2010年FIMモトクロス世界選手権のラスト2戦となる第14戦ベネルクスGPが、オランダの荒れたサンドコース、リーロップで開催された。世界チャンピオンになったばかりのアントニオ・カイローリ(KTM)が5連勝を飾る一方で、LS Motors Hondaに所属しCRF450Rを駆るタネル・レオクが総合6位、ダビデ・ガルネリが総合8位に入った。
1万2000人の観客はオランダの穏やかな日差しを楽しんだが、トップライダーたちは前戦に続き不安定な路面と戦いながら、一周2分強のコースをハイスピードで駆けることとなった。
Honda勢最上位となったレオクは、35分プラス2周で競われるレースのヒート1を4位でフィニッシュ。エストニア出身のレオクはヒート2でも同等のポジションを獲得し、表彰台を狙ったが、ミスが招いた転倒により勢いを失い7位。総合6位にとどまった。しかし、両ヒート合計32点は、優勝した5月のカタルニアGPに次いで、9戦ぶりにマークした高得点だった。
チームメートのガルネリは、イタリア人が苦手とするサンドコースでも安定した走りを見せた。MX2での優勝経験があるとはいえ、MX1ルーキーにとって9位/8位という結果は、まずまずの成績だと言えよう。
リーロップのサンドコースに初めて挑戦したHonda Racing Martinのジミー・アルバートソンは、ヒート1の途中で喫した転倒によりヒザを負傷し、無念のリタイア。ヒート2の出走も取り止めた。
また、アメリカ人のアルバートソンとともに、オーストラリア人のディーン・フェリスが、Honda Racing Martinからワイルドカード枠で出場。ヒート1では、1コーナーで押し出された後、最後尾から29位までばん回し、2周遅れながら完走を果たした。ヒート2では転倒で他車とからんだ際にラジエーターホースを破損し、リタイアを強いられた。フェリスは次週イタリアGPにも、ゼッケン711をつけたHonda Racing Martinのマシンで出場する。
ブラジルGPでろっ骨を骨折したCAS Honda Teamのエフゲニー・ボブリシェフは、痛みをおして先週“マクシス”イギリス選手権に出場。あえて出場したのは、タイトル獲得の望みをつなぐためだったが、今回のベネルクスGPではろっ骨と肺に回復の時間を与えるため欠場した。ロシア出身のボブリシェフは、次週のGP最終戦には復帰してCRF450Rで走る意向だ。なお、チームメートだったガレス・スワニプールは、すでにCAS Honda Teamから離脱している。
世界選手権のMX1ランキングでは、トップ10内に3人のHondaライダーがつけている。レオクは現在6位だが、残り1戦でこれ以上のランクアップは不可能な位置だ。ボブリシェフは9位、そして3ポイント差でガルネリが10位に控えている。
2010年FIMモトクロス世界選手権の最終戦イタリアGPは、リニューアルされたフェルモで次週開催される。
タネル・レオク(4位/7位)「今日はとてもいい気分だけど、ヒート2で、ささいなミスから転倒したのが残念だ。ヒート1はそれほど悪くなかった。スタートもよかったし、いいリズムで走って4位に入れた。コースコンディションが荒れるのはいつものことだし、ここが簡単だったことは一度もない。ジャンプの飛び出しと着地が特にトリッキーで、こなすのが難しかった」
ダビデ・ガルネリ(9位/8位)「トップ10リザルトを2回獲得できたのは、サンドということを踏まえれば上出来だ。サンドは深く、重く、ものすごく荒れていた。ギャップは、ピッチが長いものに混ざって、角が尖ったものや深いワダチがあってとても難しかった。レース終盤は大きなミスをしないように、バイクに乗っているのがやっとという感じだった。うれしかったのはヒート2で、思ったほど疲れなかったことだ。ランキングでは、ルイ・ゴンサルベス(KTM)にはポイント差を詰められたけれど、彼はここが得意だから仕方がない。一方、ボブリシェフが射程内に入ってきた。次回は地元イタリアのフェルモなので、雨が降らずにスタートさえ決まれば、いいレースになるだろう」
ディーン・フェリス(29位/31位)「きついレースになることは予想していたけれど、こんな不運に見舞われるとは思っていなかった。ヒート1の1コーナーでだれかに押し出され、はるか後方から追い上げることになってしまった。ヒート2ではだれかのバイクと接触して、ラジエーターホースが破れてしまった。フェルモではもっといいレースができるはずだし、たった数日で次のチャンスが来るのはうれしい」
ジミー・アルバートソン(34位/欠場)「リーロップに入る前から熱があって、体調が優れなかった。練習も十分ではなかったし、これは大変なレースになるだろうと思っていた。ヒート1でヒザをひねってしまい、何か変な感じがした。リタイアはしたくなかったが、完走するのは不可能に思えた。今はヒザを検査して、どこも悪くないと確認することが先決だ」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | M.ナグル | KTM | 40:54.768 | - |
2 | 222 | A.カイローリ | KTM | 40:57.416 | +02.648 |
3 | 11 | S.ラモン | スズキ | 40:59.577 | +04.809 |
4 | 40 | T.レオク | Honda | 41:13.047 | +18.279 |
5 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 41:13.923 | +19.155 |
6 | 9 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 41:50.754 | +55.986 |
9 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 42:19.629 | +1:24.861 |
15 | 23 | B.フェルホーフェン | Honda | 41:37.136 | +1Lap |
22 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 42:46.021 | +1Lap |
29 | 711 | D.フェリス | Honda | 42:51.543 | +2Laps |
34 | 702 | J.アルバートソン | Honda | 12:37.691 | +13Laps |
35 | 95 | A.ジュスト | Honda | 12:40.061 | +13Laps |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 41:44.947 | - |
2 | 22 | R.ゴンサルベス | KTM | 42:14.449 | +29.502 |
3 | 11 | S.ラモン | スズキ | 42:24.763 | +39.816 |
4 | 2 | M.ナグル | KTM | 42:32.653 | +47.706 |
5 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 42:44.666 | +59.719 |
