全15戦で行われるFIMモトクロス世界選手権第3戦アメリカGPが、難コースとして知られるカリフォルニア州のグレン ヘレンに2万2000人を集めて開催された。ウイナーは今シーズン2度目の総合優勝を果たしたクレモン・デサール(スズキ)だったが、最も注目されたのはHonda World Motocross Teamのイブジェニー・バブリシェフが、ファクトリーマシンCRF450Rを駆り、自身初の表彰台となる総合3位に入賞したことだった。
長いグレン ヘレン・サーキットに新設されたセクションとコーナーの一部は、日曜日の朝の悪天候により様相を変えてしまった。レース1の間はウエットで泥沼のような場所もあったが、やがて強風とともに青空が現われると、コースは乾いてバンプだらけのテクニカルな路面に変った。
バブリシェフが6位/3位のトータル3位でゲットした初表彰台は、1980年のソビエトGP250ccクラスで勝ったウラジミール・キャビノフ以来となるロシア人ライダーによる快挙となった。23歳のバブリシェフはレース2でチームメートのルイ・ゴンカルベスと競り合ったが、1秒強のリードを保って先にチェッカーを受けた。ポルトガル人のゴンカルベスは腹痛によりレース1では12位にとどまったが、レース2では4位に入り総合7位を獲得した。
LS Honda Racingのショーン・シンプソンは、レース2の方が好結果だったもう一人のライダーだ。レース1のスタートで喫した転倒によって、スコットランド人のシンプソンはほぼ最後尾から16位までばん回しなければならなかったが、レース2では好スタートからハイペースな走りを披露。イギリス国内チャンピオンのシンプソンにとってMX1クラスにおけるベストリザルトとなる6位をマークし、総合成績では11位に入った。
チームメートのケン・ド・ディッカーは、カリフォルニアで不運に見舞われた。ベルギー人のド・ディッカーは、レース1で発生したフューエルポンプのトラブルによって、レース2ではゴール目前でガス欠となり、わずか1ポイントしか獲得できなかった。
CRF250RでMX2クラスに参戦中のスウィアン・ザノーニは、1週間前に練習中のクラッシュで親指を負傷したこともあり、次週に控えている地元ブラジルGPのために大事を取ることも考えたが、なんとか出走して28位/23位となった。
MX1クラスでは、ルイ・ゴンカルベスがHonda勢の中でトップのランキング6位につけ、トップ3に15ポイント差に迫っている。バブリシェフはランキング7位で、ゴンカルベスとは2ポイント差。ショーン・シンプソンは15位、ケン・ド・ディッカーは16位にランクされている。
第4戦ブラジルGPは次週、インダイアトゥーバで開催される。
イブジェニー・バブリシェフ(MX1 6位/3位 総合3位)「初表彰台の感動は経験者なら分かってくれるだろう。まるで夢みたいだったので、誰かに頬をつねってもらいたかったくらいだ。レース1ではコーナリングで苦労したので、休憩の間にじっくりとライディングを反省してみた結果、レース2ではとてもうまく走れた。これまでのレースでは上位につけても徐々にタレてしまうことが多かったけれど、今回はトップグループについていくことができた。3位だとは知らなかったので、ゴールして順位が分かった時はとてもうれしかった。ロシアで中継を見ていてくれるファンにとっては時差で午前4時頃になるので、多くの人がレース2まで起きていられなかったとしてもしょうがないよ。自分を支えてくれるとてもすばらしいチームスタッフに感謝したい」
ルイ・ゴンカルベス(MX1 12位/4位 総合7位)「レース1の時はものすごい腹痛に襲われて、ライディングどころかきちんと立つこともできなかった。とても緊張していたし、力がまるで入らなかった。レースとレースの間にメディカルセンターでもらった薬が効いたけれど、それでも吐き気は収まらなかった。レース2では気分も回復し、スタートから最後まで攻めることができた。来週のブラジルGPまでにもっと体調を整えたい」
ショーン・シンプソン(MX1 16位/6位 総合11位)「今朝のウオームアップでは順調だったし一番速かった。雨が降ったので全体的にペースが下がり、ラインチョイスが増えたことが功を奏したようだ。いい日になるだろうと思っていた。レース1のスタートではトップ10以内に入って逃げようと期待していたが、スティーブン・フロサール(ヤマハ)の後輪にぶつかって転倒してしまった。コースはワンラインになっていたので、そこから16位までばん回できたことはよろこぶべきだろう。レース2ではコースコンディションも回復したので、自分らしいリズムをつかむことができ、とても気分よく走れた。ミスもあったけれど、スティーブ・ラモン(スズキ)との距離を取り戻して、彼がヤマハヒルでミスをした時に抜いた。ラストの4〜5周は必死でスパートした。これは自分らしいパターンの1つで、それを披露することができたのがうれしい。みんながよろこんでくれたし、このレース2がなかったらブラジルまでの移動はとてもつらい長旅になっていたことだろう」
ケン・ド・ディッカー(MX1 29位/20位 総合22位)「2度もリタイアするなんて最低の日だ。どうすることもできなかったけれど、努力し続けなければならない。ポイントランキングではすでに大きく後れをとってしまったけれど、今後も好成績を目指してがんばるしかない。幸い、ライディングそのものは開幕1〜2戦よりもよかったし、背中の具合も回復してきている。あと少しの改善で表彰台に上がることもできると思う」
スウィアン・ザノーニ(MX2 28位/23位 総合26位)「今大会前に手を負傷してしまい、それが大変なことだとわかっていた。昨日のプラクティスはつらかったし、負傷を悪化させてもいいのかどうか考えた結果、レース1だけでもトライしてみようと思った。コンディションは難しかったけれど、アメリカGPを終えることができてうれしい。来週のブラジルGPは自分にとって大事なレースになる」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | C.デサール | スズキ | 41:30.376 | - |
2 | 222 | A.カイローリ | KTM | 41:33.284 | +02.908 |
3 | 2 | M.ナグル | KTM | 42:15.849 | +45.473 |
4 | 22 | K.ストリボス | スズキ | 42:21.600 | +51.224 |
5 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 42:27.979 | +57.603 |
6 | 777 | E.バブリシェフ | Honda | 42:33.478 | +1:03.102 |
8 | 144 | C.クレイグ | Honda | 42:51.791 | +1:21.415 |
12 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 43:27.212 | +1:56.836 |
16 | 24 | S.シンプソン | Honda | 43:32.418 | +2:02.042 |
