IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

ラタパーク・ウィライロー

中上貴晶 尾野弘樹 カイルール・イダム・パウィ

ウエットで得た経験を生かして最終戦に挑む

第17戦マレーシアGPは、IDEMITSU Honda Team Asiaのラタパーク・ウィライローにとって事実上のホームグランプリと言ってもいいでしょう。会場のセパン・サーキットは、マレーシア国際空港から車で10分と非常にアクセスがよく、ウィライローの母国タイからも大勢のファンが応援に駆けつけます。

第17戦マレーシアGP  会場:セパン・サーキット
予選:26番手  決勝:24位

ラタパーク・ウィライロー

金曜日のセッションは、ときに熱帯地方特有のスコールなどに翻ろうされながらも、ウィライローは初日の走行を15番手タイムでまとめ、まずまずの走り出しになりました。

「今日は典型的なセパンの天候でしたが、15番手なので悪くなかったと思います。初日に目指していたところは、ほぼクリアできました。セットアップも進んで、ライディングの順応も進んでいます。ただ、いくつかの場所で路面にウエットパッチが残っていたので、今日は一発タイムを狙うようなことはしませんでした。セットアップに集中して、いい方向へ進めたと思います。もちろん、改善の余地はたくさんあるので、データと照らし合わせながら、これからチームとしっかりミーティングをしようと思います」

ラタパーク・ウィライロー

土曜日午後の予選はウエット状態で始まりました。45分間のセッション終了間近にはレーシングラインが少しずつ乾いてきて、スリックタイヤで走行する選手も現れました。ウィライローはこの難しいコンディションで26番手タイム。セッション終盤はタイミングが悪く、タイムアップを狙うことが厳しいと判断して、ライディングの習熟にセッション時間を活用することにしました。

「予選の終盤は非常に難しいコンディションになりました。フルウエット状態では気持ちよく走れて、どんどん攻めていけたのですが、最後は少しずつ路面が乾いてきました。この難しいコンディションでは決して気持ちよく走れていたわけではないのですが、セッションの残り時間も少なかったので、ピットボックスに戻るよりは、コース上に残ってトレーニングのつもりで最後まで走りきることにしました。明日のレースは、どんなコンディションになるのか分かりませんが、フルウエットならまだしも、路面が少しずつ乾いていくようなコンディションなら、勝負するためにセットアップ面でさらになにかを見つける必要がありそうです」

ラタパーク・ウィライロー

日曜日の決勝レースは、ウィライローが今回のウイークで最も苦手としていた流れになりました。レース前にはざっと一雨来てウエット宣言が下されましたが、長い周回のレースを経て、レーシングラインは少しずつ生乾きになっていきました。ウィライローは5周目の2コーナーで転倒を喫してしまいましたが、そこから即座にマシンを引き起こしてレースへ復帰。最後まであきらめない姿勢で懸命に走り続け、24位のチェッカーフラッグを受けました。

「僕は何事についても、ポジティブな面を捉えたいと思っています。今日のポジティブなポイントは、このコンディションで学ぶことができたということです。序盤からペースを上げてトップ集団と同じくらいのリズムで走れていたのですが、なぜか2コーナーで転んでしまいました。順位を上げていこうと思っていましたが、無理なプッシュをしていたわけではないので、なぜ転倒してしまったのかがよく分かりません。転倒に至るような前兆もなく、いきなり転んでしまいました。その際に左手を強打してしまい、引き起こしてレースに復帰してからはペースの維持が少し厳しかったです。最後まで走りきれたことを前向きに捉えたいのですが、悪いリザルトは忘れてしまいたいですね」

次はいよいよ最終戦。ウィライローは、シーズン最高のパフォーマンスを発揮するために、全力でバレンシア・サーキットを駆け抜ける決意を固めています。