Ongetta-Rivacoldで戦う20歳のニッコロ・アントネッリは、今年で5年目のMoto3シーズンを迎えます。イタリア北部の、ミサノサーキットからほど近いカットリカ出身のアントネッリは、2012年のカタールGPでデビューを飾り、2014年の最終戦バレンシアGPで初ポールポジションを獲得しました。翌年のチェコGPでは初勝利を挙げ、日本GPでも優勝。このシーズンはランキング5位で終えました。
「ほぼ毎戦で表彰台争いができて、いいシーズンでした。それまでの3年間は苦労をして何度も転倒しましたが、昨年は自分にとって大きな意味のある一年になりました。今年はさらに、有意義なシーズンにしたいと思っています」
そう語るアントネッリは、2016年シーズン優勝候補の一角と目され、開幕戦のカタールGPで期待通りの優勝を達成しました。そのままリズムよく優勝争いを続けていくかと思いきや、第2戦以降は意外な苦戦を強いられることになりました。
激戦区のMoto3クラスで狙い通りのリザルトを残せない厳しいレースが続きましたが、浮上のきっかけをつかんだのは母国開催のイタリアGPでした。ムジェロ・サーキットで行われたMoto3クラスの決勝レース、アントネッリは最終ラップの最終コーナーまでライバルたちと激しいバトルを繰り広げます。最後は惜しくも0.006秒差で表彰台を逃しましたが、自信を取り戻すきっかけをつかみました。
「ルマンとムジェロで、いいレースができるようになってきました。そこからさらにもう1ステップ前進して、表彰台を獲得したいです。Moto3クラスはいつも激しいバトルで予測が不可能ですが、いつも表彰台と勝利を目指して争うことが重要なんだと思います」
2015年のアントネッリは総合5位でシーズンを終えましたが、2016年はさらに上位を狙っています。そのために改善しなければいけないのは、高いレベルで集中力を保ち続けること、だと自分自身では考えています


「僕の長所はブレーキと進入、そしてコーナースピードだと思います。でも、集中力をもっと高めなければなりません。それが原因でミスをしてしまうこともあるし、今年は特にそういったミスが多いからです。たとえば、ムジェロの予選やオースティンの予選がそうでした。そこを改善しなければならないと思っています」
カタルニアGPではレース中に転倒を喫し、コースへ復帰したものの20位。続くオランダGPは表彰台を逃しながらも5位、という好結果で終えました。しかし、前半戦を締めくくるドイツGPの予選では、コース上のオイルに乗って転倒してしまい、それが原因で左鎖骨を骨折。決勝レースの欠場を余儀なくされました。
幸い、後半戦までは4週間近い時間があり、この期間を静養と回復にあてたアントネッリは、後半戦第10戦のオーストリアGPで復帰を果たします。負傷が完全には癒えていない身体で18位。翌週のチェコGPは、昨年初優勝を飾った相性のいいコースです。そのブルノ・サーキットでのレースは、激しい雨の中で5位フィニッシュ。
そして、いよいよ、9月は自宅から目と鼻の先のミサノワールドサーキット・マルコ・シモンチェリで開催されるサンマリノGPが待ち受けています。アントネッリは、文字通りのホームコースであるこのサーキットでこそ、最高の結果を狙っています。
ところで、アントネッリは、ミサノのサーキット名にも冠せられている故マルコ・シモンチェリに風貌が似ているとよく評されます。本人は、それらの言葉をどのように感じているのでしょうか。
「多くの人がそう言ってくれます。それは僕にとって賞賛だと思っているんです。というのも、マルコはすばらしい魅力的なライダーで、人柄もすばらしかったからです。唯一無二のキャラクターです。だから、そんな彼と似ていると言ってもらえるのはとても名誉なことです。『マルコに似ているね』と皆が言ってくれるのは、僕にとって最大の褒め言葉なんですよ」


