'06年FIMモトクロス世界選手権第13戦が8月27日に北アイルランドのデザートマーチンで行われた。
CRF450Rに乗るジョシュア・コピンズ選手(CAS Honda)は復帰後6戦連続となる表彰台に上がった。今回さらに重要なことは、今シーズンここまで連勝を重ねていたステファン・エバーツ選手(ヤマハ)をレース2で破ったことである。
アイルランドGPでは、コピンズ選手とすでにチャンピオンを決めているエバーツ選手の2人がすばらしい戦いを見せた。レース1ではエバーツ選手が優勝し、レース2ではコピンズ選手が優勝。その結果、総合優勝はコピンズ選手となった。
コピンズ選手のチームメイト、ケン・ド・ディッカー選手もレース1で3位、レース2で4位に入って総合3位となり、イギリスのCAS Hondaチームにとってはうれしい結果となった。
サンド・サーキットとして有名なデザートマーティンは、バンピーでラフな砂地の路面に、泥が埋め込まれたコースだ。翌週、第14戦オランダGPが行われるリーロップのコースは、デザートマーチンよりさらに砂の深いテクニカルなコースであるため、今回は翌週へ向けての適切なトレーニングとなるはずだった。しかし、実際には、気温が低く、時折り強く雨が叩きつけるという悪天候だったため、ライダーたちにとっては体力的にも厳しい試練となった。
土曜日の予選ではコピンズ選手が今シーズン初のポールポジションを獲得した。コピンズ選手がデザートマーチンでポールを取ったのは2回目のことである。コピンズ選手は予選の間にも入念にマシンのセットアップを行った。シリンダーヘッドを交換し、ギヤ比を変えて、翌日の決勝レースに向けて最適なセッティングを求めた。
レース1は7月30日に行われたチェコGPとまったく同じ展開となった。しかし、今回はコピンズ選手が最後までエバーツ選手を追いかけ、0.7秒差で2位となった。コピンズ選手は数回エバーツ選手に並びかけたが、エバーツ選手を抜くところまではいかなかった。
しかし、レース2ではコピンズ選手がリベンジを果たした。ホールショットを決めたコピンズ選手は、その後、エバーツ選手に抜かれた。2人は何度もトップの順位を入れ替えたが、残り約3分の1の時点でコピンズ選手がエバーツ選手を振り切ることに成功した。コピンズ選手とエバーツ選手は4位以下のライダーを全員周回遅れにする勢いで快走した。ラスト10分のところでエバーツ選手が若干スピードを落とし、優勝争いの決着がついた。
今回はド・ディッカー選手も大健闘した。レース1ではオープニングラップで転倒したが、14位から追い上げて3位。レース2でもKTMのジョナサン・バラガン選手に次いで4位に入り、総合3位となっている。
CAS Hondaチームが大活躍したのに対して、Martin Hondaにとって今回は散々な週末となった。フランシスコ・ガルシア・ビコ選手は、南アフリカGPで傷めた左足のくるぶしがまだ痛むため、今回は予選落ちとなってしまった。このためビコ選手は日曜日の朝にベルギーの本拠地に戻った。ビコ選手はくるぶしのじん帯を傷めているため、さらに治療を受けることになっている。
ビコ選手のチームメイト、ブライアン・ヨルゲンセン選手は、今回欠場となった。背中の痛みを治療するために副腎皮質ホルモンの注射療法を受けているヨルゲンセン選手は、次のオランダGPには復帰できる予定だ。
今回、Martin Hondaのライダーで唯一決勝レースに出場したのはクリスチャン・ベッジ選手だったが、来週スイスのロッゲンブルグで開催されるMX3世界選手権の最終戦に出場するベッジ選手は、慎重にならざるをえなかった。それでもレース1では10位とMX1での自己最高位を記録したベッジ選手だったが、レース2では他のライダーと接触してハンドルバーが曲がってしまったためリタイアに終わった。
地元のゴードン・クロッカード選手(Wulfsport Honda)はレース1で5位に入っている。
第13戦を終えて、ランキングトップはすでにチャンピオンを決めているエバーツ選手(639ポイント)。Honda勢トップのド・ディッカー選手(409ポイント)は現在ランキング4位だが、3位のスティーブ・ラモン選手(スズキ、418ポイント)との差は9ポイントと迫っている。コピンズ選手(249ポイント)は前半7戦を欠場しているのにもかかわらずランキング7位に浮上してきた。
今シーズンのMX1世界選手権も残りは2戦。第14戦は9月3日にオランダのリーロップで行われ、最終戦は9月17日にフランスのエルニーで行われる。その後、9月24日には第60回モトクロス・デ・ナシオンが開催される。
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