Honda Riders Close Up 〜ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー〜

Moto3 ホルヘ・ナバロ Estrella Galicia 0,0

Moto3 ホルヘ・ナバロ Estrella Galicia 0,0
Profile
生年月日
1996/02/03
出身地
スペイン
身長・体重
173cm・61kg
チーム(マシン)
Estrella Galicia 0,0(NSF250RW)
2015年の成績
Moto3 総合7位
Vol.2

毎戦激しいバトルが繰り広げられるMoto3クラスの中で、Estrella Galicia 0,0のホルヘ・ナバロは今季最も活躍している選手の一人です。開幕前からチャンピオン候補の一角に数えられ、シーズンが始まると期待通りの高いパフォーマンスを発揮してきました。第2戦アルゼンチンと第3戦オースティンでは連続で2位表彰台を獲得。ホームグランプリの第7戦カタルニアGPでは、今季初優勝を達成しました。この勝利はナバロにとってMoto3クラスにおける初めての優勝であり、金曜日のフリープラクティス中にアクシデントで命を落とした同じスペイン出身のMoto2ライダー、ルイス・サロム(SAG Team)に捧げる勝利という意味でも、非常に重みのある1勝になったと言えるでしょう。

 

「今日は僕自身とチームのために、そしてなによりルイスに勝利を捧げるために、どうしても勝たなければならないレースだったんです」とナバロはレースを振り返りました。

 

「本当に誇らしい気持ちで、こういう勝ち方をできたことがうれしいです。ルイスの事故を考えると、さらに感無量です。競技面でも、非常にいいレースだったと思います。金曜日の走行から今日のレースを想定して作業を進め、プラクティスでは単独走行でいいアベレージを刻むことに集中しました。Hondaが全ライダーに持ってきてくれたアップデートパーツも試し、とてもよく機能しました。マシンのフィーリングがものすごくよくなり、100%の力を出しきることができました。それが、僕が今日のレースで勝てた要因です」

 

しかし、この優勝から8日後にナバロは大きな災厄に見舞われます。次戦に向けてバレンシアでトレーニングをしている最中に転倒し、左脚のけい骨とひ骨を折ってしまったのです。バルセロナで手術を受けたナバロは、第8戦オランダGPをやむなく欠場しましたが、第9戦ドイツGPで復帰。脚を引きずりながらマシンにまたがる姿は痛々しさを感じさせましたが、雨の決勝レースではケガに負けない力強い走りをみせ、7位入賞を果たします。

 

「今日はマシンの操作が非常に難しかったです。路面はトリッキーで視界も悪かったのですが、とにかく完走してライバルたちより前でゴールすることを目指していたので、とてもいいリザルトになりました。何度か転倒しそうになってもうまく抑えることができたので、運も味方してくれました。大ケガから36日で復帰するのは大変でした。その間、僕をずっと支えてくださった方々への感謝の気持ちで一杯です。レースでは全力で走りました。これからも、ケガに負けず、がんばり続けます」

サマーブレイク開けの後半戦は、思い通りのリザルトを残せない苦しいレースが続きましたが、そんな中、朗報となったのは、名門チームFederal Oil Gresini Moto2と来季の契約をかわし、2017年は中排気量クラスへステップアップすることが決定したというニュースです。

 

「新しい挑戦に今からとてもワクワクしています。Federal Oilとファウスト・グレシーニ監督が僕を信頼してくださり、Moto3クラスの活動を高く評価していただいたことにも感謝をしています。来シーズンは、最初から充実した走りをしてみせます」

 

そして迎えた第14戦のアラゴンGPでは、土曜日の予選でフロントロー2番グリッドを獲得。このモーターランド・アラゴンは、昨年のレースで世界選手権初表彰台を獲得した地です。その相性のいいコースで、今年は優勝を達成。ホームグランプリでのドラマチックなシーズン2勝目に、会場を埋め尽くしたスペインのファンは大いに沸き立ちました。

 

「今日は典型的なMoto3のレースで、スリップストリームの使い合いで序盤から大集団になりました。序盤から攻めて少しリードを築けましたが、十分な差ではなかったのでペースを少し落としてライバルたちを前に出し、タイヤを温存することにしました。ラスト5周では集団が大きくなって(ブラッド)ビンダー(KTM)もプッシュし始めたので、僕もここが勝負どころだと思って攻めに転じました。集団の中で懸命にプッシュし、狙い通りバックストレートでは2番手につけました。そこでビンダーが僕と(エネア)バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)をパスしたのには驚きましたが、最終コーナーでは『絶対に負けない』と自分に言い聞かせてがんばりました。地元で優勝できて、本当に格別な気分です」

 

このアラゴンGPで2位に入ったビンダーが年間総合優勝を獲得しています。ナバロは現在ランキング2番手。Moto3での最終年をこの順位で飾るべく、シーズン残り4戦でも、最終ラップの最終コーナーまで全力疾走を続けます。