FIMモトクロス世界選手権全15戦の第4戦ポルトガルGPが、アグエダで開催された。週末の天気は土・日で大きく異なり、公式練習と予選が行われた土曜日は終日雨となったが、決勝の日曜日には日差しで赤土がすっかり乾き、コースコンディションは荒れてギャップだらけになった。
MX1ではクレメント・デサール(スズキ)が今季初の総合優勝。アントニオ・カイローリ(KTM)とマックス・ナグル(KTM)を従え、表彰台に上がった。CRF450Rは、LS Motors Honda所属タネル・レオクと、CAS Honda Team所属エフゲニー・ボブリシェフの活躍によって、トップ10内に健在。レオクは総合6位、ボブリシェフは総合7位に入っている。
レオクは両ヒートともまずまずのスタートを切った。しかもヒート1では、ゲートが不調で倒れずに再スタートとなった際に、使用不可となったため別のゲートに移らなければならないハンディキャップを克服してのことだ。エストニア出身のレオクは、スタートでは10番手以下だったが、CRF450Rを駆り6番手までばん回した。35分+2周で行われる決勝のヒート2では、終盤にデビッド・フィリッパーツ(ヤマハ)、ボブリシェフの攻略になんとか成功し、レオクはヒート1と同じく6位入賞を果たした。
MX1ルーキーのボブリシェフはヒート1で9位と奮闘し、ヒート2では鋭い飛び出しでトップ5に入るスタートを見せた。その後もトップグループに食らいついて周回を重ねたボブリシェフは、黒いカラーリングのマシンを7位に導いた。
Honda Racing Martinのジミー・アルバートソンにとっては、波乱に満ちた週末だった。予選レース中にクラッシュした際、バイクが背中に直撃して負傷したアルバートソン。その影響でヒート1では万全の体調で臨めず、ドライに向かって荒れ方を増すコンディションに苦戦して、レースの半ばでリタイアした。ヒート2ではやや持ち直して17位で完走を遂げた。
LS Motors Hondaのダビデ・ガルネリは、ヒート2で10位を得たライディングが支えとなった。イタリアチャンピオンのガルネリは、ヒート1では転倒により15位に甘んじたが、総合成績では12位に入った。
ボブリシェフのチームメート、ガレス・スワニプールは、カゼの影響でつらい週末を送った。ヒート1では2コーナーで他車と接触して転倒。最後尾から20位までばん回し、1ポイントを獲得した。ヒート2ではリズムをつかむまでに数周かかったが、一度ペースに乗ると混戦の中を乗りきり、16位でフィニッシュ。南アフリカ出身のスワニプールは、総合18位で今大会を終えた。
世界選手権MX1ランキングはレオクが96点で8位。17ポイント差の9位にボブリシェフがつけている。
MX2クラスでは、ディフェンディングチャンピオンのマービン・ムスキャン(KTM)が優勝。2位にジェフリー・ハーリングス(KTM)、3位にはケン・ロクセン(スズキ)が入った。Honda Racing Martinのアレッサンドロ・バティッグは、総合26位でノーポイントに終わった。ヒート1のクラッシュも響いているようだ。
FIMモトクロス世界選手権全15戦の第5戦カタルニアGPは、次週スペインのベルピッグで開催される。
タネル・レオク(MX1 6位/6位) 「ヒート1ではスターティングマシンの故障により、再スタートに戻った時には、別のゲートを選ばなくてはならなかった。1周目はトップ10の後ろあたりだったけれど、7番手まで上がってからはもっと抜きたいと必死になった。ヒート2の方がコースコンディションが荒れて大変だったけれど、自分としては荒れた方が好きだ。1コーナーに続くステップアップで、フィリッパーツが横滑りした時はもう少しでぶつかるところだった。いいリズムをつかんでフィリッパーツに追いついたところで、抜くのに時間を費やした。マシンのポテンシャルも分かったし、ライバルライダーのパッシングポイントを見つけられたのがよかった」
エフゲニー・ボブリシェフ(MX1 9位/7位) 「また一歩前進した感じがするし、いい週末だった。とてもうれしい。ヒート1ではかなり後方から追い上げなければならず、ラインが1本しかなくて抜きにくかったので、9位でフィニッシュできたのは上出来だと思う。ヒート2はスタートがうまく決まって、一時、4番手に身を置くことができた。トップグループの速いスピードになるべく長くついていくことを目標にしている。大勢の人が日曜日は晴れると言っていたけれど、僕は夜通しトラックの屋根を打つ雨音を聞きながら『あーあ、これは絶対にマディレースになる』と考えていた。最終的にコンディションは荒れたけれど、ドライになったし、いい一日だった」
ダビデ・ガルネリ(MX1 15位/10位) 「ヒート1の1周目に転倒して、それからはすべてに苦労した。20位以内でポイントを取ることに集中し、抜きにくかったけれども15位までばん回した。ヒート1のコースはマディコンディションで、ほぼ全周にわたってワンラインだったけれど、ヒート2では少し回復した。ヒート2ではとてもいいスタートが切れたのに、2コーナーをうまくクリアできなかった。トップ6に食らいついていこうと試みたが、今日のコースは自分の好みじゃなかったようだ。スマートに乗れなかったけれど、ベストを尽くしたし、10位という結果には満足している」
ガレス・スワニプール(MX1 20位/16位) 「今週はずっとカゼに苦しんできた。土曜日はなんとか乗り越えたけれど、決勝ヒート1の2コーナーで、だれかとぶつかり転倒してしまった。それ以後は全くうまく乗れなかったし、ヒート2は順位も覚えていないくらいだ。コースコンディションは難しかったけれど、あの雨量を考えたら仕方がない」
ジミー・アルバートソン(MX1 30位/17位) 「荒れたひどい一日だった。思うように乗れず、なかなかコースをスムーズに走る流れをマスターできなかった。昨日の予選レースではひどいクラッシュをして、自分のバイクで背中を強打した。この影響でスタートのゲート順も悪く、結果が残せなかった。途中でリタイアすることは嫌だったけれど、リズムをつかめないまま続行するのは危険と判断した。ヒート2では1周目をクリアした時に、ピットサインで『27』と書かれており、そこから辛抱強く走るうちに、リズムを見つけることができた。17位でフィニッシュしたことは、今週末の出来事全部を考えると、10位くらいに値する感じだ。17位で満足してはいけないけれど、スペインでやり直すためのポジティブなステップと考えたい」
アレッサンドロ・バティッグ(MX2 31位/24位) 「2回ともスタートがよくなかったし、つらい大会だった。ヒート1は1周目にクラッシュして、再始動に長い時間を費やしてしまった。ヒート2はもう少しベターで、ライディングも悪くなかったと感じた。たぶん15位以内に入れたんじゃないかと思うけれど、スタートの失敗が響いてしまった。毎戦、上達している実感があるので、スペインではもっと期待したい。きっといい大会になるはずだ」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | M.ナグル | KTM | 40:37.687 | - |
2 | 25 | C.デサール | スズキ | 40:52.320 | +14.633 |
3 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 40:54.742 | +17.055 |
4 | 121 | X.ブーグ | カワサキ | 40:56.557 | +18.870 |
5 | 222 | A.カイローリ | KTM | 40:58.372 | +20.685 |
6 | 40 | T.レオク | Honda | 40:59.707 | +22.020 |
