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2009年FIMモトクロス世界選手権シリーズの第4戦ベネルクスGPが、オランダのアイントホーフェンから程近い、バルケンスワードにあるサンドコース、ユーロサーキットで行われた。今大会のMX1勝者はジョナサン・バラガン(KTM)だったが、CAS Honda Teamのビリー・マッケンジーとMartin Racing Teamのマーク・ド・ルーバーの活躍によって、CRF450Rの安定したトップ走行を今季初めて見ることができた。しかし総合結果で上回ったのは、ド・ルーバーのチームメートのケビン・ストリボスで、4位は今のところ彼自身の今季ベストリザルトだ。
予選日の土曜は穏やかな晴天、決勝が行われた日曜はどんよりと曇ったが、この地域で今年開催される3回のモトクロスGP(ベネルクス、ベルギー、オランダ)の初回となる今大会には、2万人もの観客が集った。彼らが目の当たりにしたのは、トップライダー7人が表彰台登壇を争う今季開幕以来最もエキサイティングなレースで、MX1では両ヒートとも、終盤に予想できない混とんとしたスプリントが繰り広げられた。
2週間前のトルコGPのあとにテストを行ったばかりのマッケンジーは、マシンの基本セットアップに好感触を得ていた。マッケンジーはヒート1の前半、地元のド・ルーバーを抑えてトップを走行し、やがて荒れてワダチだらけになったサンドコースで5人によるバトルが勃発するまでリードを保った。マッケンジーは未だに肉体的には100%とはいえない状態で、ついにド・ルーバーが引っ張る後続者たちに抜かれてしまう。ド・ルーバーはトップに立った直後に転倒して5位に後退したが、再スタート後に2位までばん回してチェッカーを受けた。ストリボスは上位からは離されてアップダウンを繰り返し、腕アガリに悩まされたものの見事7位でフィニッシュした。マッケンジーは8位に続いた。
ヒート2のマッケンジーは、1コーナーで起きたクラッシュと、その後ケン・ド・ディッカー(スズキ)との接触による不運を被った。このヒート2の14位と、ヒート1の8位によって、マッケンジーは総合11位となった。ド・ルーバーは上位集団をマークしながら安定して好位置をキープしていたが、信じられないクラッシュで脳震とうを起こしてリタイアを喫した。ストリボスは1周目、自分の目の前で転倒したライダーにラインをふさがれてコースアウトを喫したが、テクニックと精神力を駆使して見事4位までばん回した。
CAS Honda Teamのもう一人のライダー、セドリック・メルロットは、GPレースに復帰してヒート1で12位に入ったが、負傷した脊椎に負担をかけすぎたため、ヒート2は出走を取り止めた。メルロットは、今週スキャンなどの精密検査を受ける予定だ。
LS Motors Hondaのクレメント・デサールは、9位と8位で総合8位となった。
MX1のランキングテーブルでHonda最上位にいるのは9位のデサールで、ポイントリーダーのアントニオ・カイローリを57点差で追いかけている。ストリボスはランキング10位、ド・ルーバーは13位、マッケンジーは15位だ。
MX2クラスは優勝ルイ・ゴンサルベス(KTM)、2位ショーン・シンプソン(KTM)、3位ニコラ・オービン(ヤマハ)という総合結果になった。Nouvelle Generation Sport Hondaのマービン・ムスキャンは、不得手なサンドコースで総合7位に入った。現在ムスキャンは、ポイントリーダーのゴーティエ・ポーリンから15点のビハインドでランキング2位につけている。
全15戦からなるシリーズの第5戦ポルトガルGPは、アグエダで開催される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 222 | A.カイローリ | ヤマハ | 39:47.158 | - |
2 | 14 | マーク・ド・ルーバー | Honda | 39:51.444 | +0:04.286 |
3 | 7 | J.バラガン | KTM | 39:54.341 | +0:07.183 |
4 | 9 | K.ド・ディッカー | スズキ | 39:55.708 | +0:08.550 |
5 | 8 | T.レオク | ヤマハ | 39:56.966 | +0:09.808 |
6 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 39:57.097 | +0:09.939 |
7 | 100 | ケビン・ストリボス | Honda | 40:04.367 | +0:17.209 |
8 | 211 | ビリー・マッケンジー | Honda | 40:11.098 | +0:23.940 |
9 | 25 | C.デサール | Honda | 40:26.266 | +0:39.108 |
12 | 10 | セドリック・メルロット | Honda | 41:07.061 | +1:19.903 |
15 | 60 | B.アンダーソン | Honda | 41:16.109 | +1:28.951 |
