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2009年FIM世界選手権モトクロス全15戦の第7戦イギリスGPが、ミッドランドにあるロードレースサーキット、マロリーパークにて昨年から2年連続で開催され、MX1ではデビッド・フィリッパーツ(ヤマハ)が優勝した。土日合計で3万5000人という今季最多級の観衆の前で、LS Motors Hondaのクレメント・デサールは予選レースでの転倒から立ち直り、今季3度目となる3位表彰台にCRF450Rを導いた。
好天によってドライコンディションとなったコースレイアウトは、ジャンプの多いテクニカルなものだった。路面の状態はハードだったが、レースの進行につれてワダチやギャップが増え、パッシングは酷暑に耐えることと同様に、レースを左右する最も難しい要素となった。
デサールは、予選レースの1コーナーで発生した多重クラッシュからばん回し、日曜の決勝では6番目のグリッドからスタートし、両ヒートともトップ3以内を快走した。ベルギー出身のデサールは、ヒート1ではフィリッパーツを相手に、終始2位争いを演じていたが、リーダーのマックス・ナグル(KTM)の転倒によって、フィリッパーツに次ぐ2位の座を得た。デサールはヒート2でもイタリア出身のチャンピオン、フィリッパーツを追走したが、些細なミスによって彼の背後から後退し、3位フィニッシュ。わずか1ポイント差によって総合2位の座も逃した。
ファンにとってうれしいサプライズの一つは、半ば引退していた、MX1グランプリウイナーのミカエル・ピション(Martin Racing Team)が、今大会にカムバックしたことだった。彼は全盛期の2004年から2005年まで、Martin Hondaに所属し、2006年にも同等の体制でグランプリにエントリーしていた。
GP250チャンピオンを2回獲得し、最も成功したフランス人モトクロスライダーとして知られるピションは、電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)を装備したCRF450Rを走らせ、総合6位(7位/7位)に入賞した。金曜の午後遅くに初めて乗ったバイクだったにもかかわらず、ピションは土曜のプラクティスで最速のタイムを記録している。
CAS Honda Teamのビリー・マッケンジーは、臨時招集された従兄弟のブライアンとともに参戦したが、地元グランプリの結果は悲喜こもごもだった。スコットランド出身のビリー・マッケンジーは、左手親指のじん帯を痛めており、レースのたびに痛み止めの注射とギプスの世話になりながら走っている。ヒート1では投薬量が不十分だったため、レースの途中で痛みを堪えきれずにリタイアした。ヒート2では十分な量を注射したビリー・マッケンジーは、トップグループに交じって走り5位でフィニッシュし、観客をわかせた。
ブライアン・マッケンジー(CAS Honda Team)は、イギリス国内選手権を走るレベルのライダーだが、今回の大抜擢によって苛酷な洗礼を受けた。ヒート2では転倒によってポイント圏外に脱落したが、ヒート1では辛うじて19位に入賞している。
この結果、MX1のデサールは、トップ4までわずか5ポイント差のランキング6位。ビリー・マッケンジーはランキング13位となった。
シリーズ第8戦フランスGPは、次週、フランスのエルネーで開催される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 38:59.149 | - |
2 | 25 | C.デサール | Honda | 39:02.500 | +0:03.351 |
3 | 7 | J.バラガン | KTM | 39:05.457 | +0:06.308 |
4 | 5 | M.ナグル | KTM | 39:10.115 | +0:10.966 |
5 | 6 | J.コピンズ | ヤマハ | 39:29.155 | +0:30.006 |
6 | 9 | K.ド・ディッカー | スズキ | 39:34.115 | +0:34.966 |
7 | 101 | M.ピション | Honda | 39:34.829 | +0:35.680 |
12 | 60 | B.アンダーソン | Honda | 39:56.197 | +0:57.048 |
19 | 121 | Br.マッケンジー | Honda | 39:11.543 | +1Lap |
22 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 39:39.002 | +1Lap |
23 | 40 | J.ローズ | Honda | 39:42.300 | +1Lap |
32 | 211 | ビリー・マッケンジー | Honda | 19:47.034 | +11Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 5 | M.ナグル | KTM | 39:36.111 | - |
2 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 39:53.033 | +0:16.922 |
3 | 25 | C.デサール | Honda | 40:03.290 | +0:27.179 |
