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前戦の負傷を感じさせない果敢な走りを見せたクロッカード |
モトクロス世界選手権第3戦は5月4日にドイツのトイチェンタルで行われた。
第2戦オランダ大会で肩を脱臼したCAS Honda Racingのゴードン・クロッカードは、今回は抜群のスタートを切り、昨年度のチャンピオン、ミカエル・ピション(スズキ)に続いて2位に入った。
Honda4ストローク、450ccマシンに乗るクロッカードは、ホールショットを奪ったが、その直後にピションとTiscali Hondaのブライアン・ヨルゲンセンに抜かれた。
一刻も早くヨルゲンセンを抜いてトップを走行するピションを追いたかったクロッカードだったが、ヨルゲンセンにラインをブロックされ、なかなかペースが上がらない。32分+2周のレースで、3周をかけてようやく2位に上がった時点では、ピションはすでに逃げの体制に入っていた。
しかし、クロッカードはそこから猛然と追い上げ、ピションの背後にまで迫った。ピションをかわそうと、何度か仕掛けるクロッカード。しかし、今季すでに2勝を挙げているピションはクロッカードのアタックを許さなかった。
結局、終盤になると負傷上がりのクロッカードの体力が落ち、クロッカードは2位で満足せざるをえなくなった。優勝したピションの2.906秒後に2位でチェッカーフラッグを受けたクロッカードは、手のひらの血豆をつぶし、グローブが血だらけという壮絶な状態で、表彰台のポジションを掴んだのである。
3位にはKTMのジョエル・スメッツが入ったが、クロッカードとスメッツの差も約2秒あり、クロッカードは2位のポジションを楽にキープすることができたのだった。
ちなみにクロッカードは3戦を終えた段階でランキング・トップのピションと35点差でランキング6位につけている。
序盤クロッカードを悩ませたヨルゲンセンは、今回6位に入り、ランキングでも4位のケネス・グンダーセン(カワサキ)と1ポイント差の5位につけている。
元全日本チャンピオンの熱田孝高はトイチェンタルのコースとあまり相性が良くなかったようで、予選ではポールポジションのピションより3秒遅いタイムしか出せず、26位に終わった。
決勝レースで熱田は中番手グループから必死で追い上げたが、11位でフィニッシュするのが精一杯だった。
CAS Honda Racingのチーム・マネージャー、ニール・プリンスはクロッカードが2位に入ったことに満足していた。
「負傷からの復帰第1戦で表彰台に上がれるライダーはそうざらにいない。クロッカードは真のファイターだ。彼は身体の具合が悪くて、抱えられてマシンに乗せてもらうというような状況でも優勝を狙って全力を尽くすんだ。今回も彼が2位に入ったので皆びっくりしただろう。でも、我々は彼が優勝を狙っていることを知っていた。どんな痛みに耐えてでも、彼は決して諦めないんだ。ポイント・リーダーのピションとの差は35ポイントあるけど、残り9戦あるので、チャンピオン争いはまだ分からない。クロッカードにも十分チャンスはあるだろう」
●ゴードン・クロッカード(モトクロスGP 2位)
「ピションの前でホールショットを決めることができたときには嬉しかった。でも、その後ピションとヨルゲンセンに抜かれた。ヨルゲンセンはチャンピオン争いをする相手ではないと分かっていたから、早く抜いてしまいたかったのだけど、至るところでラインをブロックされて、抜くのに3周もかかってしまった。その後、必死でピションに追いつき、何度か彼を抜くチャンスもあった。でも、もしピションを抜くことができても、すぐに抜き返されると分かっていた。僕は前回肩を負傷して以来、3週間バイクに乗っていなかった。今回のレースの2日前にようやくバイクに乗れるようになったんだ。そんな状態で優勝できるほど甘くないということは分かっていた。おまけに終盤は血豆がつぶれてグローブが血だらけになるほどひどくなっていたんだ」
●熱田孝高 (モトクロスGP 11位)
「予選結果が悪く、コースの端の方からのスタートになるので、ハードなレースになると分かっていました。案の定、中盤手グループの混戦に巻き込まれてしまいました。1周目に数台抜いたのですが、その後は2人抜いて11位でフィニッシュするのが精一杯で、すごくフラストレーションの溜まるレースでした。途中で誰かとぶつかってシフトレバーが曲がってしまいましたが、走りにさほど影響は出ませんでした。今回はとてもスピードの出るコースでした。11位という結果に関しては言い訳できません」
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