HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.08.30 Vol.175 Round 12
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

快晴のイギリスは、今シーズン最も厳しい結末に

第12戦イギリスGPは、天候に恵まれた大会となり、決勝は青空の広がる絶好のコンディションの中で行われました。レースは4戦連続今季6度目のポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケスを始め、フロントローから決勝に挑んだバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)とカル・クラッチロー(LCR Honda)、2列目スタートのマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)とアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)の5台がトップグループを形成する激しい戦いとなりました。

この日の気温は25℃、路面温度は36℃。レースウイークを通じて最も気温も路面温度も高くなり、タイヤに厳しいコンディションとなりました。そのため選手たちは、タイヤを温存する作戦をとり、終盤の勝負所に向けてライバルたちの走りをうかがっていました。もちろん、シルバーストーンでは2年ぶり4度目のPPを獲得したマルケスも、トップグループの中盤につけて、後半の勝負に備えていました。

しかし、14周目の7コーナーまでのロングストレートでエンジントラブルが発生し、コース脇にマシンを止めてリタイアすることになりました。原因は調査中ですが、十分に優勝、悪くても表彰台を狙える走りだっただけに、マルケスにとっても、Honda陣営にとっても残念な結果に終わりました。

一方、チームメートのダニ・ペドロサは、年々ひどくなるバンピーな路面に苦戦し、フリー走行、予選とバンプ対策に多くの時間を割きました。その結果、なんとか7番グリッドを獲得しましたが、決勝ではトップグループに加われず7位でフィニッシュ。安定した走りで表彰台の常連になっていたペドロサとしては不完全燃焼のレースとなりました。

Honda勢の今大会のベストリザルトは、ホームグランプリに気合を入れたクラッチローの4位。Honda勢にとっては表彰台にだれも立てない悔しい結果となりました。今季、最も厳しい結末となったイギリスGP。Repsol Honda Teamのリビオ・スッポ監督が今大会を振り返ります。

―今季で最も厳しい結果となりました。今大会の戦略はどういうものでしたか?

「マルクの戦略は、レース序盤にタイヤをそれほど消耗させず、トップグループについていき終盤にアタックするというものでした。残念ながら3番手を走行していた14周目にエンジントラブルが起きてしまい、彼のレースはそこで終わってしまいました。ダニは、このバンピーなコースに合うセットアップを見つけることに苦戦しました。そのため、レースを通してできるだけいいペースをキープする戦略で、彼はそれを成し遂げました」

―今大会のポジティブポイントと、もしネガティブポイントがあれば教えてください。

「ポジティブなことは、マルクがレースウイーク中、そしてレース中に出したスピードですね。 昨日の予選ではポールポジションを獲得し、レースでは新しいラップレコードを出しました。また、カル・クラッチローは惜しくも4位でしたが、レースウイークを通して速さがありました。ネガティブなことは、マルクに起きたテクニカルな問題と、ダニが苦戦したことです」

―レース中、ピットウォールから見ていた感想は?

「明らかなことは、マルクがとてもいい仕事をしたことです。前を走る選手のスピードを維持し、レース終盤のアタックのタイミングを待っていました。残念なことは、プッシュする準備ができたときに問題が起きたことです。正直、Repsol Honda Teamがレース中にエンジンの問題を起こしたのがいつなのか記憶にありません。しかし、今日それが起きてしまい、本当に申し訳なく思っています。ダニに関しては、上位のライダーたちと戦うには十分ではありませんでしたが、プラクティスのときよりもいいペースをキープできたことはうれしく思っています」

―2018年シーズンは、Moto2クラスから3人のルーキーがHondaのMotoGPチームに加わります。彼らに期待することは?

「彼らは全員、今シーズンMoto2クラスでとても活躍しています。我々のマシンでMotoGPデビューを飾ることをとてもうれしく思っています。来年、彼らは新しいカテゴリーに自分自身を合わせなければなりません。そしてマシンのパワー、カーボンブレーキ、電子制御などを学ばなければなりません。簡単なことではありませんが、彼らにはポテンシャルがあると信じています」

―今大会のインサイドストーリーを教えてください。

「金曜の夜に『Two Wheels For Life』のチャリティーオークションの落札者と我々のホスピタリティーで夕食会がありました。モータースポーツへの熱い思いを、チャリティーのサポートに貢献できるような人々に会えることはすばらしいことでした。イギリスで新しく2人の友人ができてうれしいです」

後半戦のスタートとなったチェコGP、オーストリアGPの2連戦で、優勝、2位とすばらしい結果を残してきたマルケスですが、後半の3戦目となったイギリスGPは、今季3度目のノーポイントレースとなりました。この結果、総合首位に浮上したドヴィツィオーゾを9点差で追うかたちとなりました。開幕戦から接戦が続いているチャンピオンシップですが、残り6戦、マルケスの走りと逆転に大きな期待が寄せられます。また、ペドロサも後半戦を2位、3位と連続で表彰台を獲得する順調なスタートを切りました。そして今大会は苦戦しつつも7位、総合5位をキープしてチャンピオン争いに加わっています。Repsol Honda Teamの両選手による、これからの活躍に世界中のHondaファンが声援を送ることになります。

次戦は、事前テストを済ませ準備を終えているサンマリノGP。ライバル陣営もテストを行っており、初日からレベルの高い走りになることは確実で、厳しい戦いが予想されます。チャンピオンシップにとって重要な一戦になることは間違いなく、Repsol Honda Teamの巻き返しに期待されます。

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