の途中でリタイアしました。応急処置のあとに出走可能と判断し、レース2では10位完走を果たしています。
MX2クラスでは、Honda Gariboldi-Esta所属のマックス・アンスティがCRF250Rを駆り、総合3位に入りました。アンスティにとっては今季初、Honda勢にとっては2009年以来のトロフィーとなりました。アンスティのサンド走行テクニックはよく知られており、最も難しいコースの一つと言われるリーロップでも、彼のスムーズなライディングスタイルが武器になることを示しました。
特にレース2で見せた猛追撃は圧巻で、2位でフィニッシュしたジェレミー・バン・ホービーク(KTM)に迫る勢いでした。今大会で獲得した40ポイントによって、アンスティはランキング7位を固め、8位のディラン・フェランディス(カワサキ)に対して42ポイントのリードをつけています。
MX1クラスはゴンカルベスがランキング9位、バブリシェフが11位、バラガンが13位。今シーズンは残り2戦です。FIMモトクロス世界選手権第15戦ヨーロッパGPは、次週イタリアのハードパックで有名なファエンツァで開催されます。
イブジェニー・バブリシェフ(MX1 7位/4位 総合4位)「率直に言うと、今大会はマシンの感触がベストではありませんでした。もがいている感じがあり、土曜日よりはセッティングを詰めることができたのですが、完ぺきにマッチするまでには至りませんでした。自分なりにリズムをつかんで、ミスが少なくなるように心がけ、レース1では7位、レース2では4位に入ることができました。ですが、とても疲れてしまったので、(ショーン)シンプソンを抜くのには余力が必要だったと思います。とにかく、今回はサンドコースで開催されるモトクロス・オブ・ネイションズ用のテストもできましたし、ケガもなく終えることができてよかったです。コンディションを100%にしようともがきながら、成績が芳しくないシーズンが続いています」
ルイ・ゴンカルベス(MX1 14位/8位 総合10位)「自分もチームもベストを尽くしましたが、今回は不運の割合がいつもよりも大きかったようです。レース2ではスタートで3番手につけることができたのですが、目の前でマックス・ナグルが転倒したので避けきれませんでした。再スタートしたときははるか後方でしたが、少しでもばん回しようとがんばりました。上位に追いつくのは大変だと分かっていましたが、なんとか追い続けて8位になれました。最終ラップではもう少しでクレメント・デサール(スズキ)を抜けそうでした。今回のグランプリはもっとすんなりといってくれたらよかったのですが、レース2には満足しています。とにかく、今大会の準備に精一杯の努力をしてくれた人たちと、家族やファンの皆さまに感謝したいです。残り2戦はベストリザルトを残せるようにがんばりたいです」
ジョナサン・バラガン(MX1 リタイア/10位 総合15位)「とても難しいコースで辛い週末でした。レース1ではマーク・ドルーバーと接触した際に、足首を痛めてしまいました。乗り続けることができないほどの痛みでしたが、治療を受けてからはレース2に出走したい気持ちになりました。結果として走れたので、その点ではよかったと思います」
マックス・アンスティ(MX2 3位/3位 総合3位)「今日の自分の走りやレース運びにとても満足しています。走り続ける強さがあることを皆さんに証明できました。レース2では大勢のライダーを抜きました。まるで貨物列車のような勢いでした。ジェフリー・ハーリングス(KTM)と同じように、自分もサンドコースで育ったので、このようなコースの攻略法やリズムのつかみ方を知っています。リーロップは体力的にとても厳しいコースですし、勢いを維持しつつミスを最小限に食い止めることは、誰にでもできることではありません。だから、今日は自分でもよくやったと思います。チームスタッフに心からの感謝をしたいです。彼らがマシンのポテンシャルを最大限に引き出すために精一杯の努力をしてくれたので、私のマシンは世界で最も過酷と言われるコースで完走できました。残る2戦でも同じようなリザルトを獲得できたらうれしいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 40:53.149 | - |
2 | 12 | M.ナグル | KTM | 41:01.705 | +08.556 |
3 | 9 | K.ド・ディッカー | KTM | 41:27.720 | +34.571 |
4 | 4 | T.レオク | スズキ | 41:37.291 | +44.142 |
5 | 21 | G.ポーリン | カワサキ | 41:39.207 | +46.058 |
6 | 25 | C.デサール | スズキ | 41:40.511 | +47.362 |
7 | 777 | E.バブリシェフ | Honda | 42:16.016 | +1:22.867 |
14 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 41:12.400 | +1Lap |
15 | 32 | M.ポティセク | Honda | 42:10.791 | +1Lap |
16 | 262 | L.ロンカ | Honda | 42:44.386 | +1Lap |
17 | 95 | A.ジュスト | Honda | 43:00.098 | +1Lap |
18 | 37 | G.クレスティノフ | Honda | 43:01.750 | +1Lap |
27 | 7 | J.バラガン | Honda | 11:27.168 | +14Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 41:45.714 | - |
2 | 9 | K.ド・ディッカー | KTM | 42:01.551 | +15.837 |
3 | 4 | T.レオク | スズキ | 42:09.531 | +23.817 |
4 | 777 | E.バブリシェフ | Honda | 42:19.447 | +33.733 |
5 | 24 | S.シンプソン | ヤマハ | 42:21.038 | +35.324 |
6 | 22 | K.ストリボス | KTM | 42:46.422 | +1:00.708 |
8 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 42:56.846 | +1:11.132 |
10 | 7 | J.バラガン | Honda | 43:51.867 | +2:06.153 |