20 | 75 | K.ワウツ | Honda | 40:20.763 | +1Lap |
23 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 39:38.644 | +2Laps |
25 | 23 | F.ケンペリス | Honda | 40:09.562 | +3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 7 | J.バラガン | KTM | 40:18.300 | - |
2 | 8 | T.レオク | ヤマハ | 40:24.749 | +0:06.449 |
3 | 222 | A.カイローリ | ヤマハ | 40:39.639 | +0:21.339 |
4 | 100 | ケビン・ストリボス | Honda | 40:45.457 | +0:27.157 |
5 | 6 | J.コピンズ | ヤマハ | 40:55.550 | +0:37.250 |
6 | 19 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 41:01.342 | +0:43.042 |
8 | 25 | C.デサール | Honda | 41:36.427 | +1:18.127 |
14 | 211 | ビリー・マッケンジー | Honda | 42:02.321 | +1:44.021 |
20 | 75 | K.ワウツ | Honda | 41:28.286 | +1Lap |
21 | 23 | F.ケンペリス | Honda | 42:09.333 | +1Lap |
22 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 42:38.133 | +1Lap |
29 | 60 | B.アンダーソン | Honda | 13:09.017 | +14Laps |
30 | 14 | マーク・ド・ルーバー | Honda | 12:48.265 | +15Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 4 | S.シンプソン | KTM | 39:30.097 | - |
2 | 5 | R.ゴンサルベス | KTM | 39:49.789 | +0:19.692 |
3 | 39 | D.ガルネリ | ヤマハ | 40:06.707 | +0:36.610 |
4 | 338 | Z.オズボーン | ヤマハ | 40:10.389 | +0:40.292 |
5 | 3 | N.オービン | ヤマハ | 40:13.395 | +0:43.298 |
6 | 121 | X.ブーグ | スズキ | 40:15.815 | +0:45.718 |
8 | 25 | M.ムスキャン | Honda | 40:23.715 | +0:53.618 |
11 | 335 | D.バーブルッゲン | Honda | 40:31.520 | +1:01.423 |
14 | 18 | H.ブラッケ | Honda | 40:45.395 | +1:15.298 |
36 | 64 | K.ボングサナ | Honda | 30:31.757 | +6Laps |
37 | 47 | P.ルーレ | Honda | 26:52.241 | +7Laps |
38 | 69 | W.エイビス | Honda | 4:39.914 | +18Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 5 | R.ゴンサルベス | KTM | 40:09.337 | - |
2 | 3 | N.オービン | ヤマハ | 40:29.315 | +0:19.978 |
3 | 4 | S.シンプソン | KTM | 40:33.700 | +0:24.363 |
4 | 21 | G.ポーリン | カワサキ | 40:41.400 | +0:32.063 |
5 | 89 | J.バン・ホービーク | KTM | 40:43.827 | +0:34.490 |
6 | 34 | J.ローランツ | KTM | 40:47.660 | +0:38.323 |
12 | 25 | M.ムスキャン | Honda | 41:18.134 | +1:08.797 |
13 | 335 | D.バーブルッゲン | Honda | 41:21.351 | +1:12.014 |
19 | 64 | K.ボングサナ | Honda | 41:41.205 | +1:31.868 |
21 | 18 | H.ブラッケ | Honda | 42:11.635 | +2:02.298 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | A.カイローリ | ヤマハ | 143 | |||||||||||||||
2 | J.バラガン | KTM | 128 | |||||||||||||||
