全15戦からなるモトクロス世界選手権第2戦がイタリアのロンバルディア州マントーバで行われた。MX1、MX2クラスに出場するライダーとチームにとっては、1週間前の開幕戦から2戦続きのグランプリ。荒れたサンド質のテクニカルコースとして知られるマントーバでの戦いは、世界一速いオフロードバイクレーサーを決める戦いでもある。最高峰のMX1クラスは、アントニオ・カイローリ(KTM)が優勝。MX2クラスではマービン・ムスキャン(KTM)が勝利を収めた。Honda勢の最上位は、ファクトリーライダーのジミー・アルバートソン(Honda Racing Martin)。Honda Racing MartinのCRF450Rを駆るアルバートソンは、世界選手権出場2戦目にして総合9位と健闘した。
陽光に恵まれた土曜日とは打って変わり、日曜日は風が強く不安定な空模様になった。ヨーロッパ選手権125クラス、ベテラン・ワールドカップなども併催されたことで、主役となるグランプリライダーたちが走行するころには、軟質土にワダチが深く刻まれたコンディションに変化していた。
後輪にダンロップのサンド用タイヤを選択したアルバートソンは、ヒート1で絶好のスタートを決め、35分プラス2周の前半をトップ5で折り返した。ラストスパートによって、ここまでのベストリザルトである6位に入賞。ヒート2でも同じタイヤをチョイスしたが、今度はうまく飛び出すことができず、中団で競り合った末に13位となった。
CAS Honda Teamのエフゲニー・ボブリシェフは、総合10位だった。ロシア出身のボブリシェフはヒート1、クラッシュから這い上がって14位。ヒート2では一転して目の覚めるようなスタートダッシュの後、トップ10の中ほどで粘り強いバトルを続けた。ラスト4周でコースアウトした際にはシフトレバーをクランクケース下に曲げてしまい、ギアチェンジ不能になったにもかかわらず、CAS Honda Teamに移籍後、MX1グランプリ2戦目にしてベストリザルトとなる9位でフィニッシュした。チームメートで南アフリカ出身のガレス・スワニプールはコースを把握することができず、予選レースで24位と低迷。総合15位(15位/14位)にとどまった。
LS Motors Hondaのダビデ・ガルネリは、スワニプールに次ぐ16位だった。最初のうちはトップ10に入るペースを発揮するなど順調に見えたガルネリだが、決勝2ヒートを走りきるスタミナが足りなかった。チームメートのタネル・レオクは、先週ブルガリアで負った脳震とうから完全に復調できておらず、思うようにレースができなかった。レオクは総合12位と納得のいかない結果に終わった。
MX2クラスのアレッサンドロ・バティッグ(Honda Racing Martin)は、ヒート1で20位となり、初ポイントを獲得。総合26位に入った。ティーンエイジャーのバティッグは、へんとう腺を患いながらも、デビュー2戦目となるグランプリを切り抜けた。
第3戦オランダGPは、4月25日にバルケンスワードで行われる。
ジミー・アルバートソン(MX1 6位/13位 総合9位)「とても荒れたコースだった。昨日のコースコンディションを見た限り、あれ以上ひどくなるとは思わなかったけれど、ヒート2のころにはひどく意地悪なコースになっていた。ヒート1ではリアに履いたパドルタイヤのおかげで、最高のスタートが切れた。もう少しでホールショットを取れるほどだった。トップ争いをした時はちょっとナーバスになったし、7位まで落ちた時はラップタイムもひどく乱れていたけれど、残り4周でペースを取り戻して、4秒ほど速いラップをキープできた。5位までばん回して、最後にはポールセル(カワサキ)とド・ディッカー(ヤマハ)を抜けそうだったけれど、いいレースだったし6位でも満足している。ヒート2でも同じリアタイヤを使ったんだけれど、これはミスチョイスだったようだ。路面はヒート1よりも乾いていたので、ホイールスピンをしてしまったから。20位あたりで出て、13位までばん回した。前には大勢いたけれど、どうしてもそれ以上は上がれなかった。総合的にはいい週末だったし、先週と比べると大きくステップアップできた。それは正に目指していたところで、ここからずっと上達を続けていきたい」
エフゲニー・ボブリシェフ(MX1 14位/9位 総合10位)「いい気分だ。疲れはまったく感じなかったし、両ヒートともうまくいった。ヒート1ではポールセルとクラッシュしてしまい、ひたすらばん回することに徹した。すべてうまく運んでいるように思えたし、ヒート2に対する手応えもつかんだ。ヒート2ではもっといいスタートがきれたし、初めてトップグループに混じって走れたので、彼らのライディングを観察することができた。このコースよりもブルガリアGPのセブリエボの方が簡単だったけれど、先週は20分を過ぎると身体が動かなかった。今回はラインを観察しながら、クレバーに走れたと思う」
タネル・レオク(MX1 9位/16位 総合12位)「難しいコースだけれど、気に入っている。スタート自体はそれほど悪くなかったけれど、1コーナーをワイドに回りすぎて抜かれてしまった。結果的に9位に入ったのは、何も特別なことではない。ヒート2では序盤に転倒し、最終ラップでもまた転んでしまった。正直なところ、ブルガリアGPでのクラッシュからまだ完全に回復していない状態だ。バルケンスワード までに2週間あるので、そこで本領発揮といきたい」
