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2009年FIM世界選手権モトクロス、全15戦からなるシリーズの第5戦ポルトガルGPが、アグエダで開催された。温暖な曇り空の下、2万5000人の観衆が見守る中、アントニオ・カイローリ(ヤマハ)がMX1を、ルイ・ゴンサルベス(KTM)がMX2の総合ウイナーとなった。Honda勢はLS Motors Hondaのクレメント・デサールとNouvelle Generation Sport Hondaのマービン・ムスキャンの活躍により、両クラスでの表彰台登壇を果たした。
今大会のHonda参戦体制は、事前のトレーニング中の事故の影響を大きく受け、Martin Racing TeamとCAS Honda Teamの両チームが欠場する事態となった。
このためCRF450Rの成績はデサール1人に委ねられたが、両ヒートとも抜群のスタートから3位でフィニッシュし、起伏に富んだアグエダのコースで総合3位に入賞した。今季2度目の表彰台をゲットしたデサールは、現時点の総合ランキングでHonda最上位のライダーである。
Martin Racing Teamは今大会、パドックのテントからマシンを外に出すことができなかった。前週にケビン・ストリボスが舟状骨を骨折し、彼の脱落から数日後にはマーク・ド・ルーバーが練習中の転倒によって、股関節脱きゅうとせき椎を3カ所骨折する重傷を負ってしまったからだ。ストリボスは1カ月間の欠場が見込まれる一方、ド・ルーバーも長期の離脱が予想される。両ライダーの早期の復帰が望まれる。
CAS Honda Teamの望みは、背中の痛みが引かないセドリック・メルロットの欠場によって、チームメートのビリー・マッケンジーに託されていたが、そのマッケンジーも2回目のプラクティス中にタイムアタックを試みた際に転倒。右手の親指を痛めてしまった。腫れ上がった親指の痛みを抑えるため、マッケンジーは鎮痛薬を注射してレースに出たが、ヒート1の途中でリタイア。ヒート2の出走は断念せざるを得なかった。
MX2クラスでは、フランス出身のムスキャンが信じられないレースを見せた。土曜日の予選レースで転倒を喫したため、決勝ヒート1では後方グリッドからのスタートになったが、序盤からトップグループに食い込むほどのすばらしい出足を見せたのだ。強敵のゴンサルベスとスティーブン・フロサール(カワサキ)を抜いた後、ムスキャンは4月上旬のブルガリアGP以来となる2勝目を挙げた。ヒート2では混戦を抜け出すのに苦労したことと、2度の転倒が災いして6位にとどまったが、CRF250Rを総合3位の表彰台に導いた。
世界選手権MX1ランキングにおいて、デサールがHonda勢最上位で、現在7位につけている。ストリボスはランキング10位。一方、MX2では現在2位のムスキャンがポイント差を詰めてきており、ポイントリーダーのゴーティエ・ポーリン(カワサキ)に6点差と迫っている。
ポルトガルGPではFIM女子世界選手権第2戦が併催された。ディフェンディングチャンピオンのリビア・ランスロー(カワサキ)が2勝目を挙げ、2位にはWMA(Women's Motocross Association)チャンピオンのアシュリー・ファイオレック(Honda)が入った。CRF250Rに乗る彼女は現在ランキング2位につけているが、今週アメリカに戻ってWMAモトクロス参戦に備える予定だ。
MX1/MX2の第6戦カタルニアGPは来週、スペインのベルピッグで開催される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 222 | A.カイローリ | ヤマハ | 39:32.718 | - |
2 | 9 | K.ド・ディッカー | スズキ | 39:39.753 | +0:07.035 |
3 | 25 | C.デサール | Honda | 39:45.164 | +0:12.446 |
4 | 5 | M.ナグル | KTM | 39:47.326 | +0:14.608 |
5 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 39:49.092 | +0:16.374 |
6 | 8 | T.レオク | ヤマハ | 39:53.852 | +0:21.134 |
23 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 40:52.661 | +1Lap |
26 | 211 | ビリー・マッケンジー | Honda | 7:40.612 | +17Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 222 | A.カイローリ | ヤマハ | 40:13.107 | - |
2 | 9 | K.ド・ディッカー | スズキ | 40:23.678 | +0:10.571 |
3 | 25 | C.デサール | Honda | 40:31.899 | +0:18.792 |
4 | 6 | J.コピンズ | ヤマハ | 40:33.419 | +0:20.312 |
5 | 8 | T.レオク | ヤマハ | 40:53.581 | +0:40.474 |
6 | 12 | D.ビーラマン | カワサキ | 41:02.319 | +0:49.212 |
21 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 40:18.333 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 25 | M.ムスキャン | Honda | 39:53.534 | - |
2 | 5 | R.ゴンサルベス | KTM | 39:56.121 | +0:02.587 |
3 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 39:56.457 | +0:02.923 |
4 | 21 | G.ポーリン | カワサキ | 40:15.163 | +0:21.629 |
5 | 39 | D.ガルネリ | ヤマハ | 40:23.403 | +0:29.869 |
6 | 202 | L.ラリュ | ヤマハ | 40:26.921 | +0:33.387 |
23 | 335 | D.バーブルッゲン | Honda | 40:18.158 | +1Lap |
25 | 17 | J.クレアモント | Honda | 40:21.528 | +1Lap |
32 | 64 | K.ボングサナ | Honda | 29:18.478 | +6Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 5 | R.ゴンサルベス | KTM | 39:10.794 | - |