4 | 6 | J.コピンズ | ヤマハ | 40:08.749 | +0:32.638 |
5 | 211 | ビリー・マッケンジー | Honda | 40:11.179 | +0:35.068 |
6 | 8 | T.レオク | ヤマハ | 40:14.244 | +0:38.133 |
7 | 101 | M.ピション | Honda | 40:18.909 | +0:42.798 |
12 | 60 | B.アンダーソン | Honda | 40:44.040 | +1:07.929 |
18 | 40 | J.ローズ | Honda | 41:28.870 | +1:52.759 |
22 | 121 | Br.マッケンジー | Honda | 40:18.100 | +1Lap |
24 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 41:00.018 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 39:28.219 | - |
2 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 39:33.931 | +0:05.712 |
3 | 21 | G.ポーリン | カワサキ | 39:49.913 | +0:21.694 |
4 | 39 | D.ガルネリ | ヤマハ | 39:56.821 | +0:28.602 |
5 | 13 | M.モンニ | ヤマハ | 39:58.011 | +0:29.792 |
6 | 22 | A.ボアシエール | KTM | 39:59.751 | +0:31.532 |
17 | 335 | D.バーブルッゲン | Honda | 40:56.841 | +1:28.622 |
19 | 82 | N.ブラッドショウ | Honda | 40:59.144 | +1:30.925 |
22 | 33 | C.ソーベイラス | Honda | 39:30.824 | +1Lap |
23 | 60 | S.エルダーフィールド | Honda | 39:31.410 | +1Lap |
32 | 64 | K.ボングサナ | Honda | 39:38.866 | +10Laps |
37 | 47 | P.ルーレ | Honda | 2:05.944 | +20Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 40:08.249 | - |
2 | 5 | R.ゴンサルベス | KTM | 40:11.761 | +0:03.512 |
3 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 40:34.836 | +0:26.587 |
4 | 21 | G.ポーリン | カワサキ | 40:44.178 | +0:35.929 |
5 | 89 | J.バン・ホービーク | KTM | 40:47.006 | +0:38.757 |
6 | 7 | S.ソード | KTM | 40:48.955 | +0:40.706 |
14 | 335 | D.バーブルッゲン | Honda | 41:31.894 | +1:23.645 |
15 | 64 | K.ボングサナ | Honda | 41:34.451 | +1:26.202 |
21 | 82 | N.ブラッドショウ | Honda | 39:51.296 | +1Lap |
22 | 60 | S.エルダーフィールド | Honda | 40:10.927 | +1Lap |
31 | 33 | C.ソーベイラス | Honda | 34:40.042 | +4Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | A.カイローリ | ヤマハ | 255 | |||||||||||||||
2 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 221 | |||||||||||||||
3 | J.バラガン | KTM | 215 | |||||||||||||||
4 | J.コピンズ | ヤマハ | 209 | |||||||||||||||
5 | K.ド・ディッカー | スズキ | 208 | |||||||||||||||
6 | C.デサール | Honda | 204 | |||||||||||||||
13 | ビリー・マッケンジー | Honda | 84 | |||||||||||||||
14 | ケビン・ストリボス | Honda | 82 | |||||||||||||||
17 | マーク・ド・ルーバー | Honda | 45 | |||||||||||||||
24 | M.ピション | Honda | 28 | |||||||||||||||
26 | B.アンダーソン | Honda | 24 | |||||||||||||||
33 | セドリック・メルロット | Honda | 10 | |||||||||||||||
36 | K.ワウツ | Honda | 8 | |||||||||||||||
37 | I.スタインバーグス | Honda | 4 | |||||||||||||||
