Estrella Galicia 0,0 Marc VDSのジャック・ミラーは、2017年シーズンの前半9戦を終え、ランキング12位につけています。第4戦スペインGPと第7戦カタルニアGPはノーポイントで終えたものの、それ以外のレースでは毎戦ポイントを獲得。現時点で、最高峰クラスで戦ってきたこの3年では最もいい成績を収めています。
さらに、第3戦アメリカズGPから第5戦フランスGPまでは、3戦連続でQP2に進出。フランスGPでは初日にトップタイムを記録して好調な滑り出しでしたが、予選直前のFP4では、2コーナーで大きな転倒を喫し、周囲をヒヤリとさせる一幕もありました。幸い大きな負傷はなく、ミラーは予選で11番手タイムを記録。日曜の決勝レースは4列目からスタートし、シングルフィニッシュの8位というすばらしいリザルトを獲得しました。
「ほかの選手たちが問題を抱えていたおかげで、僕には少しラッキーな結果になりました。でも、それだけのものを望める位置につけていないと、レースでは結果を得ることができないのも事実です。自分の体調を考えると、コーナー立ち上がりでのマシンの引き起こしで少し苦労をしたものの、いい走りをできたと思います。トップ10圏内でフィニッシュしてランキングでも10番手につけたのはよかったです。とはいえ、シーズンはまだ序盤で、やるべきことはたくさんあります。今回はFP4で転倒するまではいい調子で進めてきたので、少し身体を休めて、次のムジェロではさらにがんばりたいと思います」
ムジェロ・サーキットで行われた第6戦イタリアGPでは、15位で終えて1ポイントを獲得しました。そして、1週間後の第7戦カタルニアGPを迎えた週末、パドックでは、ミラーが夏の鈴鹿8耐に参戦するのではないかという噂が囁かれていました。
この噂について聞かれるとミラーは、「なにかお答えしたい気持ちはあるんですが、まだ話すことはできないんですよ」と明言を避けました。ただ、その言葉に曖昧なニュアンスはなく、決して噂を完全否定するものでもありませんでした。
「もうすぐなにか発表があるでしょうね。2015年にHondaに戻ってきて以来、僕もずっと望んできたことだから、今年、そこに行けるとしたらとてもハッピーですね」
これらの言葉が示唆していた通り、第8戦オランダGP直前の6月22日に、ジャック・ミラーがMuSASHi RT HARC-PRO. Hondaから高橋巧、中上貴晶とチームを組んで、第40回鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦することが正式発表されました。金曜のフリープラクティスを終えたミラーは、「今回の8耐参戦は本当にうれしく思っています。ずっと走りたいと思っていたレースですし、屈指の最強チームに加わることができて、僕にとっては大きなチャンスです。このチャレンジが本当に楽しみです。長くて暑い夏になりますが、最高ですよ！」と笑顔で話しました。
オランダGPの開催地であるTTサーキット・アッセンは、昨年、ミラーがMotoGPクラスでの初優勝を飾ったコースです。今年のレースは5列目13番グリッドという厳しいポジションからのスタートでしたが、レースは今季ベストリザルトの6位で終えました。
「スターティンググリッドがよくなかったので、1周目序盤の右コーナーが続くセクションでは、アウト側に押し出されてタイムをロスしてしまいました。集団が落ち着き始めると、(ダニ)ペドロサ選手や(カル)クラッチロー選手のいるグループで10番手に順位を上げました。ダニといいバトルをしていると雨が降り始めたのですが、タイヤに熱を入れ続けるためにペースを維持して、6位でゴールしました。もっとリスクを冒せば表彰台を狙えたかもしれませんが、しっかりとポイントを獲得できたので、よかったと思います」
そして、シーズン前半戦の締めくくりとなる第9戦ドイツGPでは15位。9戦中7戦でポイントを獲得して、現在はランキング12番手につけています。
「ランキングは10番手以内にいたかったのですが、何度かミスをしたので、現状ではこの順位になってしまいました。それでも、41ポイントを稼げたのは悪くなかったし、年々成績がよくなっていることも示せました。シーズン後半戦はもっとがんばって、できればさらに60ポイントを獲得したいです」
このレースを終えた3日後、ミラーは鈴鹿サーキットで行われた2日間の8耐事前テストに参加しました。その翌週の11日から13日にかけて行われた合同テストにも参加し、高い順応性を発揮して、世界トップライダーの走りを披露しました。
「スーパーバイクには乗ったことがなかったので、いったいどれだけのパフォーマンスを披露できるのか、ここに来る前は自分でもよく分かりませんでした。でも、とても迅速に順応できて、乗り始めから速さを発揮できました。たっぷりとテストをしたわけではない状況でもチームメイトと接近したタイムを刻めたので、自分たちのチーム力はとても高いと思っています。僕も大いに自信をつけることができました。3人とも安定したラップタイムで、各自のロングランの内容もよかったので、いいレースウィークを迎えることができそうです。もちろん、優勝してみせますよ!」
ジャック・ミラーの熱く激しい夏の戦いは、いよいよこれからが本番です。
