デサールが豪雨のファエンツァで表彰台フィニッシュ

2009年3月29日(日)
決勝
開催地:ファエンツァ
天候:曇り時々にわか雨
気温:8℃
観客:1万2000人

2009年モトクロス世界選手権、全15戦からなるシリーズの開幕戦イタリアGPが、ファエンツァのモンテコラーリ・サーキットで行われた。雨で水浸しとなった当地で、LS Motors Hondaのクレメント・デサールが3位に入賞し、Hondaに今季初の表彰台をもたらした。優勝はタネル・レオク(ヤマハ)、2位はケン・ド・ディッカー(スズキ)だった。

ヒート1は全周が沼のようになってしまったコースで行われた。特にヒルサイドの急こう配が難所となり、周回を重ねるのが難しく、コンディションの回復も見込めなかったため、FIMはMX1とMX2両クラスのヒート2をキャンセルし、ヒート1のリザルトだけを総合結果とした。

PGM-FI(電子制御燃料噴射装置)を装備した新型CRF450Rに乗り、Honda勢最上位を得たベルギーのデサールは、35分+2周のほとんどを無難に走り切り2位入賞目前だったが、最終ラップにド・ディッカーにかわされて3位でゴールした。

Martin Racing Teamのマーク・ド・ルーバーは、レースを4周リードしたが、丘の上でバランスを失って転倒した際に、コース脇のパイプにマシンをぶつけてしまった。再スタートに手間取ったため、ド・ルーバーはトップから4周遅れの14位でフィニッシュした。チームメートのケビン・ストリボスは、ドライコンディションで行われた土曜のプラクティスで右ヒザをひねっていたが、Hondaでの初レースで積極的な走りを見せた。世界ランキング2位を2回経験しているベルギー出身のストリボスは、スタート直後は中団に埋もれていたが、そこから粘り強く7位までばん回した。しかし、レース終盤に急こう配の難所を越えることができず、リタイアを余儀なくされた。

もう一人の新加入ライダーの、CAS Honda Teamのセドリック・メルロットも、ド・ルーバーと同じような不運に見舞われ、20位で1ポイントを得るにとどまった。チームメートのビリー・マッケンジーは、序盤はトップ5に食らいついていたが、深い泥沼にスタックしてしまった。オフィシャルが4人がかりで彼のマシンを引っ張り出したが、マッケンジーが再スタートを切ったときにはポジションははるか後方になり、ポイント圏外の21位に甘んじた。

MX2クラスでは、Nouvelle Generation Sport Hondaのマービン・ムスキャンが、優勝したゴーティエ・ポーラン(カワサキ)、2位ジェレミー・ファンホルベーク(KTM)に次ぐ3位の表彰台に、初めてCRF250Rを登壇させた。悪条件がもたらすあらゆる危険と戦ったフランス出身のティーンエイジャーの戦果は、彼自身のベストリザルトであり、HondaのMX2クラスにおいては2007年以来の快挙となった。

MX1もMX2もヒート2がキャンセルされたため、ヒート1の結果がそのままランキングとなった。第2戦ブルガリアGPは4月5日、第3戦トルコGPは4月12日に予定されている。

コメント

クレメント・デサール(3位)

「自分にとって初の表彰台だけれど、とても難しいコンディションだった。我々はマシンテストを十分にやってきたので、Hondaのためにもハッピーだ。目標はMX1の上位にいることとケガをしないこと。そうすれば結果は後からついてくる」

マーク・ド・ルーバー(14位)

「今日は運が悪かった。とても乗れていたし、勝てるかもしれないという感触もあったのに、丘の上で滑って横向きになったときにバイクのステップがスプリンクラーのパイプに引っかかってしまったんだ。グリップが泥だらけでスロットルを回せなかったので、コース脇の旗を使って泥を落とさなければならなかった。今回は去年のスペインGPよりもひどいコンディションだった」

ケビン・ストリボス(17位)

「ヒザをひねってしまったので昨日のプラクティスの段階からつらかったが、鎮痛剤とテーピングのおかげで何とか大丈夫だった。スタートはうまく決まったけれど、ゴーグルの具合が悪くなって止まったせいで、最後尾まで落ちてしまった。がんばって5位までばん回したが、そこであの登りに苦しめられることになった。10回ぐらいトライしたと思うけれど、いくら挑んでも登れなくて、腹が立ってしかたなかった。ヒート2の中止は妥当だし、ヒート1の途中で中止してもよかったと思う。観客には面白かったかもしれないが、ライダーにとってはレースどころではなかった」

セドリック・メルロット(20位)