2 | 183 | S.フロサール | カワサキ | 39:18.606 | +0:07.812 |
3 | 39 | D.ガルネリ | ヤマハ | 39:21.637 | +0:10.843 |
4 | 94 | K.ロクセン | スズキ | 39:23.943 | +0:13.149 |
5 | 202 | L.ラリュ | ヤマハ | 39:25.798 | +0:15.004 |
6 | 25 | M.ムスキャン | Honda | 39:36.305 | +0:25.511 |
21 | 335 | D.バーブルッゲン | Honda | 39:14.274 | +1Lap |
29 | 17 | J.クレアモント | Honda | 29:14.677 | +6Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | A.カイローリ | ヤマハ | 193 | |||||||||||||||
2 | K.ド・ディッカー | スズキ | 168 | |||||||||||||||
3 | J.バラガン | KTM | 152 | |||||||||||||||
4 | J.コピンズ | ヤマハ | 144 | |||||||||||||||
5 | T.レオク | ヤマハ | 142 | |||||||||||||||
6 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 134 | |||||||||||||||
7 | C.デサール | Honda | 126 | |||||||||||||||
10 | ケビン・ストリボス | Honda | 82 | |||||||||||||||
14 | マーク・ド・ルーバー | Honda | 45 | |||||||||||||||
15 | ビリー・マッケンジー | Honda | 42 | |||||||||||||||
28 | セドリック・メルロット | Honda | 10 | |||||||||||||||
30 | K.ワウツ | Honda | 8 | |||||||||||||||
33 | B.アンダーソン | Honda | 6 | |||||||||||||||
37 | I.スタインバーグス | Honda | 0 | |||||||||||||||
38 | F.ケンペリス | Honda | 0 | |||||||||||||||
42 | A.ティベッドゥ | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | ヤマハ | 216 |
2 | スズキ | 179 |
3 | KTM | 166 |
4 | Honda | 158 |
5 | カワサキ | 87 |
6 | TM | 67 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | G.ポーリン | カワサキ | 171 | |||||||||||||||
2 | M.ムスキャン | Honda | 165 | |||||||||||||||
3 | D.ガルネリ | ヤマハ | 147 | |||||||||||||||
4 | R.ゴンサルベス | KTM | 125 | |||||||||||||||
5 | X.ブーグ | スズキ | 108 | |||||||||||||||
6 | S.フロサール | カワサキ | 105 | |||||||||||||||
18 | K.ボングサナ | Honda | 44 | |||||||||||||||
24 | P.ルーレ | Honda | 25 | |||||||||||||||
25 | W.エイビス | Honda | 19 | |||||||||||||||
27 | D.バーブルッゲン | Honda | 18 | |||||||||||||||
33 | H.ブラッケ | Honda | 7 | |||||||||||||||
43 | J.クレアモント | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | カワサキ | 191 |
2 | KTM | 180 |
3 | ヤマハ | 177 |
4 | Honda | 171 |
5 | スズキ | 128 |
6 | TM | 5 |
コメント
クレメント・デサール(MX1 3位/3位 総合3位)
「ファエンツァでの初表彰台は悪天候のおかげでもあったから、今回の表彰台の方がうれしい。大変な努力が必要だったけれどベストを尽くしたし、結果にはとても満足している。不運続きでライダーがいないHondaにとっても、喜ばしい戦果だった。ヒート2のスタートではスロットルケーブルが不調だったけれど、たいした問題ではなく、走り続けることができた」
ビリー・マッケンジー(MX1 26位/欠場 総合28位)
「この週末はものすごくいい感じで始められた。バイクの調子もよく、自信もあったから1回目のプラクティスでも悪くないタイムが出ていた。2回目のプラクティスでアタックしたとき、これはベストが出ているという手応えがあるラップだったが、いきなり前輪がウオッシュアウトしてしまった。手をついたときに痛めた親指は、どんどん腫れて青黒く変色していった。注射を打って予選レースに出たけれど、グリップを握っていることができなかったし、痛みもひどかった。なんとか走った後、氷で冷やしたり消炎剤を塗ったりしたが、一夜明けても患部の腫れは大きくなるばかりだった。正直なところ、折れているんじゃないかと思う。ヒート1に出走してみたけれど、後方集団でもがきながら危ない目に何度かあったので、これ以上のダメージを受けるよりはリタイアする方が得策だった」
マービン・ムスキャン(MX2 1位/6位 総合3位)
「今日はさすがにホールショットが取れなかった。ヒート1ではできるだけばん回しようと思いきりプッシュした。ポーリン、フロサール、ゴンサルベスたちにも追いつけたし、ヒート1は万事がうまくいった。ヒート2ではちょっと疲れが出て、同じところで2回転んだのが響いた。とにかくいいコースだったし、次回のスペインも楽しみにしている。今はMX2ランキング2位で、表彰台も4回経験した。毎戦毎戦ベストを尽くしていきたいと思う」
アシュリー・ファイオレック(女子選手権 3位)
「昨日の調子はまあまあで、自分の本来の走りはできなかったけれど、今日は感触もよく乗れていた。今日の方がコースが荒れてきたけれど、自分の好みには合ってきた。できることならこっちに残って次のGPにも出場し続けたいけれど、再来週に開幕するWMAシリーズの準備があるので、私はアメリカに戻らなければなりません。スウェーデンGPに出られたらいいな、とは思っています」