ドイツのガイドルフにある硬い土壌で難易度の高いコースが、2011年モトクロス世界選手権シリーズの最後から2番目の戦いの舞台となりました。曇り空のもと2万2000人の大観衆が見守る中、アントニオ・カイローリ(KTM)が今季6回目の総合優勝を飾り、3度目のMX1タイトル獲得を決めました。Honda World Motocross Teamは、ケガからの復帰戦となったロシア人ライダーのイブジェニー・バブリシェフが、第7戦ドイツでの初優勝に迫る活躍を見せ、今季6度目の表彰台獲得となる総合2位となりました。
シュトゥットガルトの北東に位置し、2005年以来の開催となるガイルドルフのコースには大きな変更が加えられました。数多くのシャープなターンやバンクのないコーナーが選手たちを待ち受け、ワダチの多いコンパクトなコースは、スリッピーで追い抜きの難しいものとなっていました。
先のベルギー選手権で首に負傷を負ったバブリシェフは、2週間にわたるメディカルチェックを経て、たった1回のGPの欠場だけでパドックへの復帰を果たしました。予防措置として首にギブスをしたバブリシェフは、すぐにペースをつかんで予選3番手を獲得。レース1ではすばらしいスタートを切って、CRF450Rを優勝へと導きました。終盤にザビエ・ブーグ(カワサキ)のプレッシャーを受けたものの、今季3度目、7月のドイツGP以来のヒート優勝となりました。
レース2では、トップを行くクリストフ・ポールセル(カワサキ)の後方で、チャンピオンに輝いたカイローリと2位をかけて戦いましたが、残り10分でコースオフを喫して、グリーンのフェンスをリアホイールにからめてしまい大幅にペースダウン。リアブレーキを失い、疲れきったバブリシェフは、マシンを8位に導くのがやっとの状態でした。
チームメートのルイ・ゴンカルベスは、ここ数週間のレースで限界まで攻めた際のスタミナ切れに苦しんできましたが、2度のトップ6フィニッシュで総合4位につけました。ポルトガル人のゴンカルベスは、このようなコースで重要となる好スタートを連発。レース1では、ラジエーターシュラウドを折ってしまい、左コーナーで問題が発生。レース2では小さな電気系のトラブルで3度にわたりストールしてしまいましたが、そんな逆境にもかかわらず6位/4位という結果を得ました。
LS Honda Racingのショーン・シンプソンは、チームメートでベルギー出身のケン・ド・ディッカーが首のケガで欠場しているため、今回も孤軍奮闘。スコットランド人のシンプソンは、土曜の予選ヒートでホールショットを奪うと、好走を見せて4番手を獲得。体力的にタフな戦いとなったレース1では11位でフィニッシュし、レース2ではシーズンベストに次ぐ7位でフィニッシュしました。
残る最終戦で得られるポイントは最大50。現在ランキング5位のバブリシェフは、4位のマックス・ナグル(KTM)と14ポイント差。6位には21ポイント差でゴンカルベスが続いています。ド・ディッカーは欠場中ながらランキング10位をキープ、チームメートのシンプソンは14位につけています。
シーズン最終戦となる第15戦イタリアGPは、次週、険しい丘の中腹に造られたフェルモ・サーキットで開催されます。
イブジェニー・バブリシェフ(優勝/8位 総合2位)「イギリスGPの前の金曜日に診断を受けたところ、6週間はマシンに乗れないと言われました。私はこれでシーズンが終わってしまうことを受け入れられず、ベルギーでセカンドオピニオンを受けました。医師は、骨はOKでレースができると言いました。どんなにジャンプしても大丈夫か確認したところ『問題ない』とのことでした。今週末は、いくつかの予防措置を取りましたが、うまくいったようです。難しいレースでしたが、レース1では持てるすべてを出せました。レース2では力が足りずいくつかミスしてしまい、コースオフした際にフェンスにヒットし、それ以降、リアブレーキが効かなくなってしまいました。その後エネルギーを失ってしまい、できうるかぎりのポジションでレースを終えるしかありませんでした。多くのライダーが負傷するシーズンとなっていますが、私は幸運にもここにいます。今できうるベストの方法でチャンピオンシップを終えたいです」
ルイ・ゴンカルベス(6位/4位 総合4位)「おかしな日だったし、我々が抱えていたちょっとした問題で少しフラストレーションが溜まってしまいました。レース2では、マシンをストールさせてしまうまでボアシエール(ヤマハ)を捉えていました。そこで3つもポジションを落としてしまったので、再始動させなければなりませんでした。そこから追い上げたのですが、同じことがさらに2度3度と起きました。レース1ではラジエーターシュラウドをワダチで引っかけて右後に曲げてしまい、コーナーでターンしにくくなってしまいました。ともあれ、2週間前のイギリスGPよりはよいレースでしたし、今は、一日一日をこなして私にできうる最良の形でシーズンを終えるまでです」
ショーン・シンプソン(11位/7位 総合10位)「まずまずの週末でした。よかったことの1つは、土曜日に本当にいいスピードを見せられたことです。いいスタートを切ることができれば、上位での戦いを見せることができるでしょう。これはMX1クラスのキーポイントです。それ実現することは可能だと思いますが、現時点ではそれに足るスピードもパワーも持ち得ていません。今日は、2レースともいいスタートを切ることにトライしましたが、1度目はホイールスピンしすぎてしまいました。ライディングはひどくタイトになってしまいました。レオク(TM)が長い間後ろにいたのでイライラしてしまい、腕上がりを起こしてしまいました。レース2ではよりよいスタートを切り、4番手か5番手につけていたと思います。その後順位を落としてしまいましたが、7位という結果には満足しています。今日は本当に暑くて湿気が多かったです。来週末のラスト1戦に向けて、今季のベストレースにできるようトライしたいです」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 777 | E.バブリシェフ | Honda | 40:06.778 | - |
2 | 121 | X.ブーグ | カワサキ | 40:07.132 | +00.354 |
3 | 222 | A.カイローリ | KTM | 40:15.949 | +09.171 |
4 | 2 | M.ナグル | KTM | 40:18.963 | +12.185 |
5 | 22 | K.ストリボス | スズキ | 40:23.296 | +16.518 |
6 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 40:40.587 | +33.809 |
11 | 24 | S.シンプソン | Honda | 41:11.562 | +1:04.784 |
14 | 13 | M.モッニ | Honda | 41:52.987 | +1:46.209 |
17 | 213 | A.ピロネン | Honda | 40:20.481 | +1Lap |