9 | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | 41:41.922 | +1:04.235 |
15 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 42:09.775 | +1:32.088 |
20 | 8 | G.スワニプール | Honda | 41:15.348 | +1Lap |
29 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 41:21.270 | +2Laps |
30 | 702 | J.アルバートソン | Honda | 22:48.841 | +10Laps |
32 | 27 | P.ケンペリス | Honda | 22:00.498 | +11Laps |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 39:57.508 | - |
2 | 25 | C.デサール | スズキ | 40:00.317 | +02.809 |
3 | 9 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 40:02.077 | +04.569 |
4 | 121 | X.ブーグ | カワサキ | 40:04.045 | +06.537 |
5 | 2 | M.ナグル | KTM | 40:06.796 | +09.288 |
6 | 40 | T.レオク | Honda | 40:10.334 | +12.826 |
7 | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | 40:21.402 | +23.894 |
10 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 40:50.086 | +52.578 |
16 | 8 | G.スワニプール | Honda | 41:24.335 | +1:26.827 |
17 | 702 | J.アルバートソン | Honda | 41:26.463 | +1:28.955 |
27 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 40:09.633 | +2Laps |
29 | 27 | P.ケンペリス | Honda | 41:30.776 | +2Laps |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 39:09.201 | - |
2 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 39:12.590 | +03.389 |
3 | 111 | J.ハーリングス | KTM | 39:13.198 | +03.997 |
4 | 11 | S.シンプソン | KTM | 40:11.719 | +1:02.518 |
5 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 40:27.003 | +1:17.802 |
6 | 430 | C.シャルリエ | ヤマハ | 40:30.133 | +1:20.932 |
12 | 35 | N.ラーセン | Honda | 39:12.724 | +1Lap |
24 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 40:09.428 | +1Lap |
25 | 95 | A.ジュスト | Honda | 40:46.022 | +1Lap |
31 | 92 | A.バティッグ | Honda | 39:44.428 | +3Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 40:09.015 | - |
2 | 111 | J.ハーリングス | KTM | 40:17.245 | +08.230 |
3 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 40:23.299 | +14.284 |
4 | 89 | J.バン・ホービーク | カワサキ | 40:29.047 | +20.032 |
5 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 40:41.643 | +32.628 |
6 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 40:59.182 | +50.167 |
17 | 35 | N.ラーセン | Honda | 40:13.518 | +1Lap |
24 | 92 | A.バティッグ | Honda | 41:12.260 | +1Lap |
28 | 95 | A.ジュスト | Honda | 41:45.305 | +1Lap |
29 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 42:02.496 | +1Lap |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | A.カイローリ | KTM | 179 |
2 | M.ナグル | KTM | 161 |
3 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 133 |
4 | S.ラモン | スズキ | 124 |
5 | C.デサール | スズキ | 123 |
6 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 114 |
8 | T.レオク | Honda | 96 |
9 | E.ボブリシェフ | Honda | 79 |
11 | D.ガルネリ | Honda | 73 |
13 | J.アルバートソン | Honda | 59 |
14 | G.スワニプール | Honda | 57 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 197 |
2 | スズキ | 169 |
3 | ヤマハ | 156 |
4 | カワサキ | 118 |
5 | Honda | 113 |
6 | アプリリア | 63 |
7 | TM | 37 |
8 | CCM | 11 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ムスキャン | KTM | 179 |
2 | K.ロクセン | スズキ | 167 |
3 | J.ハーリングス | KTM | 164 |
4 | S.フロサール | カワサキ | 133 |
5 | A.トヌス | スズキ | 116 |
6 | Z.オズボーン | ヤマハ | 114 |
16 | N.ラーセン | Honda | 34 |
34 | A.バティッグ | Honda | 1 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 200 |
2 | スズキ | 167 |
3 | カワサキ | 135 |
4 | ヤマハ | 123 |
5 | Honda | 40 |
6 | TM | 9 |