6 | 14 | M.ド・ルーバー | スズキ | 42:57.643 | +1:12.696 |
7 | 40 | T.レオク | Honda | 43:07.830 | +1:22.883 |
8 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 43:23.088 | +1:38.141 |
23 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 44:05.036 | +1Lap |
25 | 95 | A.ジュスト | Honda | 41:56.726 | +2Laps |
31 | 711 | D.フェリス | Honda | 14:56.297 | +12Laps |
32 | 23 | B.フェルホーフェン | Honda | 12:43.621 | +13Laps |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 39:38.851 | - |
2 | 34 | J.ローランツ | KTM | 39:55.231 | +16.380 |
3 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 40:26.482 | +47.631 |
4 | 11 | S.シンプソン | KTM | 40:43.848 | +1:04.997 |
5 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 40:50.605 | +1:11.754 |
6 | 23 | A.トヌス | スズキ | 41:01.231 | +1:22.380 |
17 | 35 | N.ラーセン | Honda | 40:19.960 | +1Lap |
21 | 74 | S.バンハーペン | Honda | 41:30.724 | +1Lap |
23 | 92 | A.バティッグ | Honda | 41:43.232 | +1Lap |
24 | 49 | E.ハイバイ | Honda | 37:54.419 | +2Laps |
30 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 24:26.769 | +8Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 40:17.580 | - |
2 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 40:29.754 | +12.174 |
3 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 40:30.309 | +12.729 |
4 | 34 | J.ローランツ | KTM | 41:06.087 | +48.507 |
5 | 151 | H.クラッス | ヤマハ | 42:15.325 | +1:57.745 |
6 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 42:29.186 | +2:11.606 |
12 | 35 | N.ラーセン | Honda | 41:16.645 | +1Lap |
17 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 41:38.327 | +1Lap |
21 | 92 | A.バティッグ | Honda | 41:04.073 | +2Laps |
27 | 74 | S.バンハーペン | Honda | 24:55.481 | +8Laps |
33 | 49 | E.ハイバイ | Honda | 4:56.512 | +16Laps |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | A.カイローリ | KTM | 625 |
2 | C.デサール | スズキ | 494 |
3 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 473 |
4 | M.ナグル | KTM | 463 |
5 | S.ラモン | スズキ | 448 |
6 | T.レオク | Honda | 346 |
9 | E.ボブリシェフ | Honda | 270 |
10 | D.ガルネリ | Honda | 267 |
14 | G.スワニプール | Honda | 182 |
17 | J.アルバートソン | Honda | 113 |
29 | B.タウンリー | Honda | 25 |
36 | J.パウリーニョ | Honda | 17 |
41 | R.ゼンニ | Honda | 13 |
45 | D.フェリス | Honda | 7 |
46 | W.ガルシア | Honda | 7 |
49 | B.フェルホーフェン | Honda | 6 |
59 | R.ヒューズ | Honda | 4 |
60 | M.ポティセク | Honda | 4 |
64 | D.パーシン | Honda | 2 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 657 |
2 | スズキ | 575 |
3 | ヤマハ | 527 |
4 | Honda | 460 |
5 | カワサキ | 376 |
6 | アプリリア | 239 |
7 | TM | 145 |
8 | CCM | 39 |
9 | ハスクバーナ | 4 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ムスキャン | KTM | 613 |
2 | K.ロクセン | スズキ | 524 |
3 | S.フロサール | カワサキ | 446 |
4 | J.ハーリングス | KTM | 391 |
5 | Z.オズボーン | ヤマハ | 368 |
6 | J.ローランツ | KTM | 366 |
18 | N.ラーセン | Honda | 93 |
37 | P.ペトロフ | Honda | 11 |
38 | S.ザノーニ | Honda | 10 |
49 | J.デコティス | Honda | 6 |
53 | F.ノレン | Honda | 4 |
57 | A.バティッグ | Honda | 3 |
58 | R.ニイェガード | Honda | 2 |
61 | A.ジュスト | Honda | 2 |
63 | D.ウルリッヒ | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 664 |
2 | スズキ | 563 |
3 | ヤマハ | 495 |
4 | カワサキ | 483 |
5 | Honda | 120 |
6 | TM | 34 |