今年からMoto3クラスへのフル参戦を開始したファビオ・ディ・ジャンアントニオは、ローマ出身の17歳。昨年の最終戦バレンシアGPでワイルドカード参戦を経験しているので、世界選手権に参戦するのはシーズン第5戦のフランスGPが6戦目になります。フル参戦デビューを果たした今年、開幕戦カタールGPからアメリカズGPまでの3レースは、少し緊張していたと振り返ります。
「シーズン最初の3戦は未体験のコースばかりだったので、ヨーロッパから離れてレースをすることにちょっと気が張り詰めていたのかもしれませんね。ヨーロッパ以外の場所でレースをする経験は素敵でしたが、今はようやく地元に戻ってこられたという気分です」
昨年まで戦っていたレッドブルルーキーズカップでは2014年にランキング8位、昨年は2位という成績でした。この2年間は、ジャンアントニオにとって、他国や異文化の人々とコミュニケーションを図れる貴重な経験になりました。
「レッドブルルーキーズカップで学んだ重要なことの一つが英語です。今も勉強の最中です。あとはもちろん、マシンについてもたくさん勉強しています。レッドブルルーキーズカップに参戦し始めたころは、いつも後ろの方を走っていましたが、レースをするたびに走り方を学び、攻め方や上位陣の走る方法を習得していきました」
欧州ラウンドがスタートし、ここ数戦はトップ15圏内を激しく争うレースが続いていますが、残念ながらまだチャンピオンシップポイントを獲得するには至っていません。第4戦のヘレスでは最後まで激しいバトルを続けながら、最終ラップの12コーナーで転倒し、ノーポイント。第5戦ル・マンでも、ポイント圏内を争うも、17位フィニッシュでした。
「レッドブルルーキーズカップからMoto3に昇格して、新たな環境に慣れるのに時間が少しかかると思っていました。今年の最初に立てた目標は、まずトップ20に入ることで、それは第3戦アメリカズGPで達成できました。次はポイントの獲得を目指しています。少しずつよくなっている手応えがありますし、チームメートのエネア(バスティアニーニ)も、いろいろ教えてくれます。そろそろポイントを取れる手応えがあります」



子どものころからの友人で、チームメートのバスティアニーニとは知り合って10年になる間柄です。
「初めてバイクに乗ったのは5歳のときで、6歳になったときに父親からポケバイを与えられました。エネアと知り合ったのは2006年。ちょうど10年前、僕は7歳でエネアは8歳でした。それからずっと、彼と一緒に走っています」
ジャンアントニオの憧れのライダーは、おそらくほかの同年代の選手たちとは異なっています。しかし、彼の幼少期のゼッケンナンバーを見れば、勘の鋭い人ならピンとくるかもしれません。
「好きなライダーはトロイ・ベイリスです。だから、幼いころからベイリスが使っていた21番を僕も使っていました。今年もその番号で走りたかったんですが、ほかの選手が使用していたので、昨年のワイルドカード参戦のときに使った4番で参戦しています」
自分の性格に関しては、長所と短所を次のように自己分析しています。
「みんながいつもニコニコしていると言ってくれます。活力の表れだと思うので、これはきっといいことじゃないですかね。弱点はどうだろう。僕はディーゼル(イタリアで使用されるスロースターターの通称)なんですよ。バイクに限らず、何事にもディーゼルな傾向がありますね」
ということは、自身のエンジンが温まればきっと強烈なパワーを発揮するに違いありませんね。
「そうなればいいですね。僕の夢はもちろん、ほかの選手たちと同様に、MotoGPライダーになることです。何年もかかるかもしれませんが、いつか必ず世界の頂点で戦うつもりです!」