ガレス・スワニプール(MX1 15位/14位 総合15位)「とても難しいコース、厳しい週末だった。24番手からのスタートはとても困難で、レース中は終始リズムをつかめずにもがいていた。ヒート1は憂うつな15位に終わってしまった。ヒート2ではもう少しうまく飛び出せたのに、デサール(スズキ)からきついブロックパスを受けて、もう少しで転倒するところだった。なんとか持ち直してペースもつかんだけれど、数ポジション失ったことは確かだ。結果は14位だったけれど、走りに関してはヒート2の方が納得できる。我々はまだ目標に達していないし、これからも努力を続けるつもりだ」
ダビデ・ガルネリ(MX1 13位/17位 総合16位)「このコースは以前から好きじゃなかったけれど、最後にはそれほど悪くないと考えが変わった。スピードもあったし、プレ予選7位、予選10位と順調だった。決勝ヒート1ではひどく出遅れて、19位から13位までばん回。ヒート2ではバラガン(カワサキ)とラモン(スズキ)を相手に競り合ったけれど、体力的に辛かった。なんでゴール近くになるとスタミナがなくなってしまうのか、この問題についてはちょっと驚いているし、きちんと分析しなければいけないと思っている。10秒も遅くなるなんてありえない」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | C.デサール | スズキ | 40:13.247 | - |
2 | 222 | A.カイローリ | KTM | 40:17.965 | +0:04.718 |
3 | 2 | M.ナグル | KTM | 40:27.588 | +0:14.341 |
4 | 9 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 40:40.651 | +0:27.404 |
5 | 90 | S.ポールセル | カワサキ | 40:43.100 | +0:29.853 |
6 | 702 | J.アルバートソン | Honda | 40:46.370 | +0:33.123 |
9 | 40 | T.レオク | Honda | 40:56.305 | +0:43.058 |
13 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 41:36.998 | +1:23.751 |
14 | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | 41:37.347 | +1:24.100 |
15 | 8 | G.スワニプール | Honda | 42:00.259 | +1:47.012 |
25 | 23 | B.フェルホーフェン | Honda | 41:26.662 | +1Lap |
27 | 27 | P.ケンペリス | Honda | 41:08.458 | +2Laps |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 39:50.854 | - |
2 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 39:59.697 | +0:08.843 |
3 | 2 | M.ナグル | KTM | 40:08.481 | +0:17.627 |
4 | 25 | C.デサール | スズキ | 40:23.320 | +0:32.466 |
5 | 9 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 40:30.487 | +0:39.633 |
6 | 121 | X.ブーグ | カワサキ | 40:32.080 | +0:41.226 |
9 | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | 40:48.963 | +0:58.109 |
13 | 702 | J.アルバートソン | Honda | 40:54.077 | +1:03.223 |
14 | 8 | G.スワニプール | Honda | 41:00.908 | +1:10.054 |
16 | 40 | T.レオク | Honda | 41:07.827 | +1:16.973 |
17 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 41:11.905 | +1:21.051 |
24 | 23 | B.フェルホーフェン | Honda | 40:35.097 | +1Lap |
30 | 27 | P.ケンペリス | Honda | 40:04.823 | +2Laps |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 39:58.049 | - |
2 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 39:58.419 | +0:00.370 |
