HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.10.24 Vol.179 Round 16
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

マルケスがポール・トゥ・ウインで今季6勝目。タイトルに王手をかける

日本GPからの連戦となった第16戦オーストラリアGPは、ツインリンクもてぎ同様、不安定な天候となりました。目まぐるしく変わる路面コンディションは選手にとってもチームにとっても厳しい条件となりましたが、ドライでもウエットでも快調にラップを刻んだマルク・マルケスが、予選では今季7回目のポールポジション(PP)を獲得、決勝では7台に膨れあがったトップグループの戦いを制して今季6勝目を挙げ、2戦を残してついにタイトルへ王手をかけました。

前戦日本GPは、3日間連続のウエットコンディションとなりました。加えて、ストップ&ゴーのツインリンクもてぎを得意とするドゥカティ勢を相手に厳しい戦いを強いられ、総合2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)が優勝。わずかの差で2位に終わったマルケスは、16点差を11点差に縮められました。しかし、フィリップアイランドを得意とするマルケスは、予選では4年連続PP、決勝では、7台のトップ集団の中で積極的に前に出る作戦を取り、ラスト8周でスパートをかけて27周のレースを制しました。

これで、今大会13位に終わったドヴィツィオーゾに33点差をつけてタイトル王手。次戦でドヴィツィオーゾに25点差(ドヴィツィオーゾが優勝した場合は26点差以上)、もしくは先着すれば自力でのチャンピオンが決定します。シーズン終盤戦の最大の山場と言われた日本、オーストラリア、マレーシアの3連戦。2戦を終えてついにマルケスがタイトル王手となりましたが、その戦いをRepsol Honda Teamのリビオ・スッポ監督に振り返ってもらいました。

―今大会も不安定な天候となりました。フィリップアイランドでの戦略について教えてください。

「不安定な天候となり、さまざまなことが複雑になってしまったため、難しい週末になりました。グリッドで、マルクとダニはリアタイヤをソフトにすることに決めました。そのためレース終了までいいペースを保てるようにタイヤマネジメントが必要になることも理解していました。ここフィリップアイランドではいつものことですが、速いライダーが大勢います。そういう状況の中でマルクにとって最大の課題は、先頭集団の中でのトラブルを避けることでした。ダニは残念なことに最初に膨らんでしまって先頭集団から離されてしまいました。彼にとっては難しいレースになったと思います」

―レースを終えて、よかった点と悪かった点について教えてください。

「よかった点はマルクがレース全体を通して完ぺきな仕事をしたことです。残り数ラップになったときにプッシュして、わずかにギャップを稼いたことが、今シーズン6度目の勝利とチャンピオンシップポイントで今大会だけで22ポイントものリードを得ることにつながりました。悪かった点は、ダニが思っていたよりも苦戦してしまったことです」

―レース中、ピットウォールから見ていた感想をお聞かせください。

「マルクがタイヤを温存しなければならないことは分かっていたので、序盤、彼がリードしなくても心配はしていませんでした。もちろんレース中にバトルが激しくなり、少しナーバスになりました。このような状況ではトラブルに巻き込まれやすいからです。でも、彼が少しギャップを広げたとき、ようやく安心しました。ダニが序盤の小さなミスでポジションを落としてしまったのは残念でしたが、戦い続けてポイント圏内でフィニッシュしたことはうれしいです」

―日本GPに続き、オーストラリアGPも天候が不安定となり、レース展開はスリリングなものとなりました。日本GPではマルクがドゥカティ勢とバトルをしました。ここフィリップアイランドではヤマハライダーたちとのバトルとなりました。マルクがどのようなコンディションやサーキットでも強い秘訣はなんですか。

「カタルニアGP以降、マルクはRCVに対していい感触を得ていて、このために基本的にどこのサーキットでも、どのようなコンディションでも、高い競争力を持っていると思います。もちろん、大きな要因は彼のすばらしい才能にありますが、マルクの好みのバイクになるよう懸命に努力している彼のチームやエンジニアたちのおかげでもあります」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「決勝朝のウォームアップ走行のあと、500ccクラスの元世界チャンピオンであるミック・ドゥーハンが、マルクとダニに会いにHRCのガレージに来てくれました。彼らを見ていているときに、いま、この瞬間、このガレージには13もの世界タイトルが存在しているんだと思いましたね」
(ドゥーハン氏5回、マルケス5回、ペドロサ3回のタイトルを獲得)

今季最も厳しい3連戦。2戦を終えて2位&優勝と安定したリザルトを残してきたマルケスは、ついにタイトルへ王手をかけました。その差、33点。マルケスにとって今年のマレーシアGPは、今季最も緊張する戦いになります。そのマルケスに対して、チームも全力でサポート。3連戦最後のレースは、世界中が注目する大会となります。

また、日本GP、オーストラリアGPと不安定な天候に翻ろうされてリタイア&12位に終わったダニ・ペドロサは、この2戦で総合4位から5位へとポジションを1つ落としました。残り2戦、総合4位をかけた戦いとなります。

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