14 | 32 | M.ポティセク | Honda | 42:39.675 | +1Lap |
15 | 37 | G.クレスティノフ | Honda | 42:40.480 | +1Lap |
21 | 262 | L.ロンカ | Honda | 42:31.406 | +2Laps |
23 | 95 | A.ジュスト | Honda | 9:34.962 | +15Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 84 | J.ハーリングス | KTM | 40:41.884 | - |
2 | 89 | J.バン・ホービーク | KTM | 42:49.023 | +2:07.139 |
3 | 6 | M.アンスティ | Honda | 40:43.606 | +1Lap |
4 | 100 | T.サール | カワサキ | 41:24.438 | +1Lap |
5 | 45 | J.ニコルズ | KTM | 41:28.566 | +1Lap |
6 | 7 | A.トヌス | ヤマハ | 41:52.942 | +1Lap |
10 | 66 | A.トンコフ | Honda | 42:35.655 | +1Lap |
18 | 63 | C.クレイン・クロモフ | Honda | 41:38.735 | +2Laps |
20 | 195 | R.ジュスト | Honda | 41:58.704 | +2Laps |
23 | 15 | H.ハーウッド | Honda | 41:19.995 | +3Laps |
24 | 511 | K.シェーレ | Honda | 42:13.412 | +3Laps |
25 | 171 | R.サティンク | Honda | 36:42.395 | +4Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 84 | J.ハーリングス | KTM | 39:32.414 | - |
2 | 89 | J.バン・ホービーク | KTM | 41:36.758 | +2:04.344 |
3 | 6 | M.アンスティ | Honda | 41:39.588 | +2:07.174 |
4 | 100 | T.サール | カワサキ | 41:59.906 | +2:27.492 |
5 | 7 | A.トヌス | ヤマハ | 39:47.804 | +1Lap |
6 | 25 | G.コルデンホフ | KTM | 39:56.434 | +1Lap |
13 | 66 | A.トンコフ | Honda | 40:52.480 | +1Lap |
20 | 171 | R.サティンク | Honda | 38:56.386 | +2Laps |
22 | 195 | R.ジュスト | Honda | 39:41.921 | +2Laps |
27 | 15 | H.ハーウッド | Honda | 41:44.350 | +2Laps |
29 | 511 | K.シェーレ | Honda | 40:01.260 | +3Laps |
32 | 63 | C.クレイン・クロモフ | Honda | 13:53.382 | +13Laps |
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | A.カイローリ | KTM | 592 |
2 | C.デサール | スズキ | 516 |
3 | G.ポーリン | カワサキ | 468 |
4 | C.ポールセル | カワサキ | 452 |
5 | K.ド・ディッカー | KTM | 446 |
6 | K.ストリボス | KTM | 369 |
9 | R.ゴンカルベス | Honda | 315 |
11 | E.バブリシェフ | Honda | 267 |
13 | J.バラガン | Honda | 212 |
18 | C.ソーベイラス | Honda | 67 |
23 | M.ポティセク | Honda | 52 |
26 | A.ジュスト | Honda | 34 |
29 | G.クレスティノフ | Honda | 31 |
30 | N.オービン | Honda | 24 |
34 | D.パーシン | Honda | 11 |
46 | L.ロンカ | Honda | 5 |
51 | W.ガルシア | Honda | 4 |
52 | M.ファルファン | Honda | 3 |
56 | D.ガルシア | Honda | 2 |
58 | A.ガリード | Honda | 2 |
61 | P.ベルトゥッツォ | Honda | 1 |
64 | R.ショーベリ | Honda | 1 |
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 642 |
2 | カワサキ | 571 |
3 | スズキ | 539 |
4 | Honda | 413 |
5 | ヤマハ | 393 |
6 | TM | 58 |
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J.ハーリングス | KTM | 622 |
2 | T.サール | カワサキ | 557 |
3 | J.バン・ホービーク | KTM | 519 |
4 | J.ニコルズ | KTM | 387 |
5 | J.ローランツ | カワサキ | 367 |
6 | J.ティクシー | KTM | 367 |
7 | M.アンスティ | Honda | 314 |
20 | A.トンコフ | Honda | 124 |
36 | R.ジュスト | Honda | 11 |
39 | J.クレアモント | Honda | 9 |
45 | R.サティンク | Honda | 5 |
49 | C.クレイン・クロモフ | Honda | 3 |
50 | T.ヴィラルディ | Honda | 3 |
52 | E.アームストロング | Honda | 3 |
56 | A.マンキューゾ | Honda | 2 |
58 | L.トゥームス | Honda | 1 |
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 665 |
2 | カワサキ | 627 |
3 | ヤマハ | 415 |
4 | Honda | 338 |
5 | スズキ | 270 |
6 | ハスクバーナ | 248 |
7 | TM | 21 |