ブルガリアのセブリエボで行われた、2010年モトクロス世界選手権開幕戦は、最高峰クラスのレースに参戦するHondaライダーにとって厳しいものとなった。今大会、Honda勢の最上位は、LS Motors Hondaのダビデ・ガルネリ。ガルネリはCRF450Rを駆り、MX1クラス総合10位に入った。
レースが行われた日曜日、セブリエボ・サーキットは暖かい春の日差しの下で、完ぺきなコンディションに整えられた。公式練習と予選の間には小雨が降り続いたため、通常であれば硬質になる粘土質の路面に水分が与えられ、コースはマシンとライダーを試すようなわだちだらけの状態になった。
今回がMX1デビュー戦となったガルネリは、百戦錬磨のライダーに混じって奮闘し、35分プラス2周の決勝レースで10位/12位でゴールした。ヒート1で優勝したマックス・ナグル(KTM)が、ヒート2ではアントニオ・カイローリ(KTM)に次ぐ2位に入賞し、総合優賞した。
ガルネリのチームメート、タネル・レオクは、開幕前のインターレースですさまじいスピードを披露していたが、この開幕戦では不運に見舞われた。最初の公式練習でファステストラップを記録したものの、レースではスタートに失敗。さらに、クラッシュで軽い脳震とうを負った通称「エストニアン・エクスプレス(エストニア急行)」は、総合14位(12位/17位)にとどまった。
CAS Honda Teamのエフゲニー・ボブリシェフも不運にさいなまれた。他車と接触した後にコースを仕切るグリーンのネットに絡み、ヒート1のわずか半周でリタイア。ロシア出身のボブリシェフは、ヒート2では順当に15位に入り、6ポイントを獲得。総合成績では17位となった。
同じくCAS Honda Teamに移籍したガレス・スワニプールは、総合12位(11位/13位)と、手堅い結果でHondaデビューを果たした。この南アフリカのスターは両ヒートともに好スタートを切れなかったが、彼が見せた渾身の追い上げは、いつものように体調もよく、走りも安定していることを示していた。
Honda Racing MartinからGPデビューを果たした2人のニューフェイスは、とても難しいコンディションの中で世界ランカーを相手に堂々と戦った。MX1クラスのジミー・アルバートソンは、公式練習で足首をねんざし、ウオームアップ走行でも大転倒を喫したが、両ヒートを通じて奮闘し、総合18位(16位/20位)となった。アルバートソンのチームメート、MX2クラスのアレッサンドロ・バティッグは、GPデビュー戦となるヒート1で惜しくもポイントを逃す23位でゴールした。この元気なイタリア人は、ヒート2では29位となった。
MX2クラスの決勝は、マービン・ムスキャン(KTM)が両ヒートを制し、50ポイントを獲得し、2位のケン・ロクセン(スズキ)を6ポイントリードしている。今大会におけるMX2のHonda勢最上位は、ニコライ・ラーセン(SRS Racing)の18位/14位(総合16位)だった。
Honda勢は、次週4月11日、イタリアのマントバで行われる第2戦に臨む。
ダビデ・ガルネリ(MX1 10位/12位 総合10位)「初めての450GPとしては、とても順調だった。10位/12位でフィニッシュして総合10位になれたし、Honda勢の中でベストリザルトだったので満足している。ヒート2の終盤に少し疲れを感じ、ポイントを獲得するために、転倒しないように集中した。自分はすでに相当なスピードを出しているけれど、もっと練習するつもりなので、450に対する適応力も上がるだろう。今後のレースでは、スタートさえ決められたら、トップ争いができる自信がある」
ガレス・スワニプール(MX1 11位/13位 総合12位)「ヒート1ではまずまずのスタートが切れたし、初めの数周はうまく走れた。中盤になると身体が硬くなって順位を下げたけれど、またばん回して11位に入った。ヒート2ではもう少しうまくスタートできたけれど、1コーナーでだれかと絡んで、集団の後方に埋もれてしまった。なんとか気持ちを切り替えて必死に追い上げ、何台も抜いていった。自分の順位には少々がっかりしているけれど、ライディングとバイクの性能にはとても満足している。集団を抜け出すのに時間がかかったけれど、最後にはたどり着けた」
タネル・レオク(MX1 12位/17位 総合14位)「コースコンディションはよかった。とても荒れていて難しかったけれど、それは自分の望むところだった。最初の公式練習ではトップだったのに、レースでは不運続きだった。ヒート1ではスタート直後のストレートでギアが抜けて、混戦の中を走っていたら転がってきたヘイベール(緩衝材)に突っ込んでしまった。クラッシュ後は頭が痛いのをがまんし、ばん回を続けて、12位でフィニッシュした。乗れていたと思うし、安定したラップタイムを何度もマークしていた。ヒート2ではスタートでモンニ(ヤマハ)と絡んで、またしても最後尾近くまで下がってしまった。クラッチレバーのアジャスターの具合が悪くなり、その後は調子が出せなかった。ヒート1のクラッシュ以来、頭痛が引かなかったこともあり、すべてがうまく運ばなかった。今回は自分の日ではなく、何もかもがダメだった。でも、モトクロスにはこういうことがよく起きるものだ」
