満足できない結果でも、着実に経験を積み上げる
Moto3クラスのルーキー、カイルール・イダム・パウィ(IDEMITSU Honda Team Asia)にとって、今年は新しい経験の連続です。そんな中で、第14戦アラゴンGPの舞台であるモーターランド・アラゴンはFIM CEVレプソルインターナショナル選手権や、昨年のMoto3クラスへのワイルドカード参戦などで走行経験のある、数少ないコースの一つです。その走行経験のあるサーキットで、パウィはまた新たに学習を重ねました。
第14戦アラゴンGP 会場:モーターランド・アラゴン
予選:23番手 決勝:22位
経験のあるサーキットといっても、簡単に上位で走行できるほど、世界選手権は生ぬるいカテゴリーではありません。今回もまた、世界選手権の厳しい洗礼を受けながらも、自らの経験をうまく活用して、パウィは初日を総合20番手で終えました。
「昨年もここは走っているので、今年は昨年よりうまく走れるようにがんばるつもりです。でも、今日は狙っていたほどうまく走れませんでした」
やや苦笑して、パウィはこの日の走行を振り返りました。
「午前のFP1ではリアのフィーリングがよくなくて、フロントの挙動も安定しませんでした。午後のFP2ではサスペンションを調整して挙動の安定化を図ったのですが、現状では切り返す前の倒し込みが重たくなっています。でも、焦らずに少しずつ改善していくように心がけています。昨年の自己ベストを今日はすでに更新できたので、その意味では悪くなかったと思います」
土曜日の走行ではフィーリングとラップタイムをともに向上させ、予選ではポールポジションから1.1秒差という好パフォーマンスでしたが、セッション中のスロー走行でレースディレクションからペナルティーを通告され、27番グリッドからのスタートになってしまいました。
決勝レースに向けては「セッションごとにタイムを更新してきて、予選ではトップと1.1秒差だったのですが、ペナルティーでかなり後方からのスタートになってしまいました。グループの中で走行すると、速く走れるときもあるけれど遅くもなってしまうので、うまく走らないと。レースはかなり後ろからなので、がんばって追い上げたいと思います」と、意気込みを語りました。
日曜日の決勝でも、パウィは新たなことを学びました。20周のレースで、27番グリッドからスタート。前の集団を追いかけてポジションアップを狙っていましたが、リアにスライドが発生し、その対応に苦しむことになりました。レースではそんな状態でも、前や後ろの選手と戦わなければならないのです。
「昨日までリアのスライドはなかったので、なぜ今日になってこの問題が発生したのか分かりません。でも、これも僕にとって貴重な経験になったと思います。レース結果にはもちろん満足していませんが、今回学んだことを生かしながら、次のもてぎから始まるアジアの3連戦に向けてがんばりたいと思います」