3 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 40:48.746 | +0:50.697 |
4 | 89 | J.バン・ホービーク | カワサキ | 40:52.530 | +0:54.481 |
5 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 40:54.976 | +0:56.927 |
6 | 111 | J.ハーリングス | KTM | 40:55.363 | +0:57.314 |
18 | 35 | N.ラーセン | Honda | 40:32.169 | +1Lap |
20 | 92 | A.バティッグ | Honda | 41:05.065 | +1Lap |
24 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 41:39.301 | +1Lap |
25 | 95 | A.ジュスト | Honda | 41:41.706 | +1Lap |
31 | 44 | E.バンクス・ブラウン | Honda | 30:14.358 | +8Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 39:35.506 | - |
2 | 111 | J.ハーリングス | KTM | 39:39.683 | +0:04.177 |
3 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 39:59.021 | +0:23.515 |
4 | 23 | A.トヌス | スズキ | 40:20.833 | +0:45.327 |
5 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 40:34.022 | +0:58.516 |
6 | 45 | J.ニコルス | KTM | 40:39.119 | +1:03.613 |
22 | 92 | A.バティッグ | Honda | 40:46.287 | +1Lap |
23 | 95 | A.ジュスト | Honda | 41:02.248 | +1Lap |
24 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 41:05.259 | +1Lap |
28 | 44 | E.バンクス・ブラウン | Honda | 24:06.398 | +9Laps |
29 | 35 | N.ラーセン | Honda | 24:54.879 | +9Laps |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | A.カイローリ | KTM | 88 |
2 | M.ナグル | KTM | 87 |
3 | C.デサール | スズキ | 79 |
4 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 65 |
5 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 60 |
6 | S.ラモン | スズキ | 59 |
11 | D.ガルネリ | Honda | 32 |
12 | G.スワニプール | Honda | 31 |
14 | T.レオク | Honda | 30 |
15 | J.アルバートソン | Honda | 29 |
16 | E.ボブリシェフ | Honda | 25 |
32 | B.フェルホーフェン | Honda | 0 |
36 | P.ケンペリス | Honda | 0 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 97 |
2 | スズキ | 83 |
3 | ヤマハ | 76 |
4 | カワサキ | 64 |
5 | Honda | 47 |
6 | アプリリア | 37 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ムスキャン | KTM | 100 |
2 | K.ロクセン | スズキ | 86 |
3 | J.ハーリングス | KTM | 72 |
4 | S.フロサール | カワサキ | 69 |
5 | A.トヌス | スズキ | 62 |
6 | Z.オズボーン | ヤマハ | 59 |
17 | N.ラーセン | Honda | 13 |
30 | A.バティッグ | Honda | 1 |
33 | A.ジュスト | Honda | 0 |
34 | P.ペトロフ | Honda | 0 |
39 | E.バンクス・ブラウン | Honda | 0 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 100 |
2 | スズキ | 86 |
3 | カワサキ | 69 |
4 | ヤマハ | 59 |
5 | Honda | 19 |
6 | TM | 0 |