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2009年モトクロス世界選手権、全15戦からなるシリーズの開幕戦イタリアGPが、ファエンツァのモンテコラーリ・サーキットで行われた。雨で水浸しとなった当地で、LS Motors Hondaのクレメント・デサールが3位に入賞し、Hondaに今季初の表彰台をもたらした。優勝はタネル・レオク(ヤマハ)、2位はケン・ド・ディッカー(スズキ)だった。
ヒート1は全周が沼のようになってしまったコースで行われた。特にヒルサイドの急こう配が難所となり、周回を重ねるのが難しく、コンディションの回復も見込めなかったため、FIMはMX1とMX2両クラスのヒート2をキャンセルし、ヒート1のリザルトだけを総合結果とした。
PGM-FI(電子制御燃料噴射装置)を装備した新型CRF450Rに乗り、Honda勢最上位を得たベルギーのデサールは、35分+2周のほとんどを無難に走り切り2位入賞目前だったが、最終ラップにド・ディッカーにかわされて3位でゴールした。
Martin Racing Teamのマーク・ド・ルーバーは、レースを4周リードしたが、丘の上でバランスを失って転倒した際に、コース脇のパイプにマシンをぶつけてしまった。再スタートに手間取ったため、ド・ルーバーはトップから4周遅れの14位でフィニッシュした。チームメートのケビン・ストリボスは、ドライコンディションで行われた土曜のプラクティスで右ヒザをひねっていたが、Hondaでの初レースで積極的な走りを見せた。世界ランキング2位を2回経験しているベルギー出身のストリボスは、スタート直後は中団に埋もれていたが、そこから粘り強く7位までばん回した。しかし、レース終盤に急こう配の難所を越えることができず、リタイアを余儀なくされた。
もう一人の新加入ライダーの、CAS Honda Teamのセドリック・メルロットも、ド・ルーバーと同じような不運に見舞われ、20位で1ポイントを得るにとどまった。チームメートのビリー・マッケンジーは、序盤はトップ5に食らいついていたが、深い泥沼にスタックしてしまった。オフィシャルが4人がかりで彼のマシンを引っ張り出したが、マッケンジーが再スタートを切ったときにはポジションははるか後方になり、ポイント圏外の21位に甘んじた。
MX2クラスでは、Nouvelle Generation Sport Hondaのマービン・ムスキャンが、優勝したゴーティエ・ポーラン(カワサキ)、2位ジェレミー・ファンホルベーク(KTM)に次ぐ3位の表彰台に、初めてCRF250Rを登壇させた。悪条件がもたらすあらゆる危険と戦ったフランス出身のティーンエイジャーの戦果は、彼自身のベストリザルトであり、HondaのMX2クラスにおいては2007年以来の快挙となった。
MX1もMX2もヒート2がキャンセルされたため、ヒート1の結果がそのままランキングとなった。第2戦ブルガリアGPは4月5日、第3戦トルコGPは4月12日に予定されている。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 8 | T.レオク | ヤマハ | 41:16.698 | - |
2 | 9 | K.ド・ディッカー | スズキ | 42:21.178 | +1:04.480 |
3 | 25 | C.デサール | Honda | 42:34.103 | +1:17.405 |
4 | 111 | A.レオク | TM | 43:24.791 | +2:08.093 |
5 | 222 | A.カイローリ | ヤマハ | 41:33.793 | +1Lap |
6 | 6 | J.コピンズ | ヤマハ | 42:49.991 | +1Lap |
14 | 14 | マーク・ド・ルーバー | Honda | 43:39.874 | +4Laps |
16 | 75 | K.ワウツ | Honda | 42:42.845 | +5Laps |
17 | 100 | ケビン・ストリボス | Honda | 29:32.948 | +6Laps |
20 | 10 | セドリック・メルロット | Honda | 24:00.463 | +9Laps |
21 | 211 | ビリー・マッケンジー | Honda | 42:25.890 | +9Laps |
29 | 23 | F.ケンペリス | Honda | 33:13.418 | +13Laps |
31 | 74 | I.スタインバーグス | Honda | 3:24.740 | +14Laps |
35 | 122 | A.ティベッドゥ | Honda | 0:05.987 | +15Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 |
1 | 21 | G.ポーラン | カワサキ | 42:22.467 | - |
2 | 89 | J.ファンホルベーク | KTM | 43:00.673 | +0:38.206 |
3 | 25 | M.ムスキャン | Honda | 44:03.864 | +1:41.397 |
4 | 39 | D.ガルネリ | ヤマハ | 42:20.591 | +1Lap |
5 | 34 | J.ローランツ | KTM | 42:26.013 | +1Lap |
6 | 501 | A.ルピーノ | ヤマハ | 44:07.945 | +1Lap |
29 | 335 | D.バーブルッゲン | Honda | 13:03.462 | +11Laps |
30 | 64 | K.ボングサナ | Honda | 13:33.919 | +11Laps |
32 | 69 | W.エイビス | Honda | 9:41.479 | +12Laps |
34 | 17 | J.クレアモント | Honda | 11:26.374 | +12Laps |
40 | 47 | P.ルーレ | Honda | 0:05.979 | +16Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | T.レオク | ヤマハ | 25 | |||||||||||||||
