
荒れたレースで確実にポイントを獲得
第16戦オーストラリアGP 会場:フィリップアイランド・サーキット
予選:28番手 決勝:8位
2016年シーズンをHonda Team Asiaで戦う尾野弘樹は、今年でフル参戦2年目を迎えますが、第16戦オーストラリアGPの舞台であるフィリップアイランド・サーキットを走行するのは、実は今回が初めてです。というのも、昨年は日本GPの決勝レースで転倒して足を負傷し、連戦でカレンダーが組まれていたこの大会を欠場していたからです。

初めて走行するライダーにとって、このフィリップアイランド・サーキットは非常に難易度が高いコースです。平均速度が高いハイスピードコースでありながら、海から絶えず強風が吹きつけます。しかも、天候が変わりやすく大気や路面の温度が低いことが多い、という外部要素の不安定さが、このサーキットを攻略するハードルをさらに引き上げます。
金曜日初日のフリープラクティスも、決して恵まれた条件にはなりませんでした。低い温度と悪天候の中で、尾野は少しずつコースに順応していき、午前のFP1では25番手と慎重な走り出しでしたが、さらに雨が強くなったFP2ではセッション中の9番手タイムと、悪くない位置につけました。
「今日はウエットだったので無理をせず、コースを覚えることに時間を費やしました。ウエットということもあって、コースをどう走ればいいかまだ分からないところもあるので、早くドライで走りたいですね」
土曜日午前のFP3も雨になりました。尾野はこのセッションでも9番手。いい位置につけていましたが、レインコンディションのフィーリングについては「決してよくないです。まだまだ改善の余地があります」とコメントを残しました。午後の予選は、ウエット状態から路面が乾いていく微妙な状況で、ドライ用のセットアップを煮詰めきれないまま、40分のセッションを走り抜くことになりました。

「セッション開始直後に雨が降ってきたので、マシンのセッティングをウエット用に戻したのですが、結果的にその状態でスリックタイヤを装着して、ドライセッションを走ることになりました。サスペンションが厳しく、思うように走れずに低い順位に沈んでしまいました」
グリッドは28番手。10列目からという厳しいスタートになってしまいました。
「今回初めて走るコースなので、焦るとかえって難しい展開になると思います。最低でもポイント圏内には入りたいのですが、そのためには自分の前方にいる選手の半分以上を抜かなければなりません。そのためには、明日午前のウォームアップでチームとしっかりセットアップ作業に取り組みたいと思います」
日曜日のフィリップアイランド・サーキットはすっきりと晴れわたり、この週末で初めて好天に恵まれました。しかし温度条件は依然として低く、コンディションは決して楽観視できる状態ではありませんでした。
午後1時にスタートしたMoto3クラスの決勝は、序盤から波乱の展開になりました。1周目のスタート直後に、大きなグループの中で転倒車が発生し、それに巻き込まれた尾野のチームメート、カイルール・イダム・パウィたちも転倒。コース上のほかの地点でもたくさんの転倒が発生しました。6周目にもさらにマルチクラッシュが発生し、レースは赤旗中断。10周で改めて仕切り直すことになりました。
このスプリントレースで、尾野は3番手争いの大集団に加わり、激しいバトルを繰り広げました。グループのトップでチェッカーを受ければ表彰台、最後尾ならノーポイント、という大きなグループで最後までバトルを続けた尾野は、8位でゴールラインを通過しました。
「集団のトップは当然狙っていたのですが、終盤の3ラップまではオーバーテイクのポイントを探っていたので少し厳しい展開でした。中断される前のレース1では、リアに硬めのコンパウンドのタイヤで臨んだのですが、少し厳しかったので、レース2では柔らかいコンパウンドのタイヤを装着しました。結果的にシングルフィニッシュができたので、荒れた展開の決勝レースでしたが、自分にとっては結果的にさまざまな要素がいい方向に転がる結果になったと思います。次のマレーシアGPはよく知っているコースなので、さらにいいリザルトを目指したいです」