IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

ラタパーク・ウィライロー

中上貴晶 尾野弘樹 カイルール・イダム・パウィ

苦手コースへ果敢に挑むも厳しい結果に

ラタパーク・ウィライロー

第9戦ドイツGP  会場:ザクセンリンク
予選:25番手  決勝:リタイア

左手親指の手術を実施し、前戦を欠場したIDEMITSU Honda Team Asiaのラタパーク・ウィライローが、第9戦ドイツGPで復帰しました。これまでのレースキャリアを振り返ると、ザクセンリンクはウィライローにとってあまり相性のよくないコースですが、今回もやはり苦戦を余儀なくされる週末になってしまいました。

母国タイで行った手術から1カ月を経て、左手の状態は大幅に改善していますが、念のためにテーピングを施して走行に臨みました。金曜日のサーキット周辺は、肌寒い気温に時折り粒の細かい雨が落ちてくる難しいコンディション。午前のFP1はセッション前半に路面が濡れて、乾きを待つ状態になりました。45分間のセッションのうち、後半約20分でコースインし、短い時間を有効に活用してマシンと体調の確認を行ったウィライローは、トップから2.2秒差のタイムでウイーク最初の走行を終えました。

午後のFP2も、午前と同様のコンディションになりました。FP1からタイムを少しずつ更新していったウィライローでしたが、セッション終了間際の11コーナーでハイサイドを喫し、転倒。幸い、大きなケガはなく、右手小指の擦過傷で済みましたが、結果的に左右両手に負傷を抱える状態になってしまいました。

「右手小指が大きなケガにならなかったのは、ラッキーでした。今日は久しぶりの走行なので、朝はまず身体を慣らすところから始めました。コンディションは午前も午後も微妙な状況だったので、リスクを避けて確実にタイムを詰めていくことに集中しました。このコースは左コーナーが圧倒的に多いので、左手の状態は回復しつつあるとはいえ、旋回動作などにどうしてもわずかな遅れが出てしまいます。その部分を明日は改善したいと思います」

土曜日のコンディションは前日から一転し、この季節にふさわしい汗ばむ天候になりました。ウィライローは着実な前進を狙う走行でラップタイムを詰めていき、午前のFP3から午後の予選で確実にセットアップを積み上げ、苦しみながらも少しずつフィーリングを改善する作業に取り組みました。予選結果は、ポールポジションを獲得したチームメートの中上貴晶から1.869秒差の25番手でした。

「このサーキットは得意コースではないので、正直なところ、苦労しています」

予選を終えて、ウィライローは苦笑気味に語りました。

「昨日は大きな転倒をしてしまいましたが、チームががんばってマシンを修復してくれて、今日は問題なく乗ることができました。左コーナー旋回時のマシンホールドや切り返しではまだ苦戦をしていますが、ステップバイステップで前進できるように取り組み続け、フィーリングは少しずつよくなってきました。とはいえ、トップとの差が大きいので、明日はがんばってさらに差を詰めていきたいと思います。29周と長丁場のレースになるので、安定したラップタイムを刻めるように全力で臨みます」

ラタパーク・ウィライロー

ウエットコンディションになった日曜日のレースでは、その高いモチベーションが裏目に出てしまいました。9列目25番グリッドの位置からポジションアップを狙ったスタートでジャンプスタートを通告され、ライドスルーペナルティーを科せられたのです。ペナルティー消化後、コースへ復帰して順位の回復を狙い懸命に走行を続けましたが、雨の路面に足をすくわれて転倒。残念ながらリタイアとなってしまいました。

「難しいコンディションのレースだったとはいえ、今日の結果には、全く言葉もありません……」

ラタパーク・ウィライロー

残念な結果に、ウィライローは意気消沈した様子を隠すことができませんでした。

「低いグリッド位置からのスタートだったので、ポジションアップを狙うあまりに、スタートで少し動いてしまいました。明らかに、僕のミスです。チームや自分を応援してくれる方々に対して、申し訳ない気持ちで一杯です。今回の結果をしっかり反省して気持ちを切り替え、後半戦はゼロからの仕切り直しでがんばりたいと思います」

Moto2クラスの選手たちがサマーブレイクを迎えますが、ウィライローは鈴鹿8耐に参戦します。この8耐をシーズン後半戦で浮上するきっかけにしたい、とも話します。

「ケガからは順調に回復しているので、8耐を楽しみながら力一杯走りたいですね。そこでポジティブな流れをつかんで、高いモチベーションを後半戦のオーストリアにつなげたいと思います」