エフゲニー・ボブリシェフ(MX1 リタイア/15位 総合17位)「ヒート1はあまりにも短すぎた。たった半周ですべてが終わってしまった。スタートは中団のあたりで、モンニと軽く接触した後にコースの外に押し出されてしまった。グリーンのネットが後輪に絡みついて再スタートできず、そこでリタイアするしかなかった。ヒート2までにコースコンディションがずいぶん変わったので、最初はリズムに乗るのが難しかったけれど、だんだん調子が出てきた。でも25分ごろから腕上がりがひどくなって、その後はポジションを15位まで下げてしまった」
ジミー・アルバートソン(MX1 16位/20位 総合18位)「ヒート1のスタートは中程で、20位あたりだった。序盤のうちに何台か抜いて上がったところ、目の前でド・ルーバー(スズキ)が転倒したので、そのわだちを抜け出すのにバイクから降りて押さなければならず、結局16位まで落ちてしまった。ヒート2ではもっといいスタートが切れて、数周後にはトップ10近くを走っていた。ところがだれかと絡んで、かなり激しく転倒。すぐに起き上がったが、『今日はこれ以下にはならないだろう』と思った。結果は20位で、たった1ポイントの獲得だったけれど、努力は無駄にならなかったということだろう。世界選手権に出ているライダーは確かにすごく速いけれど、自分のポテンシャルをすべて発揮できればもっと好成績を出せるはずだ。来週のレースでみなさんに自分の走りを見せられることを楽しみにしている」
アレッサンドロ・バティッグ(MX2 23位/29位 総合32位)「ハッピーだ。ヒート1ではポイント獲得も可能だったけれど、ほんのちょっとで届かなかった。ヒート2もうまくいかなかった。でも今は学ぶ時期なので気にしていない。もっとスピードあるアグレッシブな走りをすれば、成績が上がると思っている。マシンの調子はいいし、マントバは得意なコースなので、来週のGPがとても楽しみだ」
MX1(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | M.ナグル | KTM | 40:45.442 | - |
2 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 40:54.041 | +8.599 |
3 | 25 | C.デサール | スズキ | 40:58.601 | +13.159 |
4 | 9 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 41:03.559 | +18.117 |
5 | 222 | A.カイローリ | KTM | 41:08.306 | +22.864 |
6 | 7 | J.バラガン | カワサキ | 41:24.067 | +38.625 |
10 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 41:51.117 | +1:05.675 |
11 | 8 | G.スワニプール | Honda | 41:55.167 | +1:09.725 |
12 | 40 | T.レオク | Honda | 42:03.610 | +1:18.168 |
16 | 702 | J.アルバートソン | Honda | 42:30.396 | +1:44.954 |
32 | 27 | P.ケンペリス | Honda | 41:45.309 | +2Laps |
37 | 23 | B.フェルホーフェン | Honda | 15:07.640 | +14Laps |
RT | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | DNS | - |
MX1(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 222 | A.カイローリ | KTM | 41:06.743 | - |
2 | 2 | M.ナグル | KTM | 41:10.428 | +3.685 |
3 | 11 | S.ラモン | スズキ | 41:13.803 | +7.060 |
4 | 90 | S.ポールセル | カワサキ | 41:19.612 | +12.869 |
5 | 25 | C.デサール | スズキ | 41:22.222 | +15.479 |
6 | 7 | J.バラガン | カワサキ | 41:23.184 | +16.441 |
12 | 39 | D.ガルネリ | Honda | 42:23.852 | +1:17.109 |
13 | 8 | G.スワニプール | Honda | 42:29.474 | +122.731 |
15 | 777 | E.ボブリシェフ | Honda | 42:43.039 | +1:36.296 |
17 | 40 | T.レオク | Honda | 42:59.565 | +1:52.822 |
20 | 702 | J.アルバートソン | Honda | 43:02.443 | +1:55.700 |
30 | 23 | B.フェルホーフェン | Honda | 43:17.984 | +1Lap |
31 | 27 | P.ケンペリス | Honda | 41:54.527 | +2Laps |