39 | J.ローズ | Honda | 3 | |||||||||||||||
41 | Br.マッケンジー | Honda | 2 | |||||||||||||||
42 | F.ケンペリス | Honda | 0 | |||||||||||||||
53 | A.ティベッドゥ | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | ヤマハ | 308 |
2 | KTM | 258 |
3 | Honda | 238 |
4 | スズキ | 223 |
5 | カワサキ | 139 |
6 | TM | 93 |
7 | アプリリア | 78 |
8 | CCM | 44 |
9 | フサベル | 0 |
10 | ハスクバーナ | 0 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | M.ムスキャン | KTM | 234 | |||||||||||||||
2 | G.ポーリン | カワサキ | 219 | |||||||||||||||
3 | D.ガルネリ | ヤマハ | 208 | |||||||||||||||
4 | R.ゴンサルベス | KTM | 202 | |||||||||||||||
5 | S.フロサール | カワサキ | 178 | |||||||||||||||
6 | X.ブーグ | スズキ | 166 | |||||||||||||||
19 | K.ボングサナ | Honda | 60 | |||||||||||||||
24 | D.バーブルッゲン | Honda | 38 | |||||||||||||||
27 | P.ルーレ | Honda | 25 | |||||||||||||||
28 | W.エイビス | Honda | 19 | |||||||||||||||
30 | C.ソーベイラス | Honda | 15 | |||||||||||||||
35 | H.ブラッケ | Honda | 7 | |||||||||||||||
42 | N.ブラッドショウ | Honda | 2 | |||||||||||||||
43 | J.クレアモント | Honda | 1 | |||||||||||||||
47 | S.エルダーフィールド | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | KTM | 280 |
2 | カワサキ | 264 |
3 | ヤマハ | 243 |
4 | Honda | 203 |
5 | スズキ | 196 |
6 | TM | 9 |
コメント
クレメント・デサール(MX1 2位/3位 総合3位)
「1ポイント差で総合2位の座を逃したことを、ちょっと残念に思っているけれど、自分のシリーズランキングのためには今回もいいリザルトを残せてよかった。ヒート1ではワンミスでフィリッパーツと2位から遠ざかってしまった。今日のポジティブな点は、スタートをうまく決められたことだった」
ミカエル・ピション(MX1 7位/7位 総合6位)
「すべてが思ったよりもうまくいった。スピードもそこそこ出ていたし、ヒート2も大丈夫だと思えたので、体力的にも問題なかった。もちろん疲れたことは確かだけれど、無理に攻めずにスムーズな走りをすることができた。コピンズ(ヤマハ)のようなライダーたちに抜かれたけれど、それほど離されなかったので、ヒート1よりもヒート2の方が楽しめた。GPにカムバックして何年も一緒にレースに取り組んだ人たちと再会するのは、とても素敵なことだ。ここに戻ってこられてうれしい。新型のHondaはとてもすばらしい。でも常に改良点はあるものだし、世の中に変えられない物はない。このバイクに取り組むつもりだ。自分にとってはもう重要ではないけれど、チームメートのケビン(ストリボス)や誰かのためになることなら、喜んで役に立ちたい」
ビリー・マッケンジー(MX1 32位/5位 総合13位)
「ヒート1の前にメディカルセンターに行って注射を打ってもらったけれど、針があまり深く刺さらなかったので、麻酔が関節まで届かずに周囲の皮膚にしか効かなかった。これが間違いでレースの最後まで持たなかった。ものすごい苦しみだった。もしかしたら悪化させてしまったのかと考えたけれど、ありがたいことに実際はそうではなかった。この失敗から学んで、ヒート2には正しい治療を受けて臨むことができた。痛みからは解放されたけれど、今度は中盤まで腕アガリが問題となった。それでも、ヒート1をリタイアした時点では、もうおしまいだと思っていたので、5位に入れたのは悪くない結果だ。親指のじん帯が切れているので手術が必要だけれど、シーズンを全うするまでは休まずに走り続けたい。毎試合注射が必要だけれど、1〜2週間のうちには通常のルーティンとして慣れたい。もし痛みがなければ、ハイペースで走れるし、レース結果もそこそこついてくるだろう」
ブライアン・マッケンジー(MX1 19位/22位 総合24位)
「大舞台のデビュー戦だったけれど、実はあまり選択肢もなくドタバタだったんだ。グランプリを走れてとてもうれしい。ヒート2で大転倒をやらかしたけれど、それは受け入れなければいけないと思う。とても疲れた。ものすごい体験だったし、来週のエルネーでもチームの一員として出場できたらうれしい」