IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

ラタパーク・ウィライロー

中上貴晶 尾野弘樹 カイルール・イダム・パウィ

夏休み明け初戦で結果には現れない成果をつかむ

第10戦オーストリアGP  会場:レッドブル・リンク
予選:21番手  決勝:22位

約4週間のサマーブレイクを終えたMoto2クラスは、第10戦オーストリアGPから後半戦の戦いがスタート。しかし、IDEMITSU Honda Team Asiaのラタパーク・ウィライローは、ライバル選手たちが休んでいる間にもレース活動を続けていました。7月最終週に行われる鈴鹿8時間耐久ロードレースに、山口辰也選手、ジノ・レイ選手とともにTOHO Racingから参戦。211周を走って、11位でチェッカーフラッグを受けました。

「8耐の参戦は、とてもいいトレーニングになりました。1000ccのバイクは車格が大きく、乗り方も異なるのでMoto2とは違うテクニックを使うことになります。しかも、灼熱の過酷な環境で何回も走るので、フィジカル面でも精神面でも、とてもいいトレーニングになります。昨年も8耐に参戦しましたが、ライダーとしてとてもいい勉強ができました」

その経験を今後の走りに活かしたい、とウィライローは後半戦に向けた抱負を語りました。

ラタパーク・ウィライロー

第10戦の舞台、レッドブル・リンクは金曜午前が初走行になりました。FP1からFP2と2回のセッションを経て、着実に前進を遂げることができた、と話しました。

「順位はともかく、午前から午後にかけてステップアップできました。セットアップに少し変更を施し、ライディングポジションも今までより前乗りにしてみたことで、フロントにより加重できるようになりました。その結果、ブレーキングから旋回性が向上したことで、今まで以上に自信を持ってコーナーへ入っていくことができます。とはいえ、まだまだ改善すべき余地はたくさんあるので、明日はさらにセットアップも自分自身のライディングも煮詰めていきたいと思います」

ラタパーク・ウィライロー

土曜の走行は、午前のFP3と午後の予選を終えて7列目21番グリッドを獲得。順位は決して高い位置ではありませんが、ラップタイムはポールポジションから1.183秒。悪くはない内容です。金曜の走行でつかんだ良好な手応えを、この日はさらに確実に伸ばすことができた、と話すウィライローの口調は、いつもより滑らかな印象もありました。

「チームがすごくがんばってくれているおかげで、マシンがどんどん乗りやすくなっています。この手応えは、サマーブレイク前に実施したブルノ(チェコ)でのテストでいい内容の走り込みをできたところから来ているのだと思います。その内容を今回、有効に活かせているという実感があります。監督のタディさんからもいいアドバイスをもらって、ライディングもよくなってきました。ブレーキングの改善が旋回性のよさにつながり、今までよりもしっかりと停めて曲げることができるようになっています。

アベレージタイムもいいので、決勝ではスタートを決めれば、集団についていけると思います。とはいえ、明日の目標は、まずしっかりと完走すること。そして、可能ならばポイントを獲ることも見据えたいと思います」

19年ぶりのオーストリアGP決勝レースが行われた日曜日。9万5000人の大観衆が見守る中、ウィライローは最後まであきらめない粘りの走りを続け、25周の戦いを終えて21位でチェッカーフラッグを受けました。「まずは完走」とレース前に語っていた目標は、きっちりと達成した格好です。

「21位というリザルトには満足できませんが、この週末はいい取り組みができたと思っています。金曜朝のFP1から日曜午後の決勝まで、毎セッション着実に前進できました。自信を持つこともできたし、すべてがいい方向に進んだと思います。

今日のレースを完走したことにより、マシンについての理解もさらに進みました。今の課題は、スタートをもう少しよくすることですね。 今日も、終盤は上位10選手と同様のペースで走ることができていました。この内容を序盤から実現できていれば、レース全体でもっといい結果につなげることができていたはずです。だから、今後のレースでは、予選でしっかりとパフォーマンスを発揮していいグリッドを獲得し、決勝序盤から高い水準で走れるようにすることが、僕の次の目標です。これを実行できれば、トップ15も不可能ではないと思います。

次のブルノは、すでにテストで走行しているので、いいレースをできる自信があります。今からとても楽しみです」