3 | K.ド・ディッカー | スズキ | 124 | |||||||||||||||
4 | D.フィリッパーツ | ヤマハ | 118 | |||||||||||||||
5 | J.コピンズ | ヤマハ | 112 | |||||||||||||||
6 | T.レオク | ヤマハ | 111 | |||||||||||||||
9 | C.デサール | Honda | 86 | |||||||||||||||
10 | ケビン・ストリボス | Honda | 82 | |||||||||||||||
13 | マーク・ド・ルーバー | Honda | 45 | |||||||||||||||
15 | ビリー・マッケンジー | Honda | 42 | |||||||||||||||
25 | セドリック・メルロット | Honda | 10 | |||||||||||||||
26 | K.ワウツ | Honda | 8 | |||||||||||||||
28 | B.アンダーソン | Honda | 6 | |||||||||||||||
33 | F.ケンペリス | Honda | 0 | |||||||||||||||
34 | I.スタインバーグス | Honda | 0 | |||||||||||||||
38 | A.ティベッドゥ | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | ヤマハ | 166 |
2 | スズキ | 135 |
3 | KTM | 134 |
4 | Honda | 118 |
5 | カワサキ | 60 |
6 | TM | 48 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | G.ポーリン | カワサキ | 140 | |||||||||||||||
2 | M.ムスキャン | Honda | 125 | |||||||||||||||
3 | D.ガルネリ | ヤマハ | 111 | |||||||||||||||
4 | Z.オズボーン | ヤマハ | 100 | |||||||||||||||
5 | S.シンプソン | KTM | 97 | |||||||||||||||
6 | X.ブーグ | スズキ | 94 | |||||||||||||||
14 | K.ボングサナ | Honda | 44 | |||||||||||||||
21 | P.ルーレ | Honda | 25 | |||||||||||||||
24 | W.エイビス | Honda | 19 | |||||||||||||||
25 | D.バーブルッゲン | Honda | 18 | |||||||||||||||
31 | H.ブラッケ | Honda | 7 | |||||||||||||||
39 | J.クレアモント | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | カワサキ | 149 |
2 | ヤマハ | 141 |
3 | KTM | 133 |
4 | Honda | 131 |
5 | スズキ | 98 |
6 | TM | 0 |
コメント
ケビン・ストリボス(7位/4位 総合4位)
「ヒート1はとても難しくて、腕アガリを起こしてしまった。最初の20分は大丈夫だったけれど、途中で大きく後退して最後の数分でようやく取り返せた。ヒート2は1周目に転倒したナグル(KTM)を避けきれず、死力を尽してばん回した。終盤には疲れを我慢してがんばったら、ポジションを何個か上げることができた。事はうまく運んだのに、結果は望んだようにはならなかった。今は実戦経験が足りないので、もっとレースがしたい。そうすれば調子は戻って来るはずだ」
マーク・ド・ルーバー(2位/30位 総合10位)
「正直なところ、あまり記憶がないんだ。それでも今週末はあまり自信がなかった割には、表彰台獲得の可能性に大いに勇気づけられた。ヒート1ではとてもスムーズに乗れていたし、ミスはたった1回フロントを滑らせただけだった。5人が抜いて行くのを見たし、とても冷静ではいられず、再スタート後は全開で必死にトップを目指した。裏手の2連ジャンプはとても危険だった。フィリッパーツ(ヤマハ)は飛ばなかったし、ラモン(スズキ)もクラッシュしたけれど、自分には『行くしかない』とスイッチが入っていたので、2位まで這い上がれた。ヒート2ではトップグループについていって様子を見ていたのだけれど、丘の上のワダチで飛んでしまった。そこから先は何も記憶がない。トータルとしてはハッピーなんだけれど……」
ビリー・マッケンジー(8位/14位 総合11位)
「これはちょっとした進歩で、ずいぶんハッピーだ。今回のレース前にマシンセッティングに取り組み直したところ、今までのサスセッティングの方向性が間違っていたことがわかった。それで自信を失っていたし、疑心暗鬼になっていた。とにかくセッティングを変更したらすべてがうまくいったし、グランプリでリーダーを務めるのはいい気分だった。今の自分に必要なのは、何ヒートか優勝を積み重ねることで、必ずそこへ戻れるだろうと信じている」