悔しい結果に終わったカタルニア。次戦での雪辱を誓う
「ここでは、スペインGP後の4月末にプライベートテストを一日実施しているので、いい走りができる自信があります。ただし、路面や気温のコンディションはテストの際と異なるので、セットアップの方向性を、午前に実施されるFP1から積極的に試していきたいです」。第7戦カタルニアGPを目前に控え、そうレースウイークの抱負を語っていたIDEMITSU Honda Team Asiaのラタパーク・ウィライローですが、Moto2クラスを戦う全選手にとって、今回は試練の週末になりました。
第7戦カタルニアGP 会場:カタルニア・サーキット
予選:23番手 決勝:リタイア
金曜日午後のFP2で発生したルイス・サロム選手の事故は、自分たちの仲間に突然降りかかった不幸なアクシデントだけに、果たしてどのように気持ちの折り合いをつければいいのかと、パドックの中に動揺が広がったことは隠しようもない事実です。
特にウィライローにとっては、自分の目の前で起きたことであり、サロム選手を思いやる気持ちは一層強いものがありました。「ちょうど僕がニュータイヤに交換し、コースインしたアウトラップのときでした。自分を抜いていった少し先のところで、転倒が発生したのが見えました。フロントから切れ込むように転んだ姿が視界の隅に入ったのですが、その後、どのように転がっていったのかまでは見えませんでした。大丈夫だといいのですが」。しかし、無事を祈る皆の気持ちは届かず、サロム選手は帰らぬ人となってしまいました。それでも、ウィライローはプロフェッショナルライダーとして気持ちを切り替え、強い気持ちで土曜日の走行に臨みました。それはおそらく、Moto2クラスに限らず、全クラスの選手が同じような精神状態だったに違いありません。
「昨夜は気持ちが沈んで、正直なところ、もう一度モチベーションを高めることができるのかどうか、自分でも分かりませんでした。しかし一晩が過ぎて、がんばって集中しようと自分自身に言い聞かせ、マシンにまたがって強い気持ちで走り始めました」
土曜日の走行は、午前のフリープラクティスと午後の予選を終えて23番手。トップとのギャップは2秒056と、少々厳しいタイム差でした。
「今は、ブレーキングの最後の部分から倒し込みのところで少し苦労をしています。走るたびにマシンに対する理解が進み、だいぶよくなってきているのですが、まだまだ十分なレベルではありません。チームメートのタカ(中上貴晶)が速く走れているので、彼から得る情報は僕たちにとっても非常に有益です。明日の決勝レースは、少し低い位置からのスタートになってしまいますが、安定したラップタイムを刻んで、可能な限り上位でのフィニッシュを目指します」
決勝レースが行われる日曜日、すっきりと晴れわたったサーキット一帯は時間の経過とともに温度がどんどん上昇し、Moto2クラスの決勝開始時刻には、路面温度が42℃に達していました。
8列目23番グリッドからスタートしたウィライローは、レッドシグナルの消灯と同時にクラッチをミートし、1コーナーに向かって飛び込んでいきました。ただ、集団の中では思うようなラインで走行することが難しく、なかなかポジションアップを狙えない状況。そんな中でも少しずつラップタイムを上げ、果敢な走行で周回を重ねていきました。そして、レースが中盤に差しかかった12周目、ウィライローは10コーナーで転倒を喫してしまいました。即座にマシンを引き起こしてコースインし、レースに復帰しましたが、転倒後のマシンで最後まで走りきることは難しく、残念ながら完走をあきらめてピットへ戻り、リタイアを決断しました。
狙い通りにマシンを走らせることが難しい中でも、少しずつうまく乗れるようになってきた、とウィライローはこの週末を振り返りました。
「決勝レースで結果を残せなかったのは、本当に残念です。チームはいつもがんばっていいマシンに仕上げてくれるのに、彼らの努力に結果で報いることができず、申し訳ない結果になってしまいました。ブレーキングから倒し込みまでの課題は、コースサイドで観察する岡田(忠之)監督が指導してくれることで、少しずつよくなっている実感があります。皆の努力と期待に報いるためにも、次のアッセンではいい走りをして、ポイントを獲得したいです。ブレーキングの最後の部分と曲げ始めで少し苦労しましたが、だいぶよくなってきました。どのコーナーでも、このことで少しずつ損をしているので、明日はその部分をもう少しよくしたいです。旋回速度は大丈夫なのですが、ブレーキの終わりから旋回し始めのところが問題です。立ち上がりは大丈夫なのですが」