「とてもクレイジーなレースで、中止は正しい判断だったと思う。あれ以上何が起きるかは、とても想像できなかった。好スタートを切ったとしても、それは何の保証にもならなかった。私は登り坂でスタックして、脱出するのに2周分ぐらいかかった。ゴーグルとグローブを交換するためにピットインしたあと、5〜6周はがんばってみたけれど、クラッチを使い果たしてしまった。少なくとも1ポイントを獲得したし、今後はもっといい成績を望んでいる」

ビリー・マッケンジー(21位)

「どこへ行っても泥沼があり、誰かが巻き上げる泥水のしぶきを避けることはできなかった。スタンダードのシートを使ったので、しっかりと座っていることができず、加速するたびにシート上に腹ばいになるスーパーマン状態だった。問題の登り坂では、左にラインを変えたらスタックしてしまった。泥がとても深くて全く動けなかった。4人がかりでバイクを出してもらった。すべてが泥だらけだったけれど、とにかく完走を目指してベストを尽した。ほかの何人かににとっても、悪夢のような開幕戦だったに違いない。ヒート2がキャンセルされたのはよかった。今日のレースは、自分が知る限り一番ばかばかしいものだった。泥はとても厚く、バイクにこびりつくと重たかった。ショートカットするライダーが大勢いたし、第三者の手助けも受けていたので、できたらヒート1のリザルトも無効にすべきだと思う。」

決勝リザルト

MX1(レース1)

順位 No. ライダー マシン タイム
18T.レオクヤマハ41:16.698-
29K.ド・ディッカースズキ42:21.178+1:04.480
325 C.デサールHonda42:34.103+1:17.405
4111A.レオクTM43:24.791+2:08.093
5222A.カイローリヤマハ41:33.793+1Lap
66J.コピンズヤマハ42:49.991+1Lap
1414マーク・ド・ルーバーHonda43:39.874+4Laps
1675K.ワウツHonda42:42.845+5Laps
17100ケビン・ストリボスHonda29:32.948+6Laps
2010セドリック・メルロットHonda24:00.463+9Laps
21211ビリー・マッケンジーHonda42:25.890+9Laps
2923F.ケンペリスHonda33:13.418+13Laps
3174I.スタインバーグスHonda3:24.740+14Laps
35122A.ティベッドゥHonda0:05.987+15Laps

MX1(レース2)

※レース2は荒天のためキャンセルされました。

MX2(レース1)

順位 No. ライダー マシン タイム
121 G.ポーランカワサキ42:22.467-
289J.ファンホルベーク KTM43:00.673+0:38.206
325 M.ムスキャン Honda44:03.864+1:41.397
439D.ガルネリヤマハ42:20.591+1Lap
534J.ローランツKTM42:26.013+1Lap
6501A.ルピーノヤマハ44:07.945+1Lap
29335D.バーブルッゲンHonda13:03.462+11Laps
3064K.ボングサナHonda13:33.919+11Laps
3269W.エイビスHonda9:41.479+12Laps
3417J.クレアモントHonda11:26.374+12Laps
4047P.ルーレHonda0:05.979+16Laps

MX2(レース2)

※レース2は荒天のためキャンセルされました。

ポイントスタンディング

ライダー | MX1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1T.レオクヤマハ25
2K.ド・ディッカースズキ22
3 C.デサールHonda20
4A.レオクTM18
5A.カイローリヤマハ16
6J.コピンズヤマハ15
14マーク・ド・ルーバーHonda7
16K.ワウツHonda5
17ケビン・ストリボスHonda4
20セドリック・メルロットHonda1
21ビリー・マッケンジーHonda0
29F.ケンペリスHonda0
32 I.スタインバーグスHonda0
35A.ティベッドゥHonda0

マニュファクチャラー | MX1

順位 マニュファクチャラー 総合ポイント
1ヤマハ25
2スズキ22
3Honda20
4TM18
5KTM14
6CCM13
7カワサキ8
8アプリリア6
9ハスクバーナ0

ライダー | MX2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 G.ポーランカワサキ25
2J.ファンホルベーク KTM22
3 M.ムスキャン Honda20
4D.ガルネリヤマハ18
5J.ローランツKTM16
6A.ルピーノヤマハ15
29D.バーブルッゲンHonda0
30K.ボングサナHonda0
31P.ルーレHonda0
32W.エイビスHonda0
40J.クレアモントHonda0

マニュファクチャラー | MX2

順位 マニュファクチャラー 総合ポイント
1カワサキ25
2KTM22
3Honda20
4ヤマハ18
5スズキ13
6TM0