2 | K.ド・ディッカー | スズキ | 22 | |||||||||||||||
3 | C.デサール | Honda | 20 | |||||||||||||||
4 | A.レオク | TM | 18 | |||||||||||||||
5 | A.カイローリ | ヤマハ | 16 | |||||||||||||||
6 | J.コピンズ | ヤマハ | 15 | |||||||||||||||
14 | マーク・ド・ルーバー | Honda | 7 | |||||||||||||||
16 | K.ワウツ | Honda | 5 | |||||||||||||||
17 | ケビン・ストリボス | Honda | 4 | |||||||||||||||
20 | セドリック・メルロット | Honda | 1 | |||||||||||||||
21 | ビリー・マッケンジー | Honda | 0 | |||||||||||||||
29 | F.ケンペリス | Honda | 0 | |||||||||||||||
32 | I.スタインバーグス | Honda | 0 | |||||||||||||||
35 | A.ティベッドゥ | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | ヤマハ | 25 |
2 | スズキ | 22 |
3 | Honda | 20 |
4 | TM | 18 |
5 | KTM | 14 |
6 | CCM | 13 |
7 | カワサキ | 8 |
8 | アプリリア | 6 |
9 | ハスクバーナ | 0 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |||||||||||||||
1 | G.ポーラン | カワサキ | 25 | |||||||||||||||
2 | J.ファンホルベーク | KTM | 22 | |||||||||||||||
3 | M.ムスキャン | Honda | 20 | |||||||||||||||
4 | D.ガルネリ | ヤマハ | 18 | |||||||||||||||
5 | J.ローランツ | KTM | 16 | |||||||||||||||
6 | A.ルピーノ | ヤマハ | 15 | |||||||||||||||
29 | D.バーブルッゲン | Honda | 0 | |||||||||||||||
30 | K.ボングサナ | Honda | 0 | |||||||||||||||
31 | P.ルーレ | Honda | 0 | |||||||||||||||
32 | W.エイビス | Honda | 0 | |||||||||||||||
40 | J.クレアモント | Honda | 0 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
1 | カワサキ | 25 |
2 | KTM | 22 |
3 | Honda | 20 |
4 | ヤマハ | 18 |
5 | スズキ | 13 |
6 | TM | 0 |
コメント
クレメント・デサール(3位)
「自分にとって初の表彰台だけれど、とても難しいコンディションだった。我々はマシンテストを十分にやってきたので、Hondaのためにもハッピーだ。目標はMX1の上位にいることとケガをしないこと。そうすれば結果は後からついてくる」
マーク・ド・ルーバー(14位)
「今日は運が悪かった。とても乗れていたし、勝てるかもしれないという感触もあったのに、丘の上で滑って横向きになったときにバイクのステップがスプリンクラーのパイプに引っかかってしまったんだ。グリップが泥だらけでスロットルを回せなかったので、コース脇の旗を使って泥を落とさなければならなかった。今回は去年のスペインGPよりもひどいコンディションだった」
ケビン・ストリボス(17位)
「ヒザをひねってしまったので昨日のプラクティスの段階からつらかったが、鎮痛剤とテーピングのおかげで何とか大丈夫だった。スタートはうまく決まったけれど、ゴーグルの具合が悪くなって止まったせいで、最後尾まで落ちてしまった。がんばって5位までばん回したが、そこであの登りに苦しめられることになった。10回ぐらいトライしたと思うけれど、いくら挑んでも登れなくて、腹が立ってしかたなかった。ヒート2の中止は妥当だし、ヒート1の途中で中止してもよかったと思う。観客には面白かったかもしれないが、ライダーにとってはレースどころではなかった」
セドリック・メルロット(20位)
「とてもクレイジーなレースで、中止は正しい判断だったと思う。あれ以上何が起きるかは、とても想像できなかった。好スタートを切ったとしても、それは何の保証にもならなかった。私は登り坂でスタックして、脱出するのに2周分ぐらいかかった。ゴーグルとグローブを交換するためにピットインしたあと、5〜6周はがんばってみたけれど、クラッチを使い果たしてしまった。少なくとも1ポイントを獲得したし、今後はもっといい成績を望んでいる」
ビリー・マッケンジー(21位)
「どこへ行っても泥沼があり、誰かが巻き上げる泥水のしぶきを避けることはできなかった。スタンダードのシートを使ったので、しっかりと座っていることができず、加速するたびにシート上に腹ばいになるスーパーマン状態だった。問題の登り坂では、左にラインを変えたらスタックしてしまった。泥がとても深くて全く動けなかった。4人がかりでバイクを出してもらった。すべてが泥だらけだったけれど、とにかく完走を目指してベストを尽した。ほかの何人かににとっても、悪夢のような開幕戦だったに違いない。ヒート2がキャンセルされたのはよかった。今日のレースは、自分が知る限り一番ばかばかしいものだった。泥はとても厚く、バイクにこびりつくと重たかった。ショートカットするライダーが大勢いたし、第三者の手助けも受けていたので、できたらヒート1のリザルトも無効にすべきだと思う。」