HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.04.12 Vol.165 Round 02
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

悔しいリザルトの中でも見えた光明

中東の国カタールから南米へと舞台を移した第2戦アルゼンチンGPは、Repsol Honda Teamにとって残念な結果に終わりました。

今季初のポールポジション(PP)を獲得、同地では初開催となった2014年から、4年連続でPPの獲得となったマルク・マルケスは、好スタートから4周目までトップを快走しましたが、4周目の2コーナーで転倒してリタイアとなりました。

開幕戦カタールGP同様、不安定な天候となったアルゼンチンGP。金曜日のフリー走行はドライで、土曜日のフリー走行と予選はウエットに。その中でマルケスは、ドライコンディションで2番手タイム、ウエットコンディションでトップタイムをマーク。ウォームアップでも2番手と、順調に準備を進めました。

そして、このウォームアップでいいセットアップを見つけたというマルケス。好スタートを切ると、オープニングラップから後続を引き離します。タイヤの選択も予定通りで、2周目、3周目と周回をこなし、この時点で2番手以下に2秒以上のリードを築きます。過去の3大会で2勝を挙げているマルケスの、大会2連覇と3度目の優勝をだれもが確信する序盤でしたが、4コーナーのブレーキングで足をすくわれて転倒リタイアとなりました。

チームメートのダニ・ペドロサは、予選5番手から序盤は混戦の中でもまれます。その後、着実に前車をパス、グループの先頭に立ち、トップグループを追いました。そんな状況で迎えたレース中盤の14周目に、マルケスと同じ2コーナーのブレーキングでフロントから転倒し、惜しくもリタイアとなりました。

転倒の原因についてペドロサは、年々悪くなるテルマス・デ・リオ・オンドの路面コンディションにあると振り返ります。予期せぬ転倒に両選手にとってはもちろんのこと、チームスタッフにとっても悔しいレースとなりました。

Repsol Honda Teamの両選手がリタイアするのは、14年のオーストラリアGP以来のこと。次戦アメリカズGPは、この悔しさをぶつける大会になります。そして、Repsol Honda Teamにとっては、3年ぶりのゼロポイントレース。リビオ・スッポ監督がそのレースを振り返ります。

―とても残念なレースでした。不安定なコンディションでしたが、アルゼンチンGPのレース戦略はどういうものでしたか?

「決勝日のウォームアップでマルクはとてもよくて、ドライコンディションでいいセットアップを見つけました。そのため、彼の戦略はいいスタートを切ってトップに立ち、最初からプッシュすることでした。ですが、残念なことに2コーナーで転倒してしまいました。小さなミスは大きな代償となりました。ダニもまた、表彰台を獲得できるペースでした。スタートはよかったのですが、その後、混戦の中で(ダニロ)ペトルッチ(ドゥカティ)を抜くのに多くの時間を浪費しました。これはダニにとって予定外のことでした。そして、ようやくペトルッチをパス、前のグループとのギャップを縮めるためにプッシュを開始しました。しかし、マルクと同じコーナーで転倒してしまいました。今日は我々のライダーにとっては、いい一日とはなりませんでした」

―今大会のポジティブなポイントとネガティブなポイントがあるとすれば、なんでしょうか?

「ポジティブなことは、マルクとダニがともに、いいペースで走れたということです。ダニはレース中に2番目のラップを記録しているし、優勝したマーベリック(ビニャーレス、ヤマハ)のベストラップと、わずか0.046秒差でした。さらに、Honda勢では、カル(クラッチロー、LCR Honda)が表彰台に立ったことですね。これは、RCV213Vにこのコースでの競争力があったことを意味しています。とはいっても、これで満足するわけにはいかないですし、より一層の改善に取り組むつもりです。ネガティブなポイントは、言うまでもなく、2人のライダーが転倒リタイアに終わったことですね。でも、これがレースです」

―レース中、ピットウオールから見ていて、どんな気持ちでしたか?

「マルクは非常にいいスタートを切り、オープニングラップから大きなリードを築きました。これはとてもうれしかったですね。しかし、彼がトップの座から姿を消したときは、本当に残念な気持ちでした。ダニは1周目に遅れ、ペトルッチに先行されてなかなか抜けなかったこと。それがなければ、トップグループとの差を縮めていけたと思います。残念なことに、ダニもクラッシュしてしまい、Repsol Honda Teamにとってはその時点で“試合終了”でした」

―今大会のサイドストーリーがあれば教えてください。

「金曜日の夜に、私たちはホテル内のレストランに各国のメディアを招待して夕食をとりました。昨シーズンもここでディナーを開催しており、伝統となりつつあります。レースについて話すだけでなく、お互いをよく知る機会となりました。一緒にリラックスした時間を過ごせたし、とてもよかったと思います」

―マルクとダニにとっては残念なレースでしたが、どんな言葉をかけましたか? また、彼らが失望しているときには、どんな言葉をかけたいですか?

「私たちは、ライダーにはいつもポジティブな気持ちでいてもらいたいと考えています。今日のようなレースで最も重要なのは、とにかく、ライダーがケガをしていないということですね。彼らの気分をよくしてあげるのはとても難しいことですが、その日のポジティブなポイントを強調し、次のレースについて考えてみることです」

Repsol Honda TeamにとってアルゼンチンGPは、フリー走行から予選までの走りを結果につなげられず、とても残念なレースとなりました。開幕戦カタールGPと第2戦アルゼンチンGPで勝利できなかった理由はそれぞれですが、同時に、マルケスとペドロサの両選手が、優勝争いができることを確信できるレースになりました。

第3戦アメリカズGPが開催されるサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、Repsol Honda Teamにとって巻き返しのスタート地点となります。2年連続4度目のチャンピオンを目指すマルケスにとっては、4年連続でPPと優勝を達成している相性のいいサーキットであり、ここからチャンピオンシップでの追い上げを開始します。ペドロサもまた、マルケス同様、好調な走りを結果につなげることを目標に全力を尽くします。第3戦アメリカズGPのRepsol Honda Teamの活躍に注目です。

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