19 | 13 | M.モッニ | Honda | 42:14.275 | +1Lap |
24 | 49 | G.シュミディンガー | Honda | 39:43.122 | +2Laps |
29 | 9 | K.ド・ディッカー | Honda | 27:31.089 | +5Laps |
33 | 40 | G.アポンテ | Honda | 22:28.495 | +8Laps |
34 | 531 | F.ガッリガリ | Honda | 17:53.838 | +10Laps |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | C.デサール | スズキ | 43:24.372 | - |
2 | 2 | M.ナグル | KTM | 43:25.933 | +01.561 |
3 | 777 | E.バブリシェフ | Honda | 43:35.887 | +11.515 |
4 | 999 | R.ゴンカルベス | Honda | 43:37.259 | +12.887 |
5 | 22 | K.ストリボス | スズキ | 43:44.480 | +20.108 |
6 | 24 | S.シンプソン | Honda | 43:54.493 | +30.121 |
13 | 144 | C.クレイグ | Honda | 44:50.007 | +1:25.635 |
20 | 9 | K.ド・ディッカー | Honda | 41:02.398 | +1Lap |
24 | 49 | G.シュミディンガー | Honda | 44:18.818 | +1Lap |
28 | 13 | M.モッニ | Honda | 30:50.604 | +5Laps |
30 | 531 | F.ガッリガリ | Honda | 7:10.128 | +13Laps |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクセン | KTM | 43:17.168 | - |
2 | 84 | J.ハーリングス | KTM | 43:30.494 | +13.326 |
3 | 99 | M.アンスティ | カワサキ | 44:05.550 | +48.382 |
4 | 151 | H.クラス | ヤマハ | 44:18.623 | +1:01.455 |
5 | 100 | T.サール | カワサキ | 44:24.852 | +1:07.684 |
6 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 44:27.953 | +1:10.785 |
10 | 585 | T.ベーカー | Honda | 45:44.976 | +2:27.808 |
22 | 550 | S.ミッチェル | Honda | 43:17.418 | +2Laps |
23 | 128 | I.モンティチェッリ | Honda | 43:26.660 | +2Laps |
28 | 777 | S.ザノーニ | Honda | 45:57.701 | +2Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクセン | KTM | 42:56.413 | - |
2 | 84 | J.ハーリングス | KTM | 43:33.152 | +36.739 |
3 | 100 | T.サール | カワサキ | 43:57.418 | +1:01.005 |
4 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 44:19.247 | +1:22.834 |
5 | 99 | M.アンスティ | カワサキ | 44:23.953 | +1:27.540 |
6 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 44:37.359 | +1:40.946 |
12 | 85 | S.チャンピオン | Honda | 43:15.795 | +1Lap |
16 | 585 | T.ベーカー | Honda | 43:59.796 | +1Lap |
23 | 777 | S.ザノーニ | Honda | 45:29.339 | +1Lap |
30 | 550 | S.ミッチェル | Honda | 19:21.330 | +9Laps |
31 | 128 | I.モンティチェッリ | Honda | 12:15.989 | +12Laps |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント | ||
---|---|---|---|---|---|
1 | C.デサール | スズキ | 128 | ||
2 | M.ナグル | KTM | 122 | ||
3 | A.カイローリ | KTM | 104 | ||
4 | S.フロサール | ヤマハ | 96 | ||
5 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 91 | ||
6 | R.ゴンカルベス | Honda | 89 | ||
7 | E.バブリシェフ | Honda | 87 | ||
15 | S.シンプソン | Honda | 38 | ||
16 | K.ド・ディッカー | Honda | 32 | ||
18 | C.クレイグ | Honda | 21 | ||
26 | G.シュミディンガー | Honda | 4 | ||
28 | M.モッニ | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 129 |
2 | スズキ | 128 |
3 | ヤマハ | 117 |
4 | Honda | 99 |
5 | カワサキ | 81 |
6 | TM | 48 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | K.ロクセン | KTM | 144 |
2 | J.ハーリングス | KTM | 130 |
3 | T.サール | カワサキ | 120 |
4 | Z.オズボーン | ヤマハ | 90 |
5 | M.アンスティ | カワサキ | 87 |
6 | A.トヌス | ヤマハ | 81 |
21 | T.ベーカー | Honda | 16 |
22 | M.カロ | Honda | 15 |
24 | S.チャンピオン | Honda | 9 |
29 | R.ジャスト | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 150 |
2 | カワサキ | 124 |
3 | ヤマハ | 110 |
4 | Honda | 37 |
5 | ハスクバーナ | 27 |
6 | スズキ | 6 |
7 | TM | 1 |