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故障から復活し、今季初の表彰台を獲得したコピンズ |
モトクロス世界選手権第9戦が行われたオランダのリーロップは、アインドホーベンの西にあり、深いサンドで有名なコース。明け方に発生した濃霧のため、レース・スケジュールは大幅に遅れ、最初に行われる予定だった125ccレースは午後4時からのスタートに変更された。午前11時半には霧も晴れたが、ウォームアップ走行の時間は短縮。そして、最初に行われたのがモトクロスGPのレースとなったのである。
モトクロスGPの決勝レースでは、CAS Honda Racingのジョシュア・コピンズがホールショットを奪った。しかし、すぐに、サンド・スペシャリストのステファン・エバーツ(Yamaha)とジョエル・スメッツ(KTM)にかわされてしまう。その後、コピンズはチームメイトのゴードン・クロッカードと熾烈な3位争いを繰り広げることになった。
しかし、コピンズはウープの出口で転倒。代わって3位に上がったクロッカードだったが、週末ずっとひどい風邪をひいていたクロッカードは体力消耗が激く、コピンズが再び追い上げてきたとき、クロッカードも砂地にホイールを取られて転倒してしまった。4ストローク、450ccマシンを起こして必死でキックスタートを試みるクロッカードだったが、その時点で完全にバテており、2周を残して再スタートを切ることができなかった。ゴール後に医務室に運ばれたクロッカードは脱水症状だと診断され、さらに手首の靭帯が伸びていることも判明した。
一方、3位に入ったコピンズは、シーズン開幕前に負った重傷を乗り越えて、嬉しい表彰台となったのである。コピンズのもうひとりのチームメイト、熱田孝高は1周目の13位から追い上げて8位でフィニッシュした。7位にはHonda250ccマシンに乗る、英国オープン選手権のチャンピオン、ポール・クーパーが入り、9位にはRWJ Hondaのジェームス・ノーブルが入った。これによりトップ10に4台、Hondaが入ったのである。
結局、モトクロスGPで優勝したのはエバーツで、今回も125ccレースとのダブル・ウインを達成。2位は32秒遅れでスメッツとなった。ランキングでもエバーツが2位のスメッツに10ポイント差でトップ。シーズン序盤にランキング首位につけていたミカエル・ピション(Suzuki)は今回2度転倒して6位に終わったため、ランキングでも3位に転落した。Honda勢では、ブライアン・ヨルゲンセンがランキング4位、熱田孝高が同8位、クロッカードが同10位につけている。
CAS Honda Racingのチーム・マネージャー、ロジャー・ハーベイは次のように語っている。 「今回コピンズは大健闘してくれた。シーズン開幕前の負傷を考えると、5位に入れば上出来だと思っていたのが3位だからね。クロッカードは風邪で抗生物質を飲んでいたとはいえ、最後まで体力を持たせて欲しかった。熱田はサンド・トラックを得意としていないのにジェームス・ノーブルを抑えて、よく頑張った。予選結果が28位だったから、8位に入れるとは思っていなかった。今回はトップ10に4台のHondaが入った。毎回この調子でいきたい」
●ジョシュア・コピンズ(モトクロスGP 3位) 「ようやく本来の調子が出てきた。エバーツ、スメッツ、ピションの3人は別格だけど、その次のグループに加われるようになってきた。体力的にも大丈夫だと分ったので、これを来年につなげていきたい。昨年12月に負傷した時、6か月間はマシンに乗れないと言われたことを思えば、3位に入れてとても嬉しい。今回はエバーツとスメッツの方がサンドを得意としていた。序盤はひとりで走っていたので緊張したけど、クロッカードに抜かれた時、彼についていくことを決めた。一度転倒したが、追い上げている時にクロッカードが転倒したので、これで表彰台に上れると思った」
●熱田孝高(モトクロスGP 8位) 「サンドはあまり好きではないので、今回の結果には満足しています。スタートはまずまずで、序盤は10位ぐらいにつけていました。でも皆、クレイジーな走りをしていて、クラッシュが続出していました。僕も必死で走り、いくつか順位を上げたのですが、終盤疲れてしまい、何人かに抜かれてしまいました。その後は集中力が途切れて転倒しないように、気をつけて走りました。8位は悪くないし、またポイントも取れたので良かったと思います」
●ゴードン・クロッカード(モトクロスGP 20位) 「今週末は体力的にきつかった。クラッシュしたあと、マシンを再スタートさせることができなかった。気温も高かったが、エンジンの熱も熱かった。先週末にデザート・マルタンのレースに出場した時に胃を悪くしたので、抗生物質を飲んでいた。さらに風邪をひいてしまったので、体力がなかったんだ」
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