MX2(レース1)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 40:41.977 | - |
2 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 40:54.295 | +12.318 |
3 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 41:33.138 | +51.161 |
4 | 23 | A.トヌス | スズキ | 41:39.897 | +57.920 |
5 | 89 | J.バン・ホービーク | カワサキ | 41:49.244 | +1:07.267 |
6 | 111 | J.ハーリングス | KTM | 42:17.453 | +1:35.476 |
18 | 35 | N.ラーセン | Honda | 41:30.046 | +1Lap |
23 | 92 | A.バティッグ | Honda | 41:50.472 | +1Lap |
30 | 95 | A.ジュスト | Honda | 41:41.811 | +2Laps |
34 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 6:27.646 | +18Laps |
MX2(レース2)
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | M.ムスキャン | KTM | 39:22.409 | - |
2 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 39:29.798 | +7.389 |
3 | 111 | J.ハーリングス | KTM | 39:41.587 | +19.178 |
4 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 39:48.734 | +26.325 |
5 | 23 | A.トヌス | スズキ | 39:53.632 | +31.223 |
6 | 89 | J.バン・ホービーク | カワサキ | 40:10.819 | +48.410 |
14 | 35 | N.ラーセン | Honda | 41:22.396 | +1:59.987 |
25 | 152 | P.ペトロフ | Honda | 40:34.938 | +1Lap |
29 | 92 | A.バティッグ | Honda | 41:24.911 | +1Lap |
30 | 95 | A.ジュスト | Honda | 39:42.777 | +2Laps |
ライダー(MX1)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ナグル | KTM | 47 |
2 | A.カイローリ | KTM | 41 |
3 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 36 |
4 | C.デサール | スズキ | 36 |
5 | S.ラモン | スズキ | 34 |
6 | K.ド・ディッカー | ヤマハ | 31 |
10 | D.ガルネリ | Honda | 20 |
12 | G.スワニプール | Honda | 18 |
14 | T.レオク | Honda | 13 |
18 | E.ボブリシェフ | Honda | 6 |
19 | J.アルバートソン | Honda | 6 |
35 | B.フェルホーフェン | Honda | 0 |
39 | P.ケンペリス | Honda | 0 |
マニュファクチャラー(MX1)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 50 |
2 | スズキ | 40 |
3 | ヤマハ | 36 |
4 | カワサキ | 33 |
5 | アプリリア | 23 |
6 | Honda | 20 |
ライダー(MX2)
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M.ムスキャン | KTM | 50 |
2 | K.ロクセン | スズキ | 44 |
3 | S.フロサール | カワサキ | 38 |
4 | J.ハーリングス | KTM | 35 |
5 | A.トヌス | スズキ | 34 |
6 | J.バン・ホービーク | カワサキ | 31 |
16 | N.ラーセン | Honda | 10 |
27 | A.バティッグ | Honda | 0 |
30 | P.ペトロフ | Honda | 0 |
34 | A.ジュスト | Honda | 0 |
マニュファクチャラー(MX2)
順位 | マニュファクチャラー | ポイント |
---|---|---|
1 | KTM | 50 |
2 | スズキ | 44 |
3 | カワサキ | 38 |
4 | ヤマハ | 27 |
5 | Honda | 10 |
6 | TM | 0 |