IDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦

カイルール・イダム・パウィ

中上貴晶 ラタパーク・ウィライロー 尾野弘樹

初のホームグランプリ。地元ファンの前で速さをみせる

第17戦マレーシアGPは、Honda Team Asiaの18歳、カイルール・イダム・パウィにとってホームグランプリでした。第2戦アルゼンチンGPと第9戦ドイツGPで優勝を果たしたゴールデンルーキーの活躍は、世界中から熱視線を集めています。母国マレーシアでの期待は、当然ながらそれを大きく上回っています。

カイルール・イダム・パウィ

第17戦マレーシアGP  会場:セパン・サーキット
予選:20番手  決勝:8位

とはいえ、現実のパウィはまだグランプリを経験し始めたばかりの一年生ライダーで、今年は学習の年です。ほとんどのサーキットが初めて経験する地で、コースを覚えることからレースウイークの活動が始まります。一方、グランプリ経験の豊かなライバル選手たちは、パウィと同様かそれ以上にこのコースを熟知しており、また、彼らはドライ、ウエット、ハーフウエットと、刻々と変化する路面状況に、巧みに対応するだけのスキルを備えています。一年生ライダーのパウィは、初日の金曜日は2番手スタートと好調な滑り出しになりましたが、セットアップの最適な妥協点を見いだすことに苦労し、土曜日午後の予選は20番手。7列目スタートの厳しいグリッドになりました。

「自信を持ってマシンに乗れず、苦しい予選になってしまいました。ブレーキングでフロントのチャタリングが大きくて思い通りに攻められず、ラインをキープすることで精一杯の状態です」と厳しい表情で一日の走行を振り返りました。

「マレーシアのファンの方々が、アルゼンチンやザクセンリンクの再現を期待してくださるのはうれしいのですが、十分に自信を持ってマシンに乗れていない今の状態では、それはちょっと難しいかもしれません。明日がどんなコンディションになるか分かりませんが、まだ朝のウォームアップがあるので、そこでさらに改善を目指します。しっかり自信を持って走れるようになれば、ドライでもウエットでも対応できると思います」

カイルール・イダム・パウィ

日曜日午前に行われた20分間のウォームアップはドライセッション。そこでパウィは2番手タイムを記録しました。チームの努力が功を奏し、どうやら、良好なセットアップを見いだせた様子でした。

決勝レースは、序盤から次々と転倒者が続出する難しい展開になりました。1周目から6名が転倒する荒れたレースでしたが、パウィは生き残り、6台のグループで5番手争いを続けました。その間も大勢の選手が次々とクラッシュし、やがてレースは赤旗が提示されて中断。このときパウィは7番手に浮上していましたが、13周終了時の8位でリザルトが決定しました。

レースを終えたパウィは汗を拭う間もなく「とてもいいレースでした。マシンのフィーリングもよく、自信を持ってブレーキングで勝負できたので、たくさんのライダーたちをパスできました」と、充実した表情で語りました。

「ファイナルラップに仕掛けようと思って集団の中で様子を見ながらタイミングを待っていたところ、赤旗になってしまいました。表彰台には上がれませんでしたが、ドライコンディションでのベストリザルトなので、とてもいい結果です。赤旗がなければ、5位を狙えていた自信があります。今回は僕にとってホームグランプリだったので、チームがとてもがんばってくれて、すごくいいマシンに仕上がりました。ウォームアップではフロントを少し柔らかくしたことでサスペンションがスムーズに動作するようになり、リア周りも変更しました。家族や友人、ファンの人たちがたくさん観戦に来てくれた中で、貴重なチャンピオンシップポイントを獲得できたので、とてもうれしいです。次は最終戦なので、今日のレースよりさらにいい結果を目指します!」