サン・ジャン・ダンジェリーで開催された2010年FIM世界選手権モトクロス全15戦の第7戦フランスGPには、午前中の雷雨と午後の暑い日差しをものともしない3万人の観衆が集った。フランスGPのウイナーは、ダビド・フィリッパーツ(ヤマハ)。そして、CRF450Rを駆るライダーの中で最高位は、総合6位に入賞したLS Motors Hondaのダビデ・ガルネリだった。
フランスの西海岸、ラ・ロシェールにほど近いサン・ジャン・ダンジェリーには、土曜日から重苦しい湿気が立ち込めていたが、日曜日の朝の激しい雨で、荒れたコースは非常に深いワダチだらけになった。マディで滑りやすいコンディションの下で行われた、35分+2周によるMX1ヒート1終了後、天候が回復。コースが乾きだして、ノミで削ったようなコースは非常にテクニカルで難しいコンディションへと変わっていった。
フィリッパーツや、アントニオ・カイローリ(KTM)、クレメント・デサール(スズキ)といった表彰台登壇者の後方では、イタリア人のガルネリが今季ベストリザルトとなる総合6位をマークした。なお、このリザルトはMX1キャリアでもベスト、Hondaでの戦歴の中でもベストである。ゼッケン39のCRF450Rは、決勝レースの両ヒートを通じてトップグループ近くにつけ、時折りチームメートのタネル・レオクともランデブー走行を繰り広げた。ガルネリは各ヒートで5位/8位でフィニッシュし、総合6位に入賞した。
カタルニアGPのウイナーだったレオクは、大会前からへんとう腺炎を患っており、体調は100%ではなかった。意志の固いエストニア人のレオクは、好スタートを2回決めながらも、ヒート1はマイペースで6位、ヒート2では9位となり、総合成績は8位だった。
CAS Honda Teamのガレス・スワニプールは、トップ10に入った3人目のHondaライダーだった。南アフリカ出身のスワニプールは、アメリカGPで右足首をねんざしたが勇敢に参戦し、ヒート1のスタートでは最初のコーナーでトップ3に顔を出すなどの輝きを見せた。逆境にあっても負けないスワニプールは、両ヒートで完走を果たし、各々11位/13位でフィニッシュ。最終的に総合10位を得た。
チームメートのエフゲニー・ボブリシェフは、ギャップだらけのコースで自分のリズムをつかむことができず、ヒート1では13位にとどまった。好調に転じたヒート2ではトップ10入賞を目指していたが、マシントラブルによりリタイアした。
Honda Racing Martinのジミー・アルバートソンは先週、カリフォルニア州グレンヘレンで開催されたGPの後もアメリカにとどまり、背中の負傷についての血液検査を受けた。21歳のアルバートソンには、6月20日にトイチェンタルで開催されるドイツGP出場を決めるまでに、あと1週間の療養期間がある。
MX2クラスのアレッサンドロ・バティッグは今回、ノーポイントだった。
世界選手権MX1ランキングでは、レオクが8位につけて、9位のガルネリ、10位のボブリシェフ、15位のスワニプールをリードしている。2週間後にナチュラルなハイスピードコースとして名高いトイチェンタルで開催される第8戦ドイツGPをもって、2010年シリーズは後半戦に突入する。
ダビデ・ガルネリ(MX1 5位/8位)「自分自身のスピードはそれほどじゃなかったけれど、ポイントとリザルトの面ではOKだ。今日のワダチはサンドにできるワダチのように変化せず、長い上に硬いままだった。それほどうまく乗れていなかったし、ちょっとしたミスにつけ込まれては、だれかに抜かれる不運が何度かあった。グランプリでの総合6位入賞はとてもうれしいし、トップライダーと一緒に上位を走っている自分を思い出したら、もっと上にいきたくなる。実を言うと、ライン取りを間違えたせいでポジションを少し落としたので、ちょっと自分に腹を立てている。次回はもっと上位を狙いたい」
タネル・レオク(MX1 6位/9位)「今週はずっと体調を崩していて、木曜日からへんとう腺炎の薬を飲んでいる。だからGPの参戦準備は完ぺきではないし、大好きなコースだっただけに残念でならない。ヒート1のスタートはよかったけれど、3周目に飛び石でゴーグルのロールオフが壊れてしまい、それ以降は苦労した。ヒート2でもスタートで上位につけたけれど、だんだん疲れが出てきてしまった。やるだけのことはやった」
ガレス・スワニプール(MX1 11位/13位)「この1週間、スタート練習に集中してきたことがヒート1で実を結んだ。上り坂で何人かに抜かれたけれど、それでも8位を確保した。20分を過ぎるころから疲れが出てきたけれど、なんとか元気を取り戻すことができた。ヒート2では好スタートが決まらなかったし、ばん回に時間を費やしすぎてしまった。そしてスーベラスの直後でスタックするミスをしてしまった。13位あたりで戻ってきたのかな。振り返ってみると、あまりいい日ではなかったけれど、こういうコンディションの中で着実に走りきることはできた。先週ひどくひねった足はまだ少し痛むので、明日また病院に行くつもりだ」
エフゲニー・ボブリシェフ(MX1 13位/29位)「ヒート1のコースはワダチだらけで滑りやすかった。そんなコンディションの中、もがき苦しんだし、身体がぜんぜんほぐれないまま乗っていた。結果は13位だったけれど、自分があまりにも遅かったのでコメントすることはほとんどない。ヒート2ではコンディションが乾いて好転したので、ペースが上がったのはよかった。転倒で4台に抜かれたけれど、いいライン取りを見つけて4台を抜き返した。その後マシントラブルがあり、あるコーナーで3周ぐらいの間キックし続けた。監督のニールが来てマシンをチェックしたところ、飛び石でワイヤーの1本が切断されていることがわかった。それ以上はどうしようもなかった」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 39:59.341 | - |
2 | 11 | S.ラモン | スズキ | 40:01.890 | +02.549 |
3 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 40:05.892 | +06.551 |
4 | 25 | C.デサール | スズキ | 40:15.026 | +15.685 |
5 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 40:52.407 | +53.066 |
6 | 40 | T.レオク | Honda | 40:55.444 | +56.103 |
11 | 8 | G.スワニプール | Honda | 41:36.275 | +1:36.934 |
13 | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | 42:06.735 | +2:07.394 |
25 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 41:19.894 | +2Laps |
