すばらしいマタリー・ベイザン・サーキットで開催された、2011年FIMモトクロス世界選手権第13戦イギリスGPで、アントニオ・カイローリ(KTM)が今シーズン5勝目を挙げました。先頃モトクロス・オブ・ネイションズのイギリス代表に抜てきされた、PAR Hondaのブラッド・アンダーソンは、2万6500人の観衆が見守る前で、彼がイギリス選手権で勝ったCRF450Rを走らせ、今大会の総合5位に入賞しました。全15戦シリーズの第13戦となる今ラウンドは、薄曇りの空の下で開催されましたが、軟質でワダチの多いなだらかなコースは、多くのライダーから今季ベストとの評価を受けました。
イギリスGPに臨み人数が増えた故障者リストには、残念なことにLS Honda Racingのケン・ド・ディッカーとHonda World Motocross Teamのイブジェニー・バブリシェフが追加されました。2人とも最近首を負傷しており、ド・ディッカーはけい椎のC6番、バブリシェフは先週ベルギー選手権のクラッシュでC7番を痛めています。ロシア人のバブリシェフは、全治6週間の診断で今シーズンの残り全戦を欠場。一方、ド・ディッカーも残りの2戦を欠場する見込みです。また、MX2クラスのスウィアン・ザノーニ(Honda World Motocross Team)は、まだ手首の骨折が完治していません。
大観衆を元気づけたのは、アンダーソンのガッツある走り。9位/7位のフィニッシュによりHonda勢のベスト総合リザルトを得ました。イギリス人のアンダーソンにとって、レース日は決して楽ではありませんでした。特にレース2では、タネル・レオク(TM)とビリー・マッケンジー(カワサキ)が病院に搬送されるほどの大クラッシュがあり、15分の中断後のリスタートになりました。
Honda World Motocross Teamのルイ・ゴンカルベスは、総合9位でした。ポルトガル人のゴンカルベスは、レースが進むにつれて荒れてきたコースコンディションに苦しみました。レース1ではレオクとマキシミリアン・ナグル(KTM)を相手に接戦の4位争いを繰り広げましたが、レース2では力なく14位にとどまりました。
LS Honda Racingのショーン・シンプソンは、不運にさいなまれました。スコットランド人のシンプソンは総合14位でしたが、本来であればもっと上位になれたはずでした。特に中断されたレース2はアンラッキーでした。レース1ではトップ6で走行中に、コースアウトして緑色のフェンスを後輪に巻き込んでしまい、さらに転倒しそうになった際にはハンドルバーで頭を強打して、16位までポジションを下げてしまいました。レース2ではすばらしいホールショットを決め、残る周回を2位で走行し、トップ3でフィニッシュするかと思わせましたが、レッドフラッグで中断。再スタート後はホールショットを繰り返すことはできず、レース1で負傷した首の痛みによりスローダウンしました。
2011年FIMモトクロス世界選手権MX1ランキングは、バブリシェフ5位、ゴンカルベス6位、ド・ディッカー10位、シンプソン14位となっています。
最終戦の1戦前のラウンドとなるヨーロッパGPは、2週間後にドイツのガイルドルフで行われます。
ブラッド・アンダーソン(MX1 9位/7位、総合5位)「残念だったのは、スタートに失敗したことです。スタートに成功していたら、レース2では5位に入れていたはずです。ですが、最後まで攻め続けられ、目標としていた10位以内も達成できたので、今日のリザルトには満足しています。最初のうちはそれほどひどくなかったコースコンディションも、最後には荒れて難しくなりましたが、それはそれで自分のスタイルには合っていました。今はモトクロス・オブ・ネイションズへの出場をとても楽しみにしています」
ルイ・ゴンカルベス(MX1 6位/14位、総合9位)「とてもきつい一日で、コースの難しさにはずいぶん手を焼きました。なぜだかわかりませんが、レース2の10分過ぎからスタミナが切れて、ただ完走を目指す走りに変わってしまいました。とても難しかったので、転倒しないように走るのがやっとでした。体力を回復させて、今回の問題を解決したいです」
イブジェニー・バブリシェフ(MX1 DNS/DNS)「もしかしたら走れるかもしれないと思いましたが、CTスキャンの結果からドクターストップがかかりました。6週間休養し、様子を見ることになりました。数日後にはセカンドオピニオンも受ける予定です。すばらしいコースなのに走れないのは悔しいです。最高のシーズンだったのに、このような形で終えることになるのは残念でなりません」
ショーン・シンプソン(MX1 16位/10位、総合14位)「今シーズンの自分を象徴するようなレースでした。特にレース2のスタートは、ようやく何かをつかんだかと思うと、自分から離れていくような感じがしました。レース1は1コーナーで失敗したので大変でした。6〜7位まで上がれたらコースアウトして、8位あたりで復帰しました。その後、下りジャンプでギア抜けした時に頭をハンドルバーに強くぶつけてしまいました。どうやって助かったのかわかりませんが、人は口々にラッキーだったと言います。今は首が痛く、骨折はしていないようですが、レース2ではヘルメットの重みでさえつらかったです。トップグループの中に入れたら、そこに定着してスピードも出せると思い、スタートに成功すれば、自分のポテンシャルを発揮できると考えていました。ですが、出遅れて後方集団に入ってしまうと、いいラインを探すのにもがき苦しみました。自分が本来いるべきポジションに到達するために、何をどうしたらいいのかわかりません」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 377 | C.ポールセル | カワサキ | 40:35.710 | - |
2 | 183 | S.フロサール | ヤマハ | 40:37.908 | +02.198 |
3 | 222 | A.カイローリ | KTM | 40:45.202 | +09.492 |
4 | 6 | T.レオク | TM | 40:47.078 | +11.368 |
5 | 2 | M.ナグル | KTM | 41:03.933 | +28.223 |
6 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 41:21.223 | +45.513 |
9 | 54 | B.アンダーソン | Honda | 41:28.896 | +53.186 |
16 | 24 | S.シンプソン | Honda | 42:06.465 | +1:30.755 |
19 | 13 | M.モッニ | Honda | 42:24.102 | +1:48.392 |
21 | 49 | G.シュミディンガー | Honda | 42:26.502 | +1:50.792 |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 41:03.052 | - |
