2017年シーズンの開幕から2連勝という、これ以上ないスタートを切ったLeopard Racingのホアン・ミル。昨年は年間ランキングを5位で終え、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。そのシーズンで大きな転機になったのは「世界選手権での初優勝を果たした第10戦のオーストリアGP」と、振り返ります。
「初勝利は、ものすごく特別に感じるものだと思います。僕の場合は、厳しいシーズン前半戦を過ごし、サマーブレイク前の第9戦ドイツGPでも完走できませんでした。それもあってか、夏休み明けの初戦で勝てたので、とてもうれしく感じました。オーストリアGPのあとは、マシンを速く走らせる方法も分かってきて、毎戦で優勝争いができるようにもなりました」
昨年はライバルメーカーのマシンで戦っていたミルは、今年からはHonda陣営に加わりました。Honda NSF250RWの特性を理解するために開幕前から努力を続け、自らのライディングスタイルを適応させてきたと話します。
「すべてのマシンには、必ず長所があります。僕たちはプレシーズンからいいセットアップを探り続けてきました。開幕戦の結果からも、僕たちの努力は正解だったことが証明できたと思います。今のライディングスタイルは、FIM CEVレプソルインターナショナル選手権を走っていた時代のものに近いような気がします。昨年はかなり乗り方を変えて適応していたのですが、Hondaのマシンに乗っている今は、僕の本来のスタイルに戻ってきたと思います」
フル参戦2年目のシーズンを迎える今年は「昨年の経験を活かし、さらにレースで優勝することにより、自信がより深まってきた」と、言います。
「一年間で本当にたくさんを学べました。ライディング同様に、トレーニングの方法も見直しました。また、戦い方も分かってきました。オーストリアで優勝して勝ち方が分かるようになり、加えて今年の開幕戦で勝てたことで、開幕前のトレーニングの成果をしっかり発揮できました」
開幕戦と第2戦で連勝したミルは、チャンピオンの最有力選手の一人とみなされています。現在の自分を取り巻く状況について、ミルはジョーク混じりでこんなふうに話します。
「優勝すると、ポイントをたくさん獲得できてうれしいですね。でも、表彰台を逃したりすると、“苦戦している”や”遅くなった”と言われそうなのが嫌なんです。だから毎戦、しっかり準備しなくてはいけないし、その分、自分のやる気にもつながっています。シーズン最後までこの調子で戦っていける自信もありますよ」
ところで現在19歳のミルは、今でこそMoto3クラスの有力選手ですが、レースを始めた時期は10歳ごろと、スペイン人にしては比較的遅いそうです。
「僕はマヨルカ出身なのですが、最初にバイクに乗ったのは4歳のときでした。レースを始めたのは10歳のときです。ほかの選手たちと比べると、遅い方でしょうね。でも、3歳や4歳でレースを始めていたとしても、幼すぎて自分のミスをちゃんと理解することなどできなかったと思います。10歳から始めてよかったと思うのは、自分のどこを改善すればいいのか、どうすればもっと速く走れるのかを理解できるような年齢になっていたということです」
2017年シーズンは、ミルにとって昨年以上に飛躍の一年となりそうです。チャンピオン争いをする自信に関しても、シンプルで力強い言葉が返ってきました。
「狙いますよ。もちろん、できると思います！」
