HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.07.05 Vol.172 Round 09
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

マルケスが8年連続でポール・トゥ・ウインを達成し、ランキングトップに躍り出る

シーズン前半戦の締めくくりとなる第9戦ドイツGPは、連戦となった第8戦オランダGP同様、雨の多い不安定なレースウイークに。そのため、2戦連続でマシンのセットアップがとても重要な戦いとなりました。Repsol Honda Teamのマルク・マルケスは、ドライでもウエットでもすばらしい走りを見せ、予選で今季3回目のポールポジションを獲得。ドライコンディションとなった決勝でも、フリー走行、予選の走りを見事に再現し、今季2勝目を挙げました。

2年連続4回目のタイトル獲得を目指すマルケスにとって、9戦が終わって2勝というリザルトは、今年のMotoGPクラスの戦いの厳しさを物語るものですが、2勝を挙げ、2位を2回、3位を1回獲得の成績で、総合首位に今季初浮上して、シーズンを折り返すことになりました。

チームメートのダニ・ペドロサも、フリー走行、予選では、ウエット、ドライともに順調にセットアップを進め、決勝を3番手からスタートし、3位でフィニッシュしました。今季5回目の表彰台に立ち、総合首位のマルケスから26点差の5位につけています。

決勝レースは、Repsol Honda Teamの2人が序盤をリード。そのあと、2列目から追い上げてきたジョナス・フォルガー(ヤマハ)が地元ファンの声援を受けてRepsol Honda Teamの2人に追いつき、3台でトップグループを形成しました。レース中盤には、ペドロサ、そしてマルケスを抜いてフォルガーがトップに浮上しますが、11周目に再びトップに立ったマルケスが、30周のレースで真っ先にチェッカーを受けました。前半でトップグループに加わったペドロサは、後半はトップグループの2人からわずかに遅れて単独走行となりましたが、後続グループとの差をしっかり見ながら、着実に走りきることに成功しました。

シーズン前半を終えて、マルケスが総合首位、ペドロサは総合5位につけています。Repsol Honda Teamにとっては、今季4回目のダブル表彰台となった第9戦ドイツGPを、リビオ・スッポ監督が振り返ります。

―今大会はRepsol Honda Teamにとっていい結果でした。今大会のレース戦略はどういうものでしたか?

「マルクもダニもいいペースがありました。2人ともにフロントローからのスタートだったので、2人の戦略はいいスタートを切って上位をキープし、タイヤのマネジメントをすることでした。すべてうまくいきましたが、正直、フォルガーがレースを通してあれほど速さを見せるとは思っていませんでした。とにかく、マルクはこのサーキットで8年連続、MotoGPクラスでは5度目の優勝となり、敵なしです。うれしく思っています」

―今大会のポジティブポイントとネガティブポイントを教えてください。

「ポジティブなのは、レースウイークを通して2人とも戦闘的だったことです。ドライでもウエットでも、常に速い走りができました。さらに言えば、夏休みに入る前にマルクがチャンピオンシップをリードできたことは、とてもポジティブなことです。そしてダニもそれほど離れていません。上位のライダーたちに対して、ポイントを取り戻しました。今回はネガティブな面はありません」

―レース中、ピットウオールから見ていた感想はどういうものですか?

「マルクとダニがいいスタートを切って、そのままレースをリードしたのを見ているのはうれしかったですね。しかし、フォルガーがダニを、そして続いてマルクをオーバーテイクしたときは、正直とても驚きました。マルクはその状況をうまくコントロールし、最後までプッシュして、残り2周でベストラップを刻みました。ダニの方は少しトラブルがあったようで、プラクティスセッションのときのような感触がなぜかなかったようです。でも3位というポジションはとてもポジティブです」

―シーズン前半戦を終えて、その感想を聞かせてください。

「今年のシーズンは本当に予想ができません。9戦を終えて、チャンピオンシップのトップ4人であるマルケス、(マーベリック)ビニャーレス(ヤマハ)、(アンドレア)ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)、(バレンティーノ)ロッシ(ヤマハ)がわずか10ポイントの差。こういう状況になったのが前回はいつだったか、正直、覚えていないほどです。5位のダニも、トップとわずか26ポイント差です。この状況は喜ばなければなりません。マルクもダニもここまでで表彰台に5回上がりました。マルクは優勝を2回、2位を2回、そして3位を1回で、ダニは優勝を1回、3位を4回です。我々のパフォーマンスが、いかにさまざまなサーキットでかなりの強さがあるかを証明しています。もちろん、我々の弱点を改善させるために、引き続き、一生懸命取り組んでいかなければなりません。まずは数週間後のブルノでのテストからベストを尽くしたいです」

―今大会のサイドストーリーを教えてください。

「今日、マルクのアンブレラガールを務めたのは、レッドブルコンテストの優勝者です。彼女がグラフィックをデザインしたHondaのスクーターを、今週末にマルクにプレゼントしました。彼女はサーキットにいられて、とてもうれしそうでした。そしてマルクが優勝したことは、彼女の仕事に対しての最高のプレゼントになりました」

第6戦イタリアGP、第7戦カタルニアGPの2連戦、そして1週間のインターバルを挟み、第8戦オランダGP、第9戦ドイツGPと続いた2連戦。5週間で4戦という前半戦の最大の山場をマルケスは、優勝、2位、3位、6位が1回ずつというリザルトでついに総合首位に浮上しました。後半戦は、2年連続4回目のタイトル獲得に向けて、さらにリードを広げる戦いに挑みます。

また、ペドロサは、この4戦で3位を2回、13位、リタイアという結果でマルケスから26点差の総合5位ですが、チャンピオン争いにしっかり残りました。後半戦は、念願の初タイトル獲得に向けて巻き返しに挑みます。

MotoGPは、これから約1カ月間の夏休みに突入します。後半戦もまた、第10戦チェコGP、第11戦オーストリアGPの2連戦で幕を開けます。気の抜けない戦いが続くだけに、Repsol Honda Teamは、後半戦に向けて2日間のテストを実施。タイトル獲得に向けて、後半戦のスタートとなるチェコGPに全力で挑むことになります。

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