2 | 183 | S.フロサール | ヤマハ | 41:13.727 | +10.675 |
3 | 377 | C.ポールセル | カワサキ | 41:30.652 | +27.600 |
4 | 7 | J.バラガン | カワサキ | 41:38.076 | +35.024 |
5 | 2 | M.ナグル | KTM | 41:42.926 | +39.874 |
6 | 115 | C.ヒメネス・カンパーノ | ヤマハ | 41:45.578 | +42.526 |
7 | 54 | B.アンダーソン | Honda | 41:48.168 | +45.116 |
10 | 24 | S.シンプソン | Honda | 42:24.436 | +1:21.384 |
14 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 43:33.786 | +2:30.734 |
15 | 13 | M.モッニ | Honda | 41:15.553 | +1Lap |
17 | 49 | G.シュミディンガー | Honda | 41:22.562 | +1Lap |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクセン | KTM | 40:40.977 | - |
2 | 100 | T.サール | カワサキ | 40:51.180 | +10.203 |
3 | 34 | J.ローランツ | KTM | 40:53.876 | +12.899 |
4 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 41:09.985 | +29.008 |
5 | 37 | V.テイレット | スズキ | 41:23.657 | +42.680 |
6 | 89 | J.バン・ホービーク | KTM | 41:34.329 | +53.352 |
15 | 44 | E.バンクスブロウン | Honda | 42:32.937 | +1:51.960 |
24 | 128 | I.モンティチェッリ | Honda | 41:41.563 | +1Lap |
28 | 195 | R.ジャスト | Honda | 42:24.481 | +1Lap |
29 | 611 | M.コチ | Honda | 42:26.252 | +1Lap |
30 | 66 | L.トゥームス | Honda | 42:34.038 | +1Lap |
33 | 860 | J.コットレル | Honda | 23:06.671 | +9Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクセン | KTM | 41:03.904 | - |
2 | 100 | T.サール | カワサキ | 41:17.608 | +13.704 |
3 | 84 | J.ハーリングス | KTM | 41:21.830 | +17.926 |
4 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 41:45.892 | +41.988 |
5 | 7 | A.トヌス | ヤマハ | 41:56.936 | +53.032 |
6 | 45 | J.ニコルズ | KTM | 41:59.385 | +55.481 |
18 | 128 | I.モンティチェッリ | Honda | 42:01.296 | +1Lap |
20 | 66 | L.トゥームス | Honda | 42:07.738 | +1Lap |
26 | 611 | M.コチ | Honda | 34:30.518 | +5Laps |
30 | 195 | R.ジャスト | Honda | 20:56.604 | +11Laps |
DNS | 44 | E.バンクスブロウン | Honda | - | - |
DNS | 860 | J.コットレル | Honda | - | - |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | A.カイローリ | KTM | 554 |
2 | S.フロサール | ヤマハ | 472 |
3 | C.デサール | スズキ | 461 |
4 | M.ナグル | KTM | 410 |
5 | E.バブリシェフ | Honda | 387 |
6 | R.ゴンカルベス | Honda | 371 |
10 | K.ド・ディッカー | Honda | 268 |
14 | S.シンプソン | Honda | 186 |
23 | G.シュミディンガー | Honda | 40 |
24 | B.アンダーソン | Honda | 38 |
25 | M.モッニ | Honda | 33 |
27 | C.クレイグ | Honda | 21 |
40 | R.カストロ・ミランダ | Honda | 5 |
47 | J.パウリーノ・ダ・シルバ | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 579 |
2 | ヤマハ | 517 |
3 | スズキ | 492 |
4 | Honda | 464 |
5 | カワサキ | 373 |
6 | TM | 247 |
7 | アプリリア | 9 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | K.ロクセン | KTM | 590 |
2 | J.ハーリングス | KTM | 547 |
3 | T.サール | カワサキ | 479 |
4 | G.ポーリン | ヤマハ | 425 |
5 | A.トヌス | ヤマハ | 353 |
6 | M.アンスティ | カワサキ | 342 |
22 | M.カロ | Honda | 71 |
26 | E.バンクスブロウン | Honda | 23 |
31 | T.ベーカー | Honda | 16 |
34 | H.アサンサン・デ・フレイタスク | Honda | 14 |
38 | S.チャンピオン | Honda | 9 |
40 | J.ラモス | Honda | 8 |
43 | I.モンティチェッリ | Honda | 7 |
44 | R.ジャスト | Honda | 6 |
55 | L.トゥームス | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 639 |
2 | カワサキ | 528 |
3 | ヤマハ | 487 |
4 | スズキ | 159 |
5 | Honda | 136 |
6 | ハスクバーナ | 124 |
7 | TM | 7 |