HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.05.11 Vol.167 Round 04
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

ホームグランプリを制し、両ライダーが本格的にタイトル争いに加わる

ヨーロッパラウンドの初戦となった第4戦スペインGPは、ホームグランプリに闘志を燃やすダニ・ペドロサが今季初優勝を達成。マルク・マルケスが2位でフィニッシュし、Repsol Honda Teamが今季初の1-2フィニッシュを果たしました。

金曜日は路面コンディションがウエットからドライへと変わる不安定な一日。しかし、土曜日、日曜日と天候は回復し、最高気温も土曜日は25℃、日曜日は28℃まで上昇、終日青空の広がる快晴となりました。

ペドロサは、FP1からFP3まですべてのセッションでトップタイムをマークしてQ2進出を果たし、予選でも今季初のポールポジションを獲得しました。決勝では好スタートを切ると序盤から快調にラップを刻み、2番手を走るマルケスとの間に約1.5秒のリードを築き、その差をキープして27周のレースを走りきりました。

これでペドロサは、2006年にMotoGPクラスにデビューしてから、スペイン・へレスでは12年間で3勝を含む10度の表彰台を獲得。MotoGPクラス通算30勝目を挙げました(通算53勝目は歴代8番目)。一昨年は腕の手術のために欠場、昨年は4位でしたが、再び、このサーキットを得意とするペドロサが、RC213Vのパフォーマンスを遺憾なく発揮し、ライバルを圧倒しました。

2位のマルケスは、13年のデビューから5年連続で表彰台に立ちました。ヘレスは、マルケスにとって苦手なサーキットの一つですが、今大会は表彰台に立つことを目標に戦ってきました。その目標を達成し、これからの戦いに向けて貴重なデータを獲得、大きな成果を残しました。

Repsol Honda Teamにとって1-2フィニッシュは、15年のドイツGP以来、2年ぶり。前戦アメリカズGPに続いて、Repsol Honda Teamの両選手が表彰台に立ちました。ペドロサの復調は、RC213Vのパフォーマンスを一段と際立たせることになりました。

ホームグランプリで、すばらしい走りを披露したRepsol Honda Team。リビオ・スッポ監督がスペインGPを振り返ります。

―Repsol Honda Teamは今季初めての1-2フィニッシュを果たしました。両選手にとってホームグランプリとなったスペインGPのレースの戦略はどういうものでしたか?

「天候に恵まれた日曜日の決勝は、両選手ともに優勝争いができると確信していました。ダニがトップグリッド、マルクが2番グリッドという絶好の位置からのスタートでしたからね。ただ一つだけ不確定な要素としては、前日の土曜日に比べて気温が高くなったことでした。そのため、すべてのライダーがタイヤのマネージメントに全力を尽くさなければならなくなっていました。
ダニはフロントにハード、リアにミディアムを選択。マルクは前後ともにハードを選びました。基本的にこの選択で気をつけなければならないのは、序盤にプッシュしすぎないこと。そして、後半に向けてタイヤを持たせる走りをしなければいけないということでした。その意味では、すばらしい仕事をしました。また、ダニは序盤にギャップを得ることができましたが、対照的にマルクは、タイヤが暖まるのを待たなければならず、これがダニの優勝の要因の一つとなりました」

―今回のレースのポジティブポイントと、もしネガティブなポイントがあるとすればどんなことでしょうか?

「ポジティブな点は、この数年、我々が苦労してきたサーキットで、Honda勢全員がいい走りをできたことですね。Repsol Honda Teamにとっては、今季初の1-2フィニッシュとなりました。マイナスポイントは、Repsol Honda Teamについては見あたりません。予選と決勝ともに1-2でしたからね。しかし、今大会、フリー、予選といい走りをしていたカル(クラッチロー)、ジャック(ミラー)、ティト(ラバト)が、決勝では、3人ともに転倒リタイアに終わったことがとても残念でした」

―レース中、ピットウォークから見ていて、どんな気持ちでしたか?

「とても感動的でしたね。ダニとマルクの差は、レースを通じて基本的に変わりませんでした。もし、マルクがダニに接近することができていたら、きっと、すばらしい優勝争いになったのではないかと思っています。とは言っても、終盤までプッシュし続けたマルクが、最終ラップに2位をキープする走りに変えたときには、正直、安心することができました」

―ダニは06年から17年までの12年間で3勝、10度の表彰台に立ちました。彼がこのサーキットを得意とする理由はなんでしょうか?

「すべてのライダーにとって、特に得意とするサーキットがあります。ダニにとってヘレスは間違いなくベストサーキットの一つだと思いますね。彼のライディングスタイルが、ヘレス攻略にとって完ぺきだということを、改めて証明するレースでしたね」

―ヨーロッパラウンドの初戦となったスペインGPですが、なにか特別なことはありましたか?

「今大会は、マシンとパーツを輸送するRepsol Honda Teamの2台の新しいトラックのデビューでした。この冬に準備を進めていたもので、輸送や保管という目的だけではなく、レースウイークには、ライダーが着替えやリラックスするための部屋とテクニカルミーティングを行うためにすばらしい部屋を用意できるようにしました」

シーズン序盤の2戦、タイヤ選択などで、やや苦戦したRepsol Honda Teamですが、前戦アメリカズGP、そしてヨーロッパラウンドの初戦となったスペインGPと、2戦連続で両選手が表彰台に立ち、着実にウインターテストの成果を発揮することになりました。

この結果、ペドロサは、総合首位で総合4位。バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)に10点差に迫り、チャンピオン争いに復帰しました。ウインターテストで手応えを感じていたペドロサですが、その手応えを2戦連続で結果につなげたことでピットのムードも上々でした。

また、2年連続4度目のタイトル獲得を目指すマルケスも、苦手とするサーキットで表彰台に立ちました。デビューした13年は2位、14年にキャリア初となるヘレス初優勝を達成、15年2位、16年3位。今年も2位でフィニッシュしたことで5年連続で表彰台に立ちました。
このサーキットで表彰台に立つことが、マルケスにとってはとても重要なことであり、2戦連続で総合2位のマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)と総合首位のロッシに先着、ビニャーレスに2点差、ロッシに4点差に迫り、序盤の2戦の遅れを取り戻すことに成功しました。

マルケスにとっては、やっとチャンピオン争いがスタート。復調のペドロサもチャンピオン争いに加わりました。ヨーロッパラウンドが本格化するこれからの戦いに注目されます。

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