
天候に翻ろうされた週末。貴重なポイントを獲得し、自信を深める
第16戦オーストラリアGP 会場:フィリップアイランド・サーキット
予選:17番手 決勝:15位
第16戦オーストラリアGPは、全選手が厳しいコンディション下で戦う週末になりました。IDEMITSU Honda Team Asiaのラタパーク・ウィライローにとってこのレースウイークは、レースリザルトの好結果に加え、レースに向き合う闘争心にさらに火が点く、充実した内容の3日間でした。

風光明媚なフィリップアイランド・サーキットは、厳しい自然条件にさらされることでも有名な場所です。今回も例外ではなく、各選手とチームは初日から雨と低温に悩まされました。金曜日午前のFP1はウエットコンディションでスタートし、午後のFP2は雨脚が強まってきてキャンセルになりました。
「明日は、天気がよくなってほしいと皆が願っていると思います。FP1の最初は15番手前後で悪くない走り出しでした。セッションが進むとコンディションがどんどん難しくなり、2回ほど転倒しそうになりました。それでもうまくセーブして転ばなかったのは、自分のライディングに対して自信を深める上で、よかったと思います。明日が雨でもさらにうまく乗れるようになると思います。自信を深め、すべてをよくしていくために、僕たちは確実にいい方向に進んでいます。でも、明日以降はできればいい天気になってほしいですね」
土曜日午前の空模様は、相変わらずのめまぐるしい変化で、寒い温度条件がさらに走行を難しくしました。このセッションでは、ウィライローとIDEMITSU Honda Team Asiaのスタッフたちは無用なリスクを避けて様子を見ることにし、午後の予選にモチベーションをぶつけました。
午後は温度条件こそ低かったもののドライセッションになり、ウィライローはトップから0.928秒という僅差で17番グリッドを獲得しました。1秒を切るタイム差でも6列目スタートになったところに、予選の激しさがよく表れています。ともあれ、このグリッドはウィライローにとって、今シーズンのベストポジションです。

「予選は難しいコンディションだったので、いいグリッドを獲得するために右へ旋回する4コーナーや10コーナーはあまり攻めすぎないように心がけました。しかし、コースの大半を占める左コーナーではがんばってプッシュしました。チームのおかげで今季のベストグリッドを獲得できたので、明日のレースに向けて非常にポジティブな心境です。この2日間はコンディションがコロコロ変わって、チームは大変だったと思います。明日はいいコンディションになってほしいですね。条件が安定すれば、僕たちはトップ15を十分に狙える状態に仕上がっている自信があります」
選手たちの願いが通じ、日曜日は朝から明るい日が差すドライコンディションになりました。しかし、空気は依然として冷たく、気温は前の2日間と同様の11℃や12℃という状態でした。それでも日が当たるために路面の温度は少しずつ上昇し、30℃台を記録しました。
午前のウォームアップでは、ウィライローはトップと0.678秒差の13番手。しっかりしたドライセッションの中でのこの位置は、まずまずと言えます。決勝レースに向けて、チームとウィライローはさらに高みを目指して準備を進めました。
午後2時30分にスタートした25周のレースは、17番グリッドからのスタート。開始直後に少し順位を下げてしまったものの、落ち着いた走りでそこから少しずつポジションを上げ、最後は15位のチェッカーフラッグを受けました。
「今週は天候に翻ろうされる難しいコンディションでしたが、ポイントを獲得できたのはよかったと思います。当初の目標にしていたトップ15を達成できましたが、僕たちはもっといいリザルトを目指せる手応えを感じています。今日のレースでも、もっと上位のグループに食らいついていければ、トップ10も可能だったと思います。チームと一丸になって今週の厳しいコンディションを転倒なく乗りきれたことは、今後に向けて自信になりました。いつもがんばってくれるチームの努力に報いるためにも、さらに上位を目指したいという気持ちで一杯です」
その口調からは、どん欲にもっと上位を目指そうとする、アスリート特有のファイティングスピリットがはっきりとうかがえました。その気持ちをぶつけるのは、次戦のマレーシアGP。ウィライローの故国タイから近く、大勢の人々が応援に駆けつけるはずです。
「セパン・サーキットには、みんなが見に来てくれます。いい結果を出してみんなに喜んでもらいたいので、全力でがんばります。目標は今回のレースよりもいい結果を得ること。できれば、トップ10を目指したいですね」