33 | 231 | M.ポティセク | Honda | 6:57.992 | +16Laps |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 39:31.903 | - |
2 | 25 | C.デサール | スズキ | 39:34.916 | +03.013 |
3 | 222 | A.カイローリ | KTM | 39:39.124 | +07.221 |
4 | 10 | A.ボアシエール | TM | 39:42.990 | +11.087 |
5 | 11 | S.ラモン | スズキ | 39:44.947 | +13.044 |
6 | 9 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 39:48.932 | +17.029 |
8 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 39:53.198 | +21.295 |
9 | 40 | T.レオク | Honda | 39:57.357 | +25.454 |
13 | 8 | G.スワニプール | Honda | 41:11.670 | +1:39.767 |
17 | 231 | M.ポティセク | Honda | 39:55.722 | +1Lap |
23 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 42:52.544 | +1Lap |
29 | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | 15:32.996 | +12Laps |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 41:30.100 | - |
2 | 111 | J.ハーリングス | KTM | 41:38.820 | +08.720 |
3 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 41:39.584 | +09.484 |
4 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 41:44.435 | +14.335 |
5 | 34 | J.ローランツ | KTM | 42:06.126 | +36.026 |
6 | 430 | C.シャルリエ | ヤマハ | 42:12.006 | +41.906 |
20 | 35 | N.ラーセン | Honda | 42:23.018 | +1Lap |
21 | 225 | C.ルフランソワ | Honda | 42:24.120 | +1Lap |
29 | 12 | L.ホーキンス | Honda | 42:31.921 | +2Laps |
30 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 42:38.447 | +2Laps |
36 | 95 | A.ジュスト | Honda | 5:57.722 | +16Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 41:06.189 | - |
2 | 11 | S.シンプソン | KTM | 41:08.605 | +02.416 |
3 | 34 | J.ローランツ | KTM | 41:09.418 | +03.229 |
4 | 21 | G.ポーリン | ヤマハ | 41:17.650 | +11.461 |
5 | 23 | A.トヌス | スズキ | 41:38.971 | +32.782 |
6 | 335 | D.バーブルッゲン | KTM | 41:46.411 | +40.222 |
19 | 35 | N.ラーセン | Honda | 41:20.277 | +1Lap |
22 | 225 | C.ルフランソワ | Honda | 42:00.384 | +1Lap |
25 | 92 | A.バティッグ | Honda | 43:04.776 | +1Lap |
27 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 41:57.890 | +2Laps |
29 | 12 | L.ホーキンス | Honda | 41:10.952 | +3Laps |
31 | 95 | A.ジュスト | Honda | 24:03.976 | +9Laps |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | A.カイローリ | KTM | 304 |
2 | C.デサール | スズキ | 236 |
3 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 229 |
4 | M.ナグル | KTM | 218 |
5 | S.ラモン | スズキ | 211 |
6 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 201 |
8 | T.レオク | Honda | 162 |
9 | D.ガルネリ | Honda | 140 |
10 | E.ボブリシェフ | Honda | 123 |
15 | G.スワニプール | Honda | 92 |
17 | J.アルバートソン | Honda | 59 |
24 | B.タウンリー | Honda | 25 |
37 | R.ヒューズ | Honda | 4 |
38 | M.ポティセク | Honda | 4 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 332 |
2 | スズキ | 286 |
3 | ヤマハ | 270 |
4 | Honda | 221 |
5 | カワサキ | 208 |
6 | TM | 107 |
7 | アプリリア | 106 |
8 | CCM | 11 |
9 | ハスクバーナ | 4 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ムスキャン | KTM | 318 |
2 | K.ロクセン | スズキ | 247 |
3 | S.フロサール | カワサキ | 230 |
4 | J.ハーリングス | KTM | 228 |
5 | S.シンプソン | KTM | 201 |
6 | Z.オズボーン | ヤマハ | 195 |
18 | N.ラーセン | Honda | 48 |
35 | J.デコティス | Honda | 6 |
40 | A.ジュスト | Honda | 2 |
43 | A.バティッグ | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 345 |
2 | スズキ | 264 |
3 | ヤマハ | 239 |
4 | カワサキ | 236 |
5 | Honda | 60 |
6 | TM | 10 |