19 | 49 | G.シュミディンガー | Honda | 40:22.599 | +1Lap |
24 | 73 | D.パーシン | Honda | 41:54.494 | +1Lap |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 377 | C.ポールセル | カワサキ | 39:34.517 | - |
2 | 222 | A.カイローリ | KTM | 40:18.046 | +43.529 |
3 | 10 | A.ボアシエール | ヤマハ | 40:20.841 | +46.324 |
4 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 40:26.643 | +52.126 |
5 | 22 | K.ストリボス | スズキ | 40:30.387 | +55.870 |
6 | 121 | X.ブーグ | カワサキ | 40:31.712 | +57.195 |
7 | 24 | S.シンプソン | Honda | 40:40.437 | +1:05.920 |
8 | 777 | E.バブリシェフ | Honda | 40:44.048 | +1:09.531 |
13 | 13 | M.モッニ | Honda | 39:55.406 | +1Lap |
17 | 49 | G.シュミディンガー | Honda | 40:29.574 | +1Lap |
26 | 73 | D.パーシン | Honda | 41:02.085 | +2Laps |
30 | 213 | A.ピロネン | Honda | 16:14.986 | +14Laps |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクセン | KTM | 40:44.246 | - |
2 | 100 | T.サール | カワサキ | 40:52.652 | +08.406 |
3 | 7 | A.トヌス | ヤマハ | 40:57.295 | +13.049 |
4 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 41:08.062 | +23.816 |
5 | 84 | J.ハーリングス | KTM | 41:27.164 | +42.918 |
6 | 131 | N.オービン | KTM | 41:44.618 | +1:00.372 |
16 | 128 | I.モンティチェッリ | Honda | 41:34.409 | +1Lap |
21 | 195 | R.ジャスト | Honda | 42:15.684 | +1Lap |
26 | 611 | M.コチ | Honda | 42:27.216 | +2Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 100 | T.サール | カワサキ | 39:50.968 | - |
2 | 84 | J.ハーリングス | KTM | 39:57.577 | +06.609 |
3 | 94 | K.ロクセン | KTM | 40:02.805 | +11.837 |
4 | 7 | A.トヌス | ヤマハ | 40:05.583 | +14.615 |
5 | 99 | M.アンスティ | カワサキ | 40:12.679 | +21.711 |
6 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 40:33.342 | +42.374 |
18 | 128 | I.モンティチェッリ | Honda | 41:13.991 | +1Lap |
23 | 611 | M.コチ | Honda | 40:20.873 | +2Laps |
25 | 195 | R.ジャスト | Honda | 20:09.527 | +12Laps |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | A.カイローリ | KTM | 596 |
2 | S.フロサール | ヤマハ | 472 |
3 | C.デサール | スズキ | 461 |
4 | M.ナグル | KTM | 439 |
5 | E.バブリシェフ | Honda | 425 |
6 | R.ゴンカルベス | Honda | 404 |
10 | K.ド・ディッカー | Honda | 268 |
14 | S.シンプソン | Honda | 210 |
23 | M.モッニ | Honda | 48 |
24 | G.シュミディンガー | Honda | 46 |
25 | B.アンダーソン | Honda | 38 |
27 | C.クレイグ | Honda | 21 |
29 | M.ヴァン・ダエル | Honda | 17 |
41 | R.カストロ・ミランダ | Honda | 5 |
42 | A.ピロネン | Honda | 4 |
50 | J.パウリーノ・ダ・シルバ | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 621 |
2 | ヤマハ | 548 |
3 | スズキ | 524 |
4 | Honda | 507 |
5 | カワサキ | 420 |
6 | TM | 259 |
7 | アプリリア | 9 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | K.ロクセン | KTM | 635 |
2 | J.ハーリングス | KTM | 585 |
3 | T.サール | カワサキ | 526 |
4 | G.ポーリン | ヤマハ | 458 |
5 | A.トヌス | ヤマハ | 391 |
6 | M.アンスティ | カワサキ | 369 |
22 | M.カロ | Honda | 71 |
27 | E.バンクスブロウン | Honda | 23 |
33 | T.ベーカー | Honda | 16 |
36 | I.モンティチェッリ | Honda | 15 |
37 | H.アサンサン・デ・フレイタスク | Honda | 14 |
39 | S.チャンピオン | Honda | 9 |
41 | J.ラモス | Honda | 8 |
42 | P.ラトセップ | Honda | 7 |
44 | R.ジャスト | Honda | 6 |
56 | L.トゥームス | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 686 |
2 | カワサキ | 575 |
3 | ヤマハ | 525 |
4 | スズキ | 162 |
5 | ハスクバーナ | 151 |
6 | Honda | 144 